僕の聖愛日記 過去編④
A子と別れてからも、いつも通りの日常が続く。
当時の僕は自ら立ち上げた会社を軌道に乗せるため、昼夜問わず365日無休で働いていた。
そして、プライベートも全力だった。
若さ所以のバイタリティは今考えても恐ろしい。
僕には趣味が一つある。
バンド活動だ。
小学校6年生の時に、親戚のおじさんにギターをもらってからなので、歴だけは一丁前に長い。
それは今でも続けているが、一昔前はわりかし本格的に力を入れてやっていた。
メンバーのコネクションを使っていろんなライブに参加したり、自分たちで企画したり、遠征ツアーをやったり、仕事しながらも本気で取り組んでいた。
2014年夏
僕たちは下北のとあるライブハウスで、大掛かりなイベントに参加することになった。
自慢をするつもりはないが、わりかしファンもいたり。
集客面でもチケットノルマは有に超えていた。
演奏はもちろん楽しいが、僕はどっちかというとその後の打ち上げの方が毎回楽しかった。
その日もライブが終わり、いつも通り居酒屋に出演者達が集まり、打ち上げが始まった。
知ってる顔ばかりで落ち着く。
好きなアーティストの新譜がどうとか、今度来日するとか好きな話でいちいち盛り上がる。
だいたい20人くらいで飲んでたと思う。
ふと周りを見ると、ちらほら知らない女の子達も見える。
出演者の友達だったり、彼女だったりそういった人達も気軽に参加していた。
よくもまあ、こんなに集まるもんだという感じで、飲んでいる人達をさーっと見渡してみた。
すると1人の女性と目が合った。
僕は人見知りなので、その瞬間慌てて目を逸らした。
どれくらい飲んでたか
もうそろそろ終電がなくなるという人達が何人か現れ、とりあえずお開きになることに。
集団の会計というのは、てんやわんやだ。
大きいのしかないだとか、崩してくれとか。
でもそれは仕方ないことだ。
そんなこんなで手こずりながらもなんとか会計を済ませ(僕も大きいのしかなかったから崩してもらった側)
店を出る。
大半は帰路に着くとなり僕も帰ろうかと集団の群れに着いていく。
その時さっき目が合った子が集団の群れの後方で携帯をいじりながらいた。
僕はさっき目合ったし、とりあえず会に参加してる人ってのは分かっていたし、何より酒の酔いもあったので、勢いに任せて声をかけてみた。
「お疲れ様です!家どっち方面なんですか?」と
相手も警戒することなく
「お疲れ様です!神奈川方面です」と
僕は、その当時小田急線の登戸って所に住んでいたから、同じ方面ということでちょっと意気投合した。
集団の群れは大半は下北から京王線だった。
小田急を使うのは僕とその子だけだった。
電車を待ってる間、色々話をした。
好きなアーティスト、そのアーティストのどのアルバムが好きか、よくライブは行くのか、今日のイベントはどうして来ようと思ったか、etc...
その子と音楽の趣向が合った。
僕は90'sエモと呼ばれる世代が1番好きだ。
Cap'n jazz
Texas is the reason
the promise ring
mineral
the get up kids
などなど他にも数えられない程あるが。
その子もドンピシャでそれが好きだと言ってきた。
話が止まらない、止めたくない。
下北を出て、気づいたらあっという間に狛江まで来ていた。
僕は純粋にもっと彼女と喋っていたかった。
勇気を振り絞って
「良かったらこの後飲み行きませんか?」
断られても良かったし、賭けというほどそこまで息巻いてはいなかったが、彼女は二つ返事で了承してくれた。
嬉しかった。
とりあえず彼女の住む新百合ヶ丘まで行くことに。
時刻はすでに23時半。
次の日出勤か遅いのを計算してたかと言われたら定かではないが、とりあえず僕の中では始発コースが確定していた。
続く。