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瀬戸内寂聴が文通していた三島から鴎外先生に毎朝、お花と水を手向けてください、という文をもらった。

 文通していた三島から「太宰の墓にお尻を向け、鴎外先生のお墓に、毎朝お花と水を、僕の分も含めて捧げてください」という文をもらった、と寂聴は書いた。

 三島に知られるぐらい私(寂聴)が鴎外を尊敬することは格別で、鴎外の気韻の高い文章が、とにかく好きだった。小説も好きだが、漢字の多い伝記物より、ドイツの踊り子の話しや、日本の若い妾の話など、さりげない品のいい文章がたまらなく好きになった。どの鴎外の小説でも、言葉の難しさに係らず、すらすらと読めるのは、書くものを鴎外が完全に頭の中でかみ砕いているからだろう、と記す。

 考えながら描くか、考えてから書くか。
 これが読まれる分岐点かぁ。
 寂聴先生、かみ砕だく秘訣は?、考えて書く秘訣は?