還暦祝い
昨晩、おもいたって親友Aのもとに缶ビール2本とチンしたたこ焼きを持って遊びに行った。もちろん缶ビール1本は自分が飲む分だ。
A「おれ明日で60だ。仕事も最終日だ」
9月中旬にいきなりAから電話がかかってきた。親友と言っても小学生中学生時代からの幼なじみだ。だから家は近くても最近はほとんど交流もない。こちらからラインをうっても既読になるだけで返信もない。
それが突然の電話だった。A「もうすぐ60で定年だ。雇用延長で同じ仕事を続けても手取りはかなり下がる。家のローンもある。来月、東京に就職試験受けに行くから同級のTの連絡先を教えてほしい。住み込みでタクシーの運転手をやる」との内容だった。Tは中学の時に転校以来東京在住だ。
早速、Tに連絡をした。
10月に入りTから写真付きでラインが入った。三人で飲んでいる写真だ。T「KとAと三人で会ったよ」なかなか盛り上がってる写真だ。Kも幼なじみだ。Kは東京で自営のペンキ屋をやっている。その日は、Aの就職面接日で、打ち上げの写真だ。
11月に入り、その後音沙汰もないので缶ビールとたこ焼きを持っていったわけだ。A「受かった。当然、受かった。ありがとな」東京の地名試験があるとのことで資料を見せてくれた。かなり分厚い。Aは独身で数年前にお母さんを亡くし一人暮らしだ。
明日がAの誕生日で最終出勤日であることは偶然でもあった。
今日は還暦祝いだ。前祝いだ。わずか缶ビール350での乾杯だ。
Aは今月末には東京に引っ越すらしい。
東京で全く新しい挑戦の仕事をする本当の理由をAは教えてくれた。
「TとKがいるから、おれ、決めたんだ。なんかあった時、すぐ相談できるじゃん」
正直いってそれを聞いてうれしかった。俺たち四人、小学生中学生時代の幼なじみでそれ以来、ほとんど会うこともなく、たまに同級会か何かで会って飲んだくらいだ。
みんな平等に年齢も取る。身体もあちこち痛んでくる。家族が出来たり、皆の変化は様々だ。
だけど幼なじみのつながりは大事なんだな。
そんなことを感じた還暦祝いになった。
さあ、俺も、これから新しい挑戦だ。