「作家だから発見?」 志賀直哉は味覚に無関心。

 作家の吉村昭は志賀直哉の短編の文章に惹かれた一方で、味覚に無関心の人じゃないかと書きました。
 志賀が「小僧の神様」で表した鮨は、ただこの小僧の空腹感を満たすだけのものであって、味というものではない。淡泊です。

 長編小説のためにいろんな所へ行きながら、どうして食べ物のことを書かないんでしょうか。これは私は一つの発見だと思いました。

 そう吉村は書いています。

 志賀直哉の文を読んで「味の表現がない」と指摘するのは
 吉村が書き手だからかな。
 自分なら書くことを、この作者は触れもしない。

 気になったんでしょうね。面白い発見ですね。

メモ
作家が他人の作品の論評をすると、個性的な気づきがある。