【一口馬主】馬体のデータ分析:牡馬・牝馬で異なるコンフォメーションの傾向
はじめに
下記の記事で馬体のデータ分析についてご紹介しました。
データが集まってきたので、牡馬・牝馬によってコンフォメーションと勝ち上がり率の関係に違いが出るのかを細かく調べてみました。
かなり面白い結果となりました。
気になったコンフォメーションについてご紹介したいと思います。
牡馬・牝馬で異なるコンフォメーションの傾向
表の見方
勝ち上がり率と前肢故障率について、表形式で記載していきます。
わかりやすいように平均からの乖離に応じて青~赤の色付けをしています。
青のほうが良い、赤だと悪い結果です。
平均は牡馬・牝馬の平均で算出しているため、下記ご紹介する表において、特に勝ち上がり率は牡馬は青が多く、牝馬は赤が多くなっています。
体重(デビュー時想定)
一口馬主DBの出資ツールにある、デビュー時想定体重を元にした、馬体重のデータです。
牝馬の場合は体重の違いが顕著に出ましたが、牡馬の場合は体重が低くともそこそこ走るという結果になりました。
もちろん牡馬でも馬格がある馬のほうが優勢です。
体高
牝馬の場合、155cm以下になるとあまり勝ち上がり率が良くないことがわかりました。牡馬の場合は馬体重と同じく、ある程度小さくとも一定の勝ち上がり率を示すことがわかりました。
胸囲
体重、体高と同様に牝馬の場合、顕著に勝ち上がり率に差が出ました。
牡馬の場合はそこまではないものの、中間のグループ以上の胸囲があればそれなりの勝ち上がり率となることがわかりました。むしろ大きすぎないほうが良い勝ち上がり率を示していました。
管囲
管囲についても、牝馬では細い場合、顕著に勝ち上がり率に現れました。
ただ、20㎝前後あれば牝馬でも一定の勝ち上がり率を示すことがわかりました。
体長/体高
体長/体高で算出しています。
牡馬・牝馬で逆の結果となりました。
牡馬の場合は縦長(体高が高いor体長が短い)、牝馬の場合は横長(体高が低いor体長が長い)ほうが勝ち上がり率が良い結果となりました。
体高と脚長②の比率
脚長②/体高で算出しています。
②は脚の付け根から下の長さです。(他でご紹介している脚長①は腹下から下の長さです)
牡馬の場合は、グループ間であまり差はありませんが、牝馬の場合は脚長が短いほうが勝ち上がり率が良い結果となりました。
これは体高/体長の結果と関係していそうですね。(牝馬の場合、体長/体高は大きいほうが勝ち上がり率が高い)
前肢の繋ぎの角度
牝馬の場合は特に目立った差がありませんが、牡馬の場合は立ち繋ぎ気味の馬のほうが勝ち上がり率が良いという結果になりました。
脛と管の比率
牝馬の場合は特に目立った差がありませんが、牡馬の場合は管が短いor脛が長い馬のほうが勝ち上がり率が良い結果となりました。
飛節の角度
これも特徴的でした。
牡馬の場合は、直飛でもなく、曲飛でもない中間グループの勝ち上がり率が最もよかったものの、牝馬の場合は中間のグループよりも直飛、曲飛のグループのほうが良い結果となりました。
後肢の繋ぎの角度
牡馬については立ち繋ぎのほうが勝ち上がり率が良い結果になりました。
牝馬では中間のグループが良い結果になりました。
後肢の踏み込み角度
角度が小さいほど踏み込みが深く、角度が大きいほど踏み込みが浅いといえます。
これは牝馬において特徴が出ました。
牝馬の場合、踏み込みが深い馬のほうが勝ち上がり率が高い結果になりました。
後肢の蹴り出し角度
角度が小さいほど、後ろまでしっかり脚を蹴り出せているといえます。
こちらも踏込みと同じく、牝馬において蹴り出しが深いほうが勝ち上がり率が高い結果になました。
逆に牡馬の場合は蹴り出しが浅い馬のほうが勝ち上がり率が高い結果にとなりました。
背中の柔軟性
歩様から背中の柔軟性を評価しています。
背中が硬いグループにおいて、牡馬と牝馬に違いが出ました。
牡馬の場合、背中の硬いグループが最も勝ち上がり率が良く、牝馬の場合最も勝ち上がり率が低い結果になりました。
棘上下筋
肩回りの棘上下筋の肉付きを確認しています。
牡馬の場合は棘筋が良いほど勝ち上がり率が高い結果となりましたが、牝馬においては悪いグループのほうが勝ち上がり率が高い結果となりました。
大腿二頭筋
大腿二頭筋の肉付きを確認しています。
牝馬においては大腿二頭筋が良いほど勝ち上がり率が高い結果となりましたが、牡馬においてはそれほど明確な差が出ませんでした。
半腱半膜様筋
半腱半膜様筋の肉付きを確認しています。
牡馬では中間のグループが最も良い結果となりましたが、牝馬においては半腱半膜様筋の肉付きが良いほど勝ち上がり率が高い結果となりました。
生まれ月
先にご紹介した記事では未記載でしたが、今回生まれ月による成績差についても確認しました。
牡馬では生まれ月によってそれほど差はありませんでしたが、牝馬においては4月以降の成績が下がっていました。
また、前肢故障率は牝馬の1月、2月生まれが特に低いようです。調教開始タイミングと日齢あたりに関係があるのかもしれません。
考察
特に牝馬は馬格が重要
体重、体高、胸囲、管囲の結果から、特に牝馬においては馬格の違いが勝ち上がり率に直結していることがわかりました。
牡馬においても同様の結果となりましたが、牡馬では多少馬格がなくとも一定の勝ち上がり率を示しました。
牝馬は牡馬よりも筋肉の量が重要
棘筋では逆の傾向を見せましたが、牝馬は牡馬よりも筋肉の肉付きが良いほど勝ち上がり率が高い傾向を見せました。
馬格においてもそうですが、牝馬は牡馬よりも筋肉の量が重要なファクターなのかもしれません。
逆に牡馬は筋肉の量よりもやや筋肉の質(見えない要素です)に寄っている可能性があります。
牝馬はピッチ走法に向いていない?(かも)
牝馬の場合、胴伸びがあり、踏み込みと蹴り出しが深い馬の勝ち上がり率が高い結果となりました。
これは、スライド走法を得意とする馬の特徴を表しているのでは?と思っています。
ただ、牡馬の傾向と比較すると、牝馬はスライド走法が得意なわけではなく、ピッチ走法が苦手なだけなのでは?と考えています。
ピッチ走法に良好なコンフォメーションを持っていたとしても、ピッチ走法で走り切るだけのパワーが足りず、結果として勝ち上がり率が低い結果になっている可能性があると考えています。
牝馬のダート戦績は良くないという傾向もあるのでこれはあながち間違っていないと考えています。
さいごに
牡馬、牝馬のコンフォメーションによる傾向の違いをご紹介しました。
まったく逆の傾向を示している項目もあり、非常に面白い結果となりました。
結局どの馬を選べばいいの?という観点では、とりあえず牝馬も牡馬も馬格がある馬を選ぶほうが勝ち上がる確率が高そうです。特に牝馬で馬格のない馬は危険と考えられます。(そう考えるとメロディーレーンは化け物ですね)
今後データを集めていくことで、よりこの辺りがはっきりしてくるかもしれません。