見出し画像

巣立ち

2023年5月18日「乃木坂46 齋藤飛鳥卒業コンサート」に行ってきた。
場所は東京ドーム。

齋藤飛鳥卒業コンサート。
昨年の11月に卒業を発表し、活動は昨年末の紅白で終了、残すは卒業コンサートのみだった。
約5ヶ月という長い期間が空いた訳だが、ファンはその間も心逸れることなく、ただただその時を待ち続けていた。Twitterを見れば、飛鳥の卒業までになにか企画ができないかなど、長い期間を通して入念に準備をしているのを見てとれた。
なぜ5ヶ月も空いたのかと言うと、おそらく、収用人数100%の会場で100%の声出し解禁の状態で開催したいという運営の思いがあったからだろう。もちろんファンもそれを望んでいた。それくらい運営もファンもこの日をとても熱く大切に待っていたのだろう。

ついにこの日がやってきたかという感覚。
僕が乃木坂を好きになった時期はちょうど、2016年頃、裸足でsummerの時期だった。その時期はまだ1期生、2期生は多く在籍し、3期生が入りたてという今では考えられないメンツだった。今では乃木坂は1期生は卒業する齋藤飛鳥のみ、今日齋藤飛鳥が卒業すると、乃木坂のメンバーは3,4,5期生のみとなる。
「時代」という浅い一言で言い切るつもりはないが、この卒業コンサートは乃木坂46の「時代の変わり目」なのかもしれない。
そんな気持ちで足を運んだ。

会場に入ると聞こえてきたのは、俺の嫁コール。ライブが始まる前に一部のファンが客席から「俺の嫁、俺の嫁、齋藤飛鳥さーん!」と叫ぶ乃木坂のライブでは恒例行事だ。コロナ禍で声出しが制限され、長い間聞いていなかったが、俺の嫁コールも今日で聞けなくなるのかと、ちょっと寂しい思いをする自分もいた(笑)、真夏の全国ツアー2018の福岡会場で初めて俺の嫁コールを聞いたときの衝撃を思い出した。

ライブが始まる前に、乃木坂46運営マネージャーの菊池さんと運営代表の今野さんからのアナウンスがあった。乃木坂46を0から作あげてきた1期生最後のメンバー、そして乃木坂の中枢を担った齋藤飛鳥の最後のステージにかける思いが話された。運営も並々ならぬ思いでこの日に向けて準備してきたのが強く伝わってくる。観客もついにライブが始まると固唾を飲んで見守っているのがよく分かった。

そして始まるoverture。僕自身声出し100%の乃木坂のライブは久々だったので久々の声出しovertureはとても迫力があった。齋藤飛鳥カラーの白と青のサイリウムが東京ドームを埋め尽くしていた。とても綺麗な景色だった。

今回のライブは、まさしく齋藤飛鳥らしいライブだった。
「鳥」をモチーフにした会場のセット、1曲目のドラムパフォーマンス、気合いは入れつつもどこか脱力を見せてくれるVTR、アンダーと選抜どちらも経験しているからこそできるパフォーマンス、齋藤飛鳥節が盛大に盛り込まれていた。

最初のドラムパフォーマンス。メインステージから登場し、ドラムセットの場所に着くと、ドラムを演奏しながら、会場サブステージまで一気に移動する。小柄な見た目からは考えられない、奏でるドラムの音はとても強く大きな音だった。その流れのまま他のメンバーが登場し披露したのは「ジコチューでいこう」。言わずと知れた乃木坂46の夏曲だ。会場も一斉に歓声を上げ1曲目から会場はとんでもない熱気を帯びていた。

中盤には、3,4,5期生それぞれの楽曲に齋藤飛鳥が加わる形でのステージがあった。「全てのメンバーが東京ドームのモニターに映って欲しい」という思いからこのステージが実現したそうだ。4期生とのコラボで披露した「I see. 」間奏の部分で賀喜遥香が涙ながらに話した感謝の言葉は、とても印象深かった。5期生と披露した「絶望の1秒前」。ちょうど1年前日産スタジアムでこの曲を初めて見た。その時はまだ5期生も加入して半年そこら。でも今は加入してから1年半ほどが経過した。日産スタジアムでは緊張とあどけなさが伝わってきたが、今回は齋藤飛鳥とステージを共にし東京ドームという大舞台でありながら、自信と希望に満ちあふれたステージを見せてくれた。

アンダー楽曲では、扇風機、Against(これはアンダー楽曲ではないが今回はアンダーメンバーによるステージ)が披露された。齋藤飛鳥がアンダー時代のセンター楽曲だ。当時のアンダーメンバーはもう卒業しているので現アンダーメンバーとの楽曲披露。
アンダーを経験しているからこそできるステージ。
明るさも暗さも不屈の精神も、アンダーメンバーだからこそできるパフォーマンス。齋藤飛鳥も最近では選抜常連メンバーになったが、アンダー時代の気持ちも決して忘れない、熱いステージだった。

そしてライブも終盤、アンコールではソロ曲「硬い殻のように抱きしめたい」が歌われた。
サビの「気の利いた言葉なんて 思いつかないけど 君のために硬い殻になって 悲しみから守り抜こう」。
これはまさしく齋藤飛鳥を象徴している楽曲だと思う。それほどおしゃべりではない齋藤飛鳥だが、後輩からの信頼はとても厚い。これは後輩が不安なときは優しく寄り添っていたことによるものだろう。特に4期生の遠藤さくらは、映像などを見ていると、泣いている時はいつも齋藤飛鳥が傍にいる。
齋藤飛鳥は今回のライブの要所要所で「これからの乃木坂46を見ていて下さい」と話していた。自分の卒業コンサートなのにこれからの乃木坂の話しをするのはとても他人想いな性格の表れなんだと思う。

そして最後の曲「ジコチューでいこう」では満面の笑顔で踊り歌っていた。
乃木坂46としての最後のステージを楽しんでいること、そして何より成長した後輩を見て喜んでいるように見えた。

11年間の乃木坂46としての活動。
乃木坂46の1期生として13歳で加入した齋藤飛鳥も11年の月日を経てグループの中核となり、さらに後輩から厚い信頼を持つ存在に。

小さな鳥が成長し大きな鳥となり、
そこに新しい小さな鳥たちが加わり、その鳥たちも大きく成長した今、
巣立ちの時だ。

そんなことが感じ取れた最高のステージだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?