駄作で有名・鉄血のオルフェンズのどこがイマイチだったか不満点を探る


主人公陣営の底辺成り上がり物語という設定が制作と熱心なファンにしか見えない・・・

この作品では主人公陣営がやたら底辺、下層の人間たちと描かれるが実際のところ本当にそうなのかという部分の説得力がほぼない。何度も描かれる主人公ミカヅキとオルガの過去回想シーンの地に再び戻るとか、ブルワーズ編以上にヒューマンデブリや貧困層との関りを描ければ説得力が得られたかもしれないが、実際にあの世界の下層社会がどのようなものなのか分からない。識字率や進学率などもどれだけそれが低いことで困ってるかの描写なしに現実の日本と比較して物語に浸るのは難しく、幸か不幸かCGSの環境は現実の歴史上の収容所や奴隷制に比べてマシに見える。またヒューマンデブリとストリートチルドレン(劇中では孤児)を分けてしまったのも当初の構想からしたら尺不足だったためか理解しがたく、最終話でヒューマンデブリ禁止条約が出来るが団長のオルガ、遊撃隊長のミカヅキ、実働一番隊の隊長シノ、参謀のビスケット、副団長のユージン、メインメカニックのおやっさん、鉄華団主要メンバーの大半がヒューマンデブリではないのでチグハグ感がいなめない。

ちなみにメディアでも勘違いしてる場合アリ↓


ダイジョーブ博士システムとしての阿頼耶識システム・・・

阿頼耶識システムは一見悲壮感ばかり漂う残酷なシステムだが(まあ実際背中の突起邪魔だし気持ち悪いっちゃ気持ち悪い)、成功すれば文字が読めなくても体が小さくても大型機械を自分の手足のように動かせてメンテンナンスフリー、かつガンダムフレームのリミット解除のようなことをしない限り副作用も無い。もちろん失敗すれば残酷な結果が待っているし、2期に出てきたハッシュの兄はまさしくそういう結果だが当然主要キャラはみんな成功して当たり前のごとく使っているので何に同情すれば良いのか分からない。特にメンテナンスフリーで継続的な投薬やナノマシンの交換が不要なのは彼らが絶望的な状況で追い込まれてるという要素をほぼ完全に排除しているのでなんだかなと、阿頼耶識のインターフェース側が制限されてるかと思いきや汎用モビルワーカーにも搭載されてるし、逆に昭弘は非阿頼耶識のグレイズ改操縦しちゃうし”強いられ”感が薄れる。


ヒューマンデブリの胡散臭い描写・・・

ブルワーズ編で露呈するヒューマンデブリの自己肯定感の低さの意味が分かりらない。CGSのヒューマンデブリはジャケットに縦線が入れられていて時代劇でみられる入墨刑をモチーフにしたのかもしれないが、あれは過去に罪を犯した人間が娑婆に戻った時に差別されて自己肯定感も下がると言う話であって半グレ・もろ犯罪組織に属してるヒューマンデブリには全くあてはまらない。そもそもヒューマンデブリにしろ、ストリートチルドレン(阿頼耶識持ち)にしても彼らに対する洗脳がほとんどない上に、彼らを束縛するための要素がIDくらいしかないのが雑過ぎる・・・

OOでの少年兵刹那への洗脳やSEED(元ネタは強化人間)のブーステッドマンの薬物切れなどはしっかり描けてたのに鉄血はどうしてこうなった?

生きてた仮面の男・・・

1期終盤でガエリオ・ボードウィンがマクギリスに倒されて絶命したと思いきや生きていた、これをSEEDの不可能を可能にする男と一緒にして叩く人あるいは擁護する人がいるが両者は全く違う。まずSEEDの場合その人物が死ぬか死なないかはぶっちゃけストーリー上なんの関係もない、それをお涙頂戴の単発展開と批判するのは自由だが敵が彼を殺す必然性も無ければヘルメットが宙に浮いていたのに生存していたとしてもSF・物語としては問題ない。ところがガエリオの場合は直前にマクギリスから自らの犯した反逆・裏切り行為を直に聞かされていて、マクギリスも当然殺すと決めたから聞かせたはずにもかかわらず、特に急いで退却しなければならない場面でも死を確認するのが困難な訳でもないのに生き残らせてしまった。もちろんこれがマクギリスの迷いという可能性もあるが、ここまでしでかしてわざわざ正体明かした状況では不自然さがトンデモない。

あるとしてたらマクギリスも同性愛者でガエリオへの思い入れが強かったんでしょう・・・それも微妙

非武装独立運動の具体性が見えない・・・

ガンダムシリーズは独立がテーマになることも、非戦・非武装がテーマになることもあるが非武装で独立ってとがり過ぎててついて行けない。ついて行けないどころか、ほとんどサブテーマになってるので詳しいことは考えずについて行かなくて良いのか?ついでにここでも独立→ヒューマンデブリ→ストリートチルドレン(貧困)のつながりが全く見えない。

悪名高いダインスレイヴ・・・

ラストで主人公を問答無用、そんなんアリ?って感じで殺害したため悪名たかいダインスレイヴ、でもそもそもからして雑過ぎる。禁忌の兵器という設定が明らかに余計で、ラスタル陣営が使えばメディアコントロール、2022年から始まったロシアによるウクライナ侵略におけるロシアの低レベル偽旗作戦もびっくりの超低レベル偽旗作戦。終いには強すぎてラスタル自身が冷や汗をかく訳ですが、ノルバ・シノの死が劇的過ぎて(鉄血の死亡シーンの中ではゲイ絡みの話が無ければ良い方)スルーされがちだけど大々的に使ってる側のラスタルなのでダサすぎる。

強すぎるマスコミ操作・・・

ドルとコロニー群での蜂起にしろ、ダインスレイヴにしろ、なんだってマスコミ操作で片付くならラスタルは最初から盤石過ぎでは・・・

悪名高くて安っぽいサタデーナイトフィーバーDEATH・・・

マクギリス裏切ってID書き換えで助かる→うーん
なんか静かっすね(盛大フラグ)→うーん
敗軍の将がまったり会話からの唐突心の声披露(盛大フラグ2弾)→うーん
静かなはずの街での急ブレーキ音に反応鈍すぎ→うーん
下っ端庇う→うーん
当たるんじゃねーか→うーん
下っ端庇うのが半ば自決なら良いけどドヤ発言→うーん
明後日の方向に歩き出す→うーん
誰も救命措置しない→うーん
女二人避難してたにしても出てくるの遅い→うーん
指差した先に特に何もない→うーん
例のポーズ→うーん

人が作品上でも死ぬのはなかなかジーンっと来るもんですが、流石にツッコミどころ満載というか安っぽい上に絵面的に凄みもないという見事なガッカリ感。


結局まきこまれ系ではない主体的物語が招いた実力不足

鉄血のオルフェンズが2期ボロボロ、いやいや1期からズタズタだったのはガンダムのテレビシリーズにおいて巻き込まれ系でもなければ命令・使命系でもなく能動的に動く主人公たちを描くハードルが相当に高かったことが原因か。初代~V、広義でG・X、SEED、AGEは巻き込まれ系、W、∀、OOは命令・使命系、ところが鉄血は主人公たちに初期の目的もない上に事件に巻き込まれてから新たな歩みを始めたのは主人公たち自身の決断だった。そういった状況ではロボットSFだけではなくより社会をくっきりハッキリ描く必要があったがそれが全く出来なかった、しかも見た限りおいては監督・脚本は描けていないのに描きたかった感じが凄くて粗をむざむざ見せつけるような珍展開となったのかもれない。


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