13.自我 like a sherbet
たまに自分が溶ける感覚がある。
自分とその他の境界が曖昧になり、考えることが不自然に思えて、その場所その空気と自分の境目がどんどん溶けていく。
良いことなのか悪いことなのか分からないが、自分でコントロールすることもできない。
溶け始めたらもう止まらない。
自我 like a sherbetである。
思えば僕は昔から注意力散漫と言われる子供だった。
中学生の頃、通知表に書かれた「動き回るでもなく、反抗的でもなく、学力もそこまで問題はないが、ただひたすらに話を聞いていない。」という言葉が僕がどういう人間かを適切に表していると思う。
その注意力散漫さをよく怒られていたし、怒られながら先生の顔を見て片目だけ奥二重であることに注目して、だからどうということは考えていないような子供だった。
小崎くんはたまに溶けているねと友達に言われて、ああこれ溶けているのかとしっくり来た。
いまだにたまに僕は溶ける。
今日は溶けすぎて気づいたら昼に入ったはずのカフェから見える窓の外が暗かった。
作業も進まずぼんやりとただ半日。
怖かったやろうな、そのカフェの店員さんも。何をするでもなくノートだけ広げてボールペン持ったままぼけーっとコーヒー1杯半日かけて飲んだ客、もうなんかの妖怪かと思ったろうな。
申し訳ないな。
しかもむちゃくちゃチェーン店でな。
僕のシャーベットマインドのせいで二度とあのドトール行かれん。