フランスのリール美術館(Palais des Beaux Arts de Lille)を訪れる
コロナを介して、年末になると決まってフランスへ行くようになった。
かつてはもっと芸があり、バルト三国へ行ったりもしたものだが、昨今では航空券の値上がりが著しいのと、「言葉のわからない国へ、日照時間の少ない年末に、美術館や商業施設の営業時間の下調べをわざわざし、不意の事態に備えてPlan BやCをリスト化して行く」という行為が面倒になったのだ。その点フランスは、言葉も勝手もある程度わかっていてラクだ。
ただ、パリへは6,7回は行っているので、違う県の大きめの都市に滞在し、そこから近郊を訪れることにしている。
今回の行先はリール(Lille)だ。フランスの人口のランキングでは10位、2位のマルセイユ、8位のモンペリエを除くと上位は制覇したのと、マルセイユは治安の悪さ、モンペリエは夏のイメージが強いため、自ずとそうなった。
Lilleについて
LilleはHauts-de-France地域圏の首府で、ベルギーの国境に近い都市である。ここ出身の有名人は、パリの国際空港名にもなっている18代大統領のCharles de Gaulle、それ以外に有名なものはゴーフルくらいだが、フランスの美術館やお屋敷・お城は大概どこを訪れても外れがないのと(イタリアとフランスはあまり外れはない。一方、例えばチェコは、個人的な意見として、正当な対価が払われなかったので、街中を見るだけで十分だと思う)、凄くマイナーな話だが、Lilleの横にRoubauxという冴えない街があり、その街の名がタイトルに入った映画「Roubaix, une lumière」で、私の大好きな女優のLéa Seydouxが演じていたため、兼ねてから興味があったのだった。
Palais des Beaux Arts de Lilleについて(場所)
前置きが長くなったが、今回まず初めに訪れたのがリール美術館(Palais des Beaux Arts de Lille)である。République Beaux-Arts駅という、街の中心のRihour駅の隣の地下鉄駅にあり、勿論、Rihourからも歩けるので、便利な立地にある。
つぶやきでお昼に食べたフィナンシェを載せたが、これはこの美術館のものである。
ホテルチェックイン時の大惨事
そして、この時に書いたチェックイン問題にも少し触れておこう。
本当に酷い話だが、コードを入力して開ける自動チェックイン用の箱に鍵が入っておらず、住民と他の宿泊者を巻き込み、電話とメールのあらしをし、ある住民がスペアキーの在り処を見つけ、私と英国のカップルの部屋の鍵を抜き取って渡してくれた、という大惨事だった。結局、ホテル側からの反応は丸2日なく、26日の朝、レセプションで初めて従業員を見かけ、直接フランス語でクレームをしたところ、流暢ではないフランス語のためにかなり怒っているのが伝わったのか、上司とすぐに相談をしてくれたようで、20%の返金を受けることにはなった。
それでも、トラブルに巻き込まれないに越したことはない。
Palais des Beaux Arts de Lilleについて(展示内容)
さて、気を取り直していこう。
朝ホテルにスーツケースのみ預ける約束をしていたが、上記の理由ゆえ、持参で暫く町の散策をする羽目になった身としては、美術館へ行くことを一瞬ためらった。というのは、かつてロンドンの某有名博物館の入り口で預けて入ろうとした際、拒否されたことがあったからだ。それゆえ、今回はまずは入り口で「すみません、チェックインまで少し時間があるのでスーツケースを持っているのですが、預け場所はありますか?」と聞いた。すると「勿論、奥で預かれますよ。ただ、中身をざっと確認させてくださいね」と言うではないか。
「さ、さすがおフランス、芸術を見る人には寛大な心と手を差し伸べてくれるではないか」とこの日初めて気分を良くした私。
荷物検査を終え、チケットを買い、荷物を預け、いざ鑑賞へと移る。
常設展示としては、
1階→陶器、16~20世紀の彫刻
2階→中世・ルネッサンス、16~21世紀の絵画
特別展としては、私が訪れた際には、女性の芸術家に焦点を当てた「OÙ SONT LES FEMMES ?」というスペースが設けられていた。
では写真へと移ろう。
※1階 陶器のスペース
※1階 16~20世紀の彫刻
Satyre et Bacchante(Jean-Jacques Pradier作、1833年)
山野の精サテュロスが酒と豊穣の巫女バッカンテを支えるエロティックな作品で、こちらの漆喰の作品がLilleに、大理石の作品がパリのLouvre美術館にある。
2階への移動の廊下は次のような感じだ。
※2階 中世・ルネッサンス/16~21世紀の絵画
※2階 特別展
こんな感じで、一区画、女性の芸術家に焦点が当てられていたが、個人的にはあまり興味が持てなかったので、1点だけ載せておこうと思う。
滞在時間は3時間弱だったが、それでも時間が足りないのは、フランスの美術館ならではの特徴だと思う。
年末にはこの他にも各種美術館を訪れた。
年始で仕事も忙しくなり、3月頃までペースを落とすが、順次、イタリアの展示と併せて感想と写真を載せていきたいと思う。