金丸耕平の休日--伊勢老舗旅館編--10話〜13話
10話
金丸はトイレの前に現れた。
金丸「ふぅやっと帰ってこれた。」金丸は仁科に気づいた。トイレの前方辺りに3人いるのが見える。
「月梨依美子(つきなしよみこ)と申します。」27歳の月梨は涙を拭いながら、助けて頂けたお礼と自己紹介をしていた。仁科(綺麗な人だなぁ)仁科は月梨の外見を見ていた。
ご老人「んにゃ、そんにゃことしちゃかんにゃ」月梨「えぇ…先日、大切な方と今生のお別れをしたばかりでつぃ…」仁科「大変でしたね。」
「おーーーい」仁科が振り返ると金丸がこちらに走ってきた。
仁科「先生トイレ長すぎですよ!」金丸「ごめんごめんっ、なにしてるの?」仁科「えぇ…」ご老人「自殺未遂じゃ。」金丸「自殺っ!?」仁科「先生を待っていたら、ご老人が海の手前にいる月梨さんを見つけて下さって、私が助けに行きました。」金丸「大丈夫ですか?」月梨「えぇ…すいません。私はもう大丈夫です。」
金丸(どことなく似ているなぁ、スレンダーに白い肌、綺麗な二重。黒髪もセンターで分かれていて肩にかかるくらいだし。)月梨(細見に高身長、眼鏡、髪型はセンター分け、似てる。)2人の顔は少し赤くなっていた。仁科はすかさず「元気だしてよ」月梨「えっえぇ!助けて頂いてありがとうございます。月梨依美子と申します。」「はじめまして金丸耕平と申します。「仁科貴一です。」「西郷具和(さいごうともかず92歳)じゃ」仁科「みんなお参りしていきましょう」西郷「じゃにゃ。」金丸「仁科くん、楽しそうだね?(笑)」仁科「せっ先生!」仁科は少し顔を赤らめていた。
ミコは兄に言われた通り家に到着した。
イザナギ「卑弥呼の仕業じゃろ?」イザナミ「そうだわねきっと、やだ、大変だわ」老人と老婆が部屋のテーブルで話しをしていた。
ミコ「ただいまぁ」イザナギ「おぉミコか、ただいま。」2人の老人はテーブルからミコにおかえりを言った。ミコ「ナギジィ、ナミバァただいま、ニィが大嶽丸と戦ってるよ。」イザナギ「大嶽丸か、困ったもんじゃ。」イザナミ「まぁまぁ、あの子は大丈夫よね」イザナギ「うむ、しかし、卑弥呼のやつ、余計な事してくれたわ…それはそうと疲れたじゃろ?ミコ」イザナミ「今、支度しますわね。」イザナミはそういうとミコの食事を取りに行った。ミコ「うん。」ミコはおじいちゃんとおばあちゃんに囲まれて幸せそうにしている。
3人はテーブルで食事をしている。親狐と子狐もテーブル付近で食事をしている。
ミコの家はウッド帳の木でできた洋風のような和風の家である。中には暖炉もあって煙突もある。
ミコ「お兄ちゃんまた飛んでたよ」イザナギ「ハッハッハ(笑)、あやつは大丈夫じゃよ」イザナギもイザナミもタケルを信ずるように団欒しながらミコと食事をしている。
川下「部長、2人目の殺人なんですが…」川下は話しだした。伊勢署は割と古い建物ではあるコンクリート造りに昔ながらの長方形の木の机に皆が座っている。その先には黒板があり、向かいあって芝原が1人いる。まるで上司と部下がひと目でわかる配置に机と椅子が並べられていた。川下「2人目の殺人なんですが、どうも匂うんですわ。」芝原「なにがや?」川下「3人目の殺人では夫婦が刺されています。しかし、2人目の殺人は首を締めて殺しています。」芝原「それがなんや?そんなもんちゃうか。」川下「同一犯なら何故刺して殺さなかったのか気になります。」芝原「そりゃあれやろ、2人やろ夫婦は。2人相手しよんねんから刺したほうが楽や」川下「確かにそうなんですが、なぜ2人目は道具を一切使っていないのか不思議でもあります。」芝原「まぁ、そう言われるとそうやなぁ、変やなぁ」
11話
看護婦A「そうなのよ。」看護婦B「昨日手術したばかりなのに残念ね…」
仁村は診察室で座りながら隣の部屋の声を聞いていた。うっすらと笑みを浮かべながら仁村はメスを丁寧に磨いていた。看護婦A「そういえば、月梨さん今日は診察来ないみたいね。」看護婦B「珍しいわね。なにかあったのかしら…」
西郷「今日は色々あるにゃ、ホテルで殺人事件あったばかりじゃよ」4人は夫婦岩を横目に参拝場所まで歩いていた。
金丸「えっ!?サンセット伊勢ですか?」西郷「そうじゃ。何故知っちょる?」仁科「僕らの隣の隣の部屋でしたので…」月梨「まぁ!」西郷「なにゅ!?わしも泊まっとるんじゃ。妙な事件らしいの…」仁科「えぇ…朝から事情聴取されるわ大変でしたよ。」西郷「わしもじゃ、んでおはらいがてら神社にきたのじゃ、お主らもおんなじか?」仁科「みたいなもんですかね…」
金丸は3人が話すのを横目に見ながら、考えていた。金丸(何がどうなっているんだ…神社で、そういえばミコちゃんに会ったのは2回とも神社だった…神社にはいにしえにつながる入口でもあるのか!?…タケルくんはどこ行ったんだ…僕が狙われてるとも言っていたし、最後に嗅いだあの匂いはとてもこの世のものとは思えない匂いだったな…もしかして私が…幻覚でも見ているのか?医師でもある私が…部下というか後輩の仁科くんには言えない…一体なにがどうなってるんだ!?)金丸が1人考えていると仁科が叫んでいる声が後ろの方から聞こえてきた。
仁科「月梨さん月梨さん!!大丈夫ですか!?」金丸は物思いにふけっていたので、やや先頭を歩いていた。金丸は振り返る。
金丸「にっ仁科くんどうしたんだ?」西郷「あかんにゃ!」仁科「突然月梨さんが倒れました。」西郷「早う救急車呼ぶんじゃ!」金丸「なんだって!!月梨さん大丈夫ですか?」月梨は意識を失っている。
金丸「仁科くん救急車!!救急車呼んで!!」仁科「はい!先生、今!」
トゥルルル、トゥルルル、ガチャ、「はいこちら119番です。」仁科「あっ!もしもし、女性が突然倒れました!!」「場所はどこにいますか!?」仁科「二見輿玉神社です」「意識はありますか!」仁科「ありません」「今すぐ向かいます!お名前お伺いします。」仁科「仁科と申します!宜しくお願いします!」「はい」ガチャッ。
西郷「今日は、色んな事が起こるにゃ!」金丸「本当ですよ!」仁科「参りましたね。とりあえず月梨さんを入口まで運びますか!?」金丸「いや下手に動くより…とりあえずあのベンチまで月梨さんを運びましょう。」3人はベンチまで月梨を運んだ。彼女はベンチで気を失ったまま寝ころんでいる。
大嶽丸は2人の刃を防いでいた。
大嶽丸「お前ら中々やるじゃねえか!カッカッカッ」タケル「クッ!」田村麻呂「なんだと!」2人は大嶽丸の強さにびっくりしている。
大嶽丸「まだ終わりじゃないよな?田村麻呂?」2人は力負けしそうになっている。タケルは膝をつき、田村麻呂は刀ごと金棒で吹き飛ばされた。田村麻呂「クッなんて力だ…」タケル「クソ!なんて力だ!」下にいるタケルは大嶽丸の金棒を刀で受け止めてはいる。しかしジリジリと大嶽丸の力が加わり潰されかけている。
大嶽丸「ほらどうした須佐之男!このまま潰してやるよカッカッカッ」
12話
ピーポーピーポーピーポー数分すると、救急車が近づく音が聞こえてきた。西郷「早いにゃ、、」金丸「来たね、仁科くん入口に!!」仁科「はい!」仁科は猛ダッシュして二見興玉神社の入口に走って行った。
ガチャ車から降りる救急隊員。「仁科さんですか?どこですか!?」仁科「はい、こっちです。」
救急隊員3人が月梨の居るもとにたどり着いた。2人がたんかに乗せている。「えーと、事情は病院で話せますか?」金丸「はい!」「では急ぎ病院にむかいましょう!」3人と月梨を乗せて救急車は病院に向かって走り出した。「伊勢病院に向かって!」救急隊員が運転手の救急隊員に告げた。「はい!」ピーポーピーポーピーポー…
イザナギ「昔と今というのは表には存在する話じゃ、いいかミコその金丸というおじさんは、今、混乱しとるはずじゃ、わしら古の民はまだこうしておるじゃろ。」ミコ「うん」イザナギ「また金丸さんが神社に現れたらここに連れてくるのじゃよ、いいね」ミコ「うん」イザナギ「オロチが復活したからには容易にはいかんの…卑弥呼め…」イザナミ「そうよね、やだ大変だわ」ミコは眠そうになりながら話を聞いていた。
大嶽丸「なぁ、苦しいよな須佐之男、カッカッカッ、俺のパートナーは笑ってたんだよ!人間の癖して女の首絞めながら笑ってたよあいつはカッカッカッ」タケル「きっ貴様…」大嶽丸「あいつ、女の子の首絞めながら俺の方に気付いて、笑ってたよカッカッカッ、その後、俺には食わしてくれなかったけどな…お前も結界の外にはいけないだろカッカッカッ」タケル「やめろっ!やぁめぇろぉぉ!!!」タケルの怒りがピークに達した時、その時タケルは叫んだ!!
タケル「放つ!!!」「光を放つ!!!」
ドスンッ
大嶽丸「ぐわぁぁああ!!!」
タケルがそう言うと大嶽丸はふっ飛んだ。
タケルの全身は虹色に光りだした。田村麻呂「なっなんと!!!」田村麻呂はタケルの姿を見てびっくりしている。タケルの全身から虹色の覇気がでているのが見える。その覇気が巨体の大嶽丸を吹き飛ばした。
金丸たちは病室の前の細長い椅子に座り月梨を待っていた。かれこれ30分は経っていた…金丸「突然倒れ込んだの?」西郷「んにゃ」仁科「えぇ…」3人が話ていると看護師2人が話しながら3人の目の前を通って行った。看護師A「にしても最近変よね?思わない」看護師B「月梨さんも先週は元気そうにしてたわよね。藪先生(やぶせんせい)戻って来ないかしらね」看護師A「今は仁村先生がいるから大丈夫よ」金丸「ん!?看護師さん看護師さん!?」看護師A「なんですか!?あぁ月梨さんのお連れさんね?どうかしましたか?」金丸「いっ今、話てる声が聞こえてきましてね。つい気になることがありまして…最近変って?月梨さんは先週も来ていたんですか?」
金丸は最近の事件の事が自分にも繋がりつつある事をヤマトタケルから聞いていて敏感になってきている。
看護師A「えぇ…月梨さんは小さい頃から心臓が弱くてね、ずーっと藪先生が見てきたのよ。もう藪先生はいないのよ…」看護師Aは話を濁すように話した。金丸「そうなんですか…」金丸は変と言った部分も聞きたかったが空気を呼んで諦めた。
仁科「せっ先生!どうしたんですか!?急に立ち上がって」金丸「いや、なんでもないんだ」急に立ち上げって看護師に話を聞いていた金丸に仁科が詰め寄った。そして2人は再び長椅子に戻った。
金丸(おかしい…なにかがおかしい…この病院に来てからずっと耳鳴りはするし…)金丸は事件そのものを調べ始めていた。西郷は2人の様子をじっと見ていた。
13話
天狗は空を飛んでいた。ピカッ…!天狗「んっ?なんだあれ」林の方で一瞬、光ったのが上空から見えた。
金丸「まだかなぁ…」かれこれ、1時間ほど3人は月梨を待っていた。
ガラガラガラッ病室の扉が開いた。看護師C「どうぞ、中へ」3人は病室に呼ばれた。3人は病室に入った。
月梨「あら、金丸さん!?」月梨は振り返る。金丸「月梨さん、良かった。」西郷「心配したにゃ」仁科「心配しましたよ。」医師と向かい合うように月梨は診察室の椅子に座っている。金丸「先生もう大丈夫なんですか!?」仁村「えぇ大丈夫ですよ。少し疲れていたのでしょう。話しは聞きましたから。」金丸「くっ…」金丸の耳鳴りが一瞬大きくなった。
キーーーン(うっ!なんだこの耳鳴りは…痛い…耳が痛い…)
仁村「どうしました?どうかしましたか?」仁科「せっ先生!」金丸「大丈夫だ仁科くん…」
仁村「東京で働いてるみたいですね。先生」
金丸「えぇ…本日は急に駆けつけてしまい、大変助かりました。」
月梨「金丸さんも先生なの?」金丸「えぇ…大学病院で精神科医をしています。仁科くんは、私の部下というか後輩にあたります。」仁科「宜しくお願いします。」月梨「こちらこそ宜しくね。私、小さい頃から心臓が悪っくってね。発作が出たみたいね。」
仁村「そうですね、藪先生から発作の対処法も聞いていましたので…」月梨「藪先生…」金丸「仁村先生は最近伊勢病院に来られたそうですね?」仁村「えぇ…3ヶ月ほどになります。」月梨「藪先生が安心してたのよ…彼は名医って私に言っていたわ。」仁村「それほどでは…(笑)」月梨も話しながら笑ってみせた。
金丸「良かったですよ。一時はどうなるかと思いました。」西郷「ほんとうだにゃ。」仁科「仁村先生ありがとうございました!」仁村「いえいえ」西郷「帰るにゃ」
4人は病室を出た。月梨「皆さんご迷惑おかけしました。本当にありがとうございます。」金丸「気にしないで下さい。そんなことより月梨さんが無事で良かった。」月梨は少しだけ赤くなった。仁科「本当ですよ。」西郷「んにゃ。」金丸「僕らホテルに帰りますが、月梨さんはどうされますか?」月梨「家に帰ります。」月梨は疲れていた。金丸「タクシーで送ります。仁科くんタクシー呼んで!」仁科「はい。」
西郷「本当大丈夫かにゃ?」西郷は月梨に話しかけた。月梨「えぇ、もう大丈夫です。」月梨は金丸の方を向いて話しかけた。金丸はその月梨と目が合って、少し赤くなった。西郷はそれを察した。西郷「連絡先交換するだにゃ」月梨「えっ!?はっはい。」金丸「僕の方から言いますね!」2人が連絡先を交換している様を、タクシーに電話しながらその様子を仁科が見ていた。仁科「はい。伊勢病院に4人お願いします。」
大嶽丸はふっ飛んでいた。「ぐわぁぁあ」金棒で踏み潰す瞬間、逆にふっ飛ばされた。
タケル「許さない!お前を許さないぞ!」タケルはそういうと、一瞬で大嶽丸の頭上に現れた。ふっ飛ばされている仰向けの大嶽丸と、水平になるようにタケルがいる。タケルは大嶽丸の顔面を殴った。
バッコン!!!一発で大嶽丸は地面に頭を叩きつけられた。叩きつけられた地面は10メートルほど穴が空いた。大嶽丸の顔面は血だらけになっている。タケルの凄まじい攻撃が続く、タケル「うおぉぉおおお!!!」タケルのパンチの連打が始まった。バンバンバン!!!大嶽丸の身体はボコボコに殴られている。田村麻呂は呆然とその様子を見ている。田村麻呂「すごい力だ!一体あの虹色の覇気はなんだ!」10メートルもある巨体の大嶽丸が人間程のサイズのタケルにボコボコに殴られている。タケルの身体終始虹色の覇気が出ている。2人は砂埃で見えなくなっていった。
大嶽丸「ぐわぁぁあ」大嶽丸の悲痛の声が響き渡る。タケル「痛みを知れ!!!そしてもう二度と目を覚ますな!」タケルは切れながらボコボコに殴っている。