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#19 「おもてなし」と「カスハラ」は表裏
「オ・モ・テ・ナ・シ」
パリオリンピックが盛り上がっています。
東京オリンピック招致の際に流行ったあの言葉を使っている人はもういませんが、日本人の心を表すキャッチーな表現として記憶の片隅に残っている方もいらっしゃるのでは。
私は外国に行った経験はわずかで、アジア圏2泊3日で1度旅行をしたのみです。しかも20年以上前に。
そのため、日本人の比較対象となる外国人との交流が希薄です。だから世界的に見た日本人の印象は伝聞に頼るところが多いのです。
その上っ面な情報から、特に日本人の礼儀正しさや相手に対する細やかな配慮、そして思いやりの心。これがまさに「おもてなし」の精神で日本人の誇るべき国民性だと思っていました。
しかし最近、こう思います。
「それ、ホントか?」
コンビニに行けば愛情のない流れるような接客にあい、言葉とは裏腹に感謝の気持ちを全く感じさせない店員。
焼肉屋に行けば無愛想に飲み物をドンと置く若いアルバイトの店員。
観光案内所では、困っている外国人にしかめっ面で対応するおばさま。
そしてホテルの見送りでは、道路に中々出られない観光客の車を、誘導するわけでもなくこれぞマニュアルとばかりに見送りの手を振る和服姿の女性。
何がおもてなしじゃい!
今の私は、外国人観光客を受け入れる機会が増え、以前より比較対象となるサンプルが増えてきました。
もちろん外国人を一括りには出来ませんが、旅行する外国人は、言葉は通じなくとも、不足は不足で受け入れる。それを他人のせいにしない。そんな人たちと多くいます。
日本人ばかりが優れているとは到底思えない今日この頃です。
最近思うのは、日本人は受け取るサービスに対する期待や願望が過剰なんだなと感じます。
おもてなしの裏側には、そうしなければ苦情の対象になることへの恐れ。上からやれと言われているからやるという義務感。そんな気持ちは潜んでいると。
ありがとうございました。というのは、お客さんからあの店員は挨拶をしないと言われないため。
お見送りでお客さんに見えなくなるまで手を振るのは、お客さんに感謝の気持ちを示すために見える間は作り笑顔で手を振ったりとか。
そこに心はあるんかい!そこに愛はあるんかい!
さてカスハラです。
お客さんが自分の立場が強いと思い込みここぞとばかりに罵詈雑言を吐く。ここまでやってくれて当然。俺が困ってるんだからなんとかしろよ!的な。
お客さんの期待に応えようと誤った方向におもてなしを深化させた結果、カスハラをする人、名付けて「カスハラさん」いう悪を世に生み出したのでないか!
諸悪の根源は、日本人のサービスに対する過度な過信だ!と勝手に解釈してます。
しかしですね、以前も記事にしましたが、私の宿には中学校の修学旅行が毎年多くやってきます。毎年20校程度で、私の宿に泊まるのは計算では200〜300人。
子供達は学校の特徴に影響は受けていますが、カスハラさんはいません。取りまとめの方にきくとカスハラさんもどきの保護者や旅行会社の添乗員はいるようですが。
いつか大人になる子供達は、素直な気持ちを持ち続けてカスハラさんならないことを期待します。
本日もお読みいただきありがとうございました。