再生医療等の「等」ってナニ?
再生医療ってすでに保険診療で受けられるものになってます。
2023年3月現在、全部で17種類の製品が認められているんです。
どうでしょう、多いと感じますか?少ないと感じますか?
再生医療ってまだまだ未来の医療というイメージがある人もいるかもしれませんが、意外に実用化は進んでいます。
17種類の製品は、再生医療等製品といいます。
再生医療製品じゃなくて、再生医療等製品なんです。
なんで「等」ってつくんでしょうか?
気になったので少し調べてみました。
Bing AIにきいてみた
まずは、話題のGPT-4で動いているというBing AIにチャットで聞いてみました。
いわゆる再生医療だけではなくて、遺伝子治療も含めているので、「等」がつくというわけですね。
さすが話題のAIだけあってわかりやすい説明。
では、具体的にはどんな製品があるのでしょうか?
再生医療等製品ってどんなもの?
有名そうなものをあげると、こんなものがあります。
自家培養表皮「ジェイス」
CAR-T細胞療法「キムリア」
遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」
それぞれ、詳しく見てみましょう。
日本初の再生医療等製品 自家培養表皮細胞「ジェイス」
2007年に承認された、ジャパン・ティッシュエンジニアリング社の製品です。
広範囲の重度のやけどなどで皮膚を失ってしまった人に、傷を早く保護して感染症を防ぐために使用されます。
患者さん自身の皮膚から表皮細胞を取り出し、培養してシート状にして傷口に貼り付けます。
京都アニメーションの放火殺人事件の犯人が、受けた治療法という報道もあります。
(毎日新聞しかジェイスという名前を出していませんが、状況から考えてほかにはないでしょう。)
がん治療で注目されているCAR-T細胞療法「キムリア」
ノバルティスファーマが販売する、難治性のがんに対する治療薬です。
患者さんの血液細胞からがんと戦う細胞(T細胞)を取り出し、攻撃したいがんを見分けることができるようにCARという遺伝子を導入した細胞(CAR-T細胞)を患者さんの体内に戻すという治療法です。
日本では2019年に保険適用されました。
当初は1患者当たり約3349万円という値段がつき、話題となりました。
一億円の超える価格となった「ゾルゲンスマ」
2歳未満のSMA(脊髄性筋萎縮症)という難病の患者さんに使用される、遺伝子治療薬です。
SMAは神経細胞が働かなくなることで、筋肉を動かせなくなってしまう病気。
患者さんの体のなかで上手く働いていない遺伝子(SMN1)を送り込んで、病気を根本的に治す方法です。
2020年から日本では保険適用されており、一患者あたり約1億6707万円です。
現時点で過去最高額の薬です。
色んな意味で注目されている薬が含まれています。
どれもそれまでは治すことができなかったものを治療できるようになった、画期的な製品と言ってよいでしょう。
どれが再生医療でどれが遺伝子治療?
ところで、本題。
ここまで紹介してきた再生医療等製品。
どれも画期的な治療法ですが、少しずつ治療の仕方が違いました。
わかりやすい再生医療「ジェイス」
ジェイスは患者さんの細胞を培養して、皮膚を再生しています。
一番イメージしやすい再生医療かなと思います。
体の外で遺伝子を操作する「キムリア」
キムリアってどうですか?
がんと闘う細胞を取り出して、増やしてCARという遺伝子を導入して、元の免疫細胞をより強くしたものを移植してます。
再生というともともとあったけれど失われてしまった能力を、再び取り戻すというイメージもあります。
…一度も持っていなかった遺伝子を新たに導入するのは、再生というよりは強化のイメージでしょうか。
いわゆる再生医療とはイメージが違うかもしれません。
体の外で遺伝子を操作して、体の中に細胞を戻す治療法なので、遺伝子治療の枠組みになるでしょうか。
体の中で遺伝子操作をする「ゾルゲンスマ」
ゾルゲンスマは患者さんの細胞では上手く働かない遺伝子を、細胞に届けて補っています。
失われてしまった機能を正常に戻すという意味では、再生医療のイメージに合うかもしれません。
また、注射によって体の中で細胞に遺伝子を送り込むということで、遺伝子治療の枠組みになるでしょう。
まとめ
というわけで、再生医療等製品の「等」について調べてみました。
一言で再生医療等製品といっても様々な治療方法がありますし、
遺伝子治療との区別がくっきりできるかというとそれも難しそうです。
再生医療等という表現に落ち着いた理由が垣間見えた気がします。
それではまた!
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