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(第8話)スマートフォン依存症からの脱出:30日間のデジタルデトックス体験記【創作大賞2024オールカテゴリ部門応募作】

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

第8話 情報との向き合い方:ニュースや知識の取得方法の変化


デジタルデトックスを始めてから5週目に入った。この1ヶ月余りの間、生活のあらゆる面で変化を感じてきたが、今週は特に情報との向き合い方に大きな変化があったことに気づいた。スマートフォンを手放すことで、ニュースや知識の取得方法が劇的に変わり、それが私の思考や世界観にも影響を与えていることを実感している。

月曜日の朝、いつものように目覚まし時計で起床する。朝食を取りながら、テレビのモーニングニュースを見る。以前はスマートフォンでニュースアプリをチェックする習慣だったが、今はテレビや新聞から情報を得ている。ゆっくりとニュースを見ながら、それぞれの話題について深く考える時間ができた。この変化は、情報の受け取り方に大きな影響を与えている。スマートフォンでのニュース閲覧では、見出しだけを追う傾向があったが、テレビニュースでは一つの話題についてより詳しく解説されるため、背景や文脈を理解しやすくなった。

通勤電車の中では、周りの人々がスマートフォンでニュースを読んでいる中、私は持参した新聞を広げる。紙面を眺めながら、興味のある記事をじっくりと読む。デジタルニュースとは異なり、一つの話題についてより詳細な情報が得られることに気づく。また、普段なら見過ごしていたような記事にも目を通すようになり、幅広い分野の知識を得られるようになった。新聞を読むことで、自分の興味の範囲が広がっていくのを感じる。政治や経済だけでなく、文化や科学のページにも目を通すようになり、世界の多様性を改めて認識した。

会社に到着すると、同僚たちとその日のニュースについて話す機会が増えた。それぞれが異なる媒体から情報を得ているため、多様な視点からの意見交換ができる。これにより、一つの出来事についてより深い理解が得られるようになった。例えば、ある政策についての議論では、新聞で読んだ詳細な分析、テレビで見た専門家のコメント、同僚が別の媒体で得た情報など、様々な角度からの意見が飛び交う。この多角的な視点は、物事を批判的に考える力を養ってくれる。

昼休みには、会社の図書室に立ち寄ることが習慣になった。ビジネス書や専門書を手に取り、短い時間でも新しい知識を吸収するよう心がけている。スマートフォンでの情報収集に比べ、書籍からの学びはより体系的で深いものになっていることを実感する。特に、自分の専門分野に関連する書籍を読むことで、仕事に直接活かせる知識が増えていくのを感じる。また、普段は触れない分野の本を読むことで、新しい発見や興味の広がりも生まれている。

午後の仕事中、ある課題に直面した際、以前ならすぐにインターネットで解決策を探していただろう。しかし今は、自分の頭で考え、同僚に相談し、必要であれば図書室で関連書籍を探すというプロセスを踏む。この方法は時間がかかるものの、より深い理解と長期的な学びにつながっている。問題解決の過程で、自分の知識や経験を総動員して考えることで、創造的な解決策が生まれることもある。また、同僚との対話を通じて、異なる視点や経験を共有することで、より良いアイデアが生まれることも多い。

帰宅後、夕食を取りながら家族と一日のニュースについて話し合う。それぞれが異なる情報源から得た知識を共有することで、家族間のコミュニケーションが活発になった。また、子供たちに新聞記事を説明することで、自分自身の理解も深まっていく。家族との対話を通じて、世代を超えた視点の違いや、同じ出来事に対する異なる解釈を知ることができる。これは、自分の価値観や考え方を見直す良い機会となっている。

就寝前の時間は、以前はスマートフォンでSNSをチェックしていたが、今は読書の時間に充てている。専門書や小説を読むことで、長期的な視点や想像力が養われていくのを感じる。特に小説を読むことで、異なる時代や文化、人々の生き方に触れることができ、自分の世界観が広がっていく。また、就寝前の読書は、デジタル機器の青色光に晒されることなく、より良質な睡眠につながっている。

この1週間を通じて、情報との向き合い方が大きく変わったことを実感している。スマートフォンでの断片的な情報収集に比べ、新聞や書籍からより詳細で体系的な情報を得られるようになった。一つの話題についてじっくりと考える時間ができ、理解が深まった。また、常に最新情報を追いかける必要がなくなり、本当に必要な情報を選んで取り入れられるようになった。これにより、情報過多によるストレスが軽減された。

デジタルメディアの偏った情報に晒されることが減り、様々な媒体や人々から多様な視点を得られるようになった。これにより、物事を多角的に捉える力が養われた。即時性の高いデジタル情報から離れることで、より長期的な視点で物事を考えられるようになった。トレンドに惑わされず、本質的な問題に焦点を当てられるようになった。

常に情報を受け取るだけでなく、自分で考え、想像する時間が増えた。これにより、創造性が刺激され、新しいアイデアが生まれやすくなった。スマートフォンに頼らず、自分の頭で情報を整理し記憶する機会が増えた。これにより、長期的な記憶力が向上していると感じる。情報をきっかけとした対話が増え、周囲の人々とより深いコミュニケーションが取れるようになった。

一方で、課題も感じている。即時性のある情報へのアクセスが制限されることで、緊急性の高いニュースへの対応が遅れる可能性がある。また、専門的な情報を得るのに時間がかかることもある。これらの課題に対しては、重要度に応じて適切な情報源を選択し、必要に応じて周囲の協力を得るなどの対策を取っている。

例えば、仕事に関連する重要な情報については、定期的に同僚や上司と情報交換の機会を設けている。また、業界の動向については、専門誌の購読を始めるなど、オフラインでも最新情報を得られる手段を確保している。緊急時の連絡手段としては、固定電話や会社のメールシステムを活用するなど、代替手段を整えている。

デジタルデトックスを通じて、情報との向き合い方が根本的に変わったことを実感している。スマートフォンに依存していた時には気づかなかった、じっくりと考え、深く理解することの重要性を再認識した。同時に、デジタル技術がもたらす利便性も改めて感じており、今後はどのようにバランスを取っていくかが課題となるだろう。

残り2週間のデジタルデトックス期間。これまでの経験を活かし、情報との健全な関係を築いていきたい。この挑戦が、私の思考力や判断力にどのような長期的な影響をもたらすのか、楽しみでならない。最後の2週間では、これまでの学びを統合し、デジタルデトックス後の生活にどのように活かしていくか、具体的な計画を立てていきたい。

情報との新しい付き合い方を見出したこの経験は、単なる一時的な実験ではなく、今後の人生を豊かにする貴重な機会となるだろう。デジタルとアナログのバランスを取りながら、より深い思考と豊かなコミュニケーションを実現する方法を探求していく。この30日間の挑戦が、新たな習慣と価値観を形成し、より充実した人生への道筋を示してくれることを期待している。


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