
【私が私であるために②】読書_西と終りの巷説百物語を読んだよ_2025(R7).1.4
京極夏彦さんと私
面識はないです。私が読者として知っているだけです。
読者歴は、かれこれ20年になりますか。
でも、ここ数年は小説自体あまり読んでいませんので20年は過大か。
とはいえ、姑獲鳥の夏・魍魎の箱・鉄鼠の檻・狂骨の夢・絡新婦の理・邪魅の雫…とまあ、空でタイトルを言えるくらいは読みはしました。
巷説百物語は、「続」「後」「前」は読みましたが、「西」は今回読んで‥昔読んだかなってくらいです。あとは…ん?「遠」?何それ?え…?あれ?
巷説百物語
私はNOTEを書いてるけど、ストレス解消が中心だったりしまして、まあ、一応は読まれることも意識はしているのですが、はい。それで、まあ、等閑になってしまってです。
本当に京極夏彦さんの作品、読みましたよ。
鉄鼠の檻なんて大好きですよ。
でも、私も小説を読む時間を資格勉強に充てるべきと思い、ここ数年は遠ざかっておりまして。これを書いていて、巷説百物語の順番調べてて。
「遠」巷説百物語なんてあったのを、ただ今、知った次第。
もう、年末年始使って、「了」巷説百物語読んじゃったので、まあ、書いてしまうよ。確かに「了」巷説百物語には、盛岡藩とか出てきて、あれ?とも思ったのだけど。
西巷説百物語(以下、「西」とする)
平成22年頃に発刊されたようで、もう10年以上前か。
西暦なら2010年、リーマンショックの後で東日本大震災の前。
私は何をやっていただろう…。仕事か。
実は「西」はその頃読んだ気もする。が、多分立ち読みしただけかも。
購入した記憶もあるような、ないような…。
で、今回、文庫本を買って読みました。
結局、読んだことあるような、ないような…。
「続」とかでも出てきた物語を…
今、WIKIで調べたけど、多分、少しは「読んだことある」
でも、感動しましたよ。
特に、『鍛冶が「かか」』、道は外してもいけないけど、行き過ぎても駄目ということでして。
前のシリーズに「帷子辻」と同じ感じがしましてね。
そして、行き過ぎた人間の気持ちも少しだけ分かる、てやつ。
その他、仕事の行き過ぎみたいな「夜楽屋」とかも、仕事人間のアタクシには迫るものがあった。
でも、多分読んでいるのですけどね。名作は、何度読んでも名作、ということですかね。
了巷説百物語(以下、「了」とする)
2024年初版。よって文庫本もない。
1000ページを超える大作。価格も4,000円とは。さすが京極!
…電子で買えって?電子で買うと、読まないんだよね…
よってネットで紙媒体を購入。
で、感想、妖怪の解説は少なくなって、前のシリーズの主人公とか準主人公を出したり伏線を回収したような感じです。
田所って侍、覚えていたというか、思い出して、新鮮な気持ちになりました。
昔、「こち亀」の作者が、「読者から、あの登場人物はどうなった?」とファンレターが来て色々思い出して書く、とか言っていた。京極も同じなのか、深謀遠慮やマーケティングで出したのか。
仕事に真面目過ぎて周囲から迷惑がられ、出世もなく、報われない。それでも、それがわかっていても、真面目に法令を守り、職務に忠実。お金は少ないので質素な生活。
岡田斗司夫さんが、攻殻機動隊をはじめとする士郎正宗さん作品は、体制側の人間が組織の不条理の中でも、何とか正義を貫こうとして踏みとどまっているもの、と解説していた。田所は、そんなところがある…そんなに格好も良くないし、仲間も少ないようだけど。自己投影か。
「了」の結論として「お金」が最大の「妖怪」としているようだ。
水野忠邦の改革を通じた事件を、現在に投影する。
農民の方が多いのに武士を倒そうとしない。せいぜい一揆。身売りや子殺しをする。なぜなら「楽だから」と黒幕は言う。
それは、現代にもつながる。なぜ政治家に文句を言うなら、選挙に出ない?政治に参画しない?せいぜいが不満を呟く程度。選挙にすら行かない。脱税はともかく節税もしない。答えは江戸時代と同じだろう。
水野忠邦の改革により、市場経済・自由経済・自由競争により、有能なものが利潤を得る。そのための改革。素晴らしいではないか?だが、「無能なものはどうなる?」と言うものには、「生活を奪われる」「自業自得」と冷たく黒幕はあしらう。
では、どうすればよいか。それに、京極さんはこたえることができない。
できるものはできるし、できないものはできない。
わからないのものはわからない。なるようにしかならない。
それでも、嫌なものは嫌だし、駄目なものはダメだし、間違っているものは間違っている。
夢でも妖怪でも見てでも、何とかなるように、己と折り合いをつけて、頑張るしかないのだろうと、アタクシは思った。