倦怠感

眠ろうと布団に横たわる度いつも思考が回り出す。
どうしようもないことをぐるぐると反芻する。
今日会った人や今日した会話。
嫌だったことと悲しかったこと。

そして自分のこと。

いつも同じところに帰ってくる。
どうして私はこんなにも当たり前のことができないのだろう。
人に相談しても「そんなことないよ」と励まされるか、「危機感があるだけマシ」と返ってくるだけだ。
まるでそう言って欲しくて聞いているみたいで居心地が悪い。
気を使われるともっと苦しい。
いよいよ迷惑をかけてしまったような気がするからだ。
押し黙ると空気が沈んでしまうから仕方なくヘラヘラしている。
上手く笑えているか疑い始めると止まらなくなる。
頬が引きつって、なにか取り戻す言葉を探し出す。

人との会話が辛い。

原因はわかっている。
私の被害妄想が強いからだ。
全ての人が私の発言を訝しんでいて、1人だけ盛り上がってしまっているような感覚。
冷めた目線、ふとした時の声、一瞬たしなめられるとそれだけで気持ちが落ちてしまう。

これは失望された感覚と似ている。

落胆したようなため息。
目に入れたくもないというように逸らされた視線。
何か言いたげで、けれど端から言っても理解できないと諦めたように言葉を飲み込む音。
今にも泣き出したいのにふざけたふりをして、ダメなふりをする。

元々ダメだからふりでもなんでもないけど。

大真面目なのに分からないよりも、わざと間違えて反感をかうほうが人間としてまだ成立してるような気がするから。
悪気のない悪行の方が質が悪いのと同じ。
でも取り繕おうとすればする程ボロが出る。
目が泳いで、息が浅くなる。
目を細めていれば、笑っていれば、悟られないから楽だ。
でも苦しくてどうしようもない。
毎日がそうという訳ではない。
でも大半がそうだ。
1人でいると色んなことを勘ぐってしまうから誰かといようとする。
けれど常に誰かが傍にいてくれるとは限らない。

独りが辛い。

生きるのが辛い。

生き辛い。

いっその事死んでやろうかなんて思う。
自分の頭の中の自分を殺すためだ。
誰かのために生きようとは思えても誰かのために死のうとは思わない。
永久に語りかけてくる頭の中の自分を消してしまいたい。
故に死にたい。

消えたい。

逃げたい。

それでも逃げ出したくなるだけで、逃げる術を探そうとは思わない。

ただ生きづらいまま。
それだけ。

どんよりと重たくのしかかってくる空気。
頭が重くて動かなくなる感じ。
考えるのをやめるともっと悲惨なことになってしまう。
気づかないうちに普通じゃなくなってしまう。

普通ってなにって聞かないで欲しい。
何となくわかっているのに私の正当化のために分からないふりをしているだけだ。
世間の言う普通は常識的であり、ある程度の公序良俗に則っていることだ。
普通の人は外で独り言を吐かないし、奇声を上げながら自転車にも乗ることもない。
プリントはきちんとファイルにしまえるし、遅刻はしない。

異常ではないけれど普通でもない。

中途半端な私だけが世界に取り残されていく。どうにかもがけばなんとか息はできる。
だからもがくことをやめることもできない。
そんなに重たい訳でもないのに重たくて動けない。
どんどん取り返しのつかない方に沈んでいく。
肝心の私自身は空っぽで軽いくせに。

2023.7.6

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