映画、ハロルドとモードに関して所感

映画、ハロルドとモードを鑑賞しましたので、それに関する所感をここに綴ります。

モードの一見すると自己を押し通す破天荒な行いに、私は深い共感を覚えます。
一言でモードの生き方を説明するのであれば、自分を見つけられない者なりの自己表現ではないでしょうか。

言葉を極端にすれば破滅的な行動を取る彼女は、それ以外に自身を主張する術を持たなかった。
自身の暗い過去に蓋をしている彼女には自分を見つめ、さらけ出す事ができなかった。
他者との関わりを求める反面、自分を相手に深く知られる事を拒む。
その相反する思いを抱き、行き着いた行動が演出した自分を見せつける派手なパフォーマンス。

他者に愛を求め、深く入り込む他者を拒絶する、その結果、理想の自分を演出した経験があなたにはありませんか?

ハロルドは彼女のパフォーマンスに感銘を受け、また彼女を受け入れる愛を提示しました。
しかしモードは最期までその心に応える事はできなかった。
自分を知られる事を恐れてしまった。

彼女は度々、不安定な存在かのように描かれます。
それは曇ガラス越しであったり、氷越しであったりと様々な方法で。
それはハロルドが自分を求める事に対する葛藤であると私には感じられます。

続いてハロルドについて。
ハロルドは生、愛への渇望を持つ青年です。
母からの愛、他者からの愛、自身を受け入れてくれる存在を彼は求めていると考えます。
それは彼の自殺演技による他者の拒絶から代表的に伺えます。
自身の最期、最も感情に訴えかける死を以て彼は他者の反応を見ます。
求めているのは悲哀、それ以外に彼は愛を確かめる術を知らない為に。
実験に失敗した後で母が取り乱す光景を見た以外に、母からの愛を感じ取れなかった彼の人生からそう伺えます。

ハロルドはモードと出会います。
自身を受け入れる存在に初めて出逢った彼は、その関係性を愛と意識します。
しかしここで疑問が生まれます。
二人の間に愛はあったのでしょうか。
愛の定義を私は存じ上げませんが、感覚的にそれを肯定する事には抵抗があります。

最後に、ここまでお読み頂いたあなたに私から質問をさせてください。
3人目のお見合い相手とハロルド、2人の間に何を感じ何を考えますか?

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