第4話 家の電話には色々な障壁がある
「今日こそ彼女に電話しよう」
正確には彼女の家に電話しようだ。
携帯もメールも無い時代、彼女に電話したら必ず家族が出る。
「父親か母親それとも兄弟?」
「父親だったらどうしよう、最大限の敬語で話すしかないな」とか色々考える。
色々考えると最後の番号が回せない(当時はダイヤル)やっと回した所で手を離せない。
「今日は止めよう」 「次回にしよう」
プルルループルルル
ガシャ!
「はい松田でごさいます」
「大谷と申しますが、由美子さんはご在宅でしょうか?」
「えーと ユミちゃんはお友達と千葉の海に泊まりで出掛けてますよ」
「そうでしたか、それでは
また改めて電話させていただきます」
「そうですか ごめんなさいね」
「いいえ、ありがとうございます
失礼します」
ガチャ
初めての電話は空振りでした。
出たのはお婆ちゃんだろう
残念な様な
よかった様な
優しそうで感じのいいお婆ちゃんぽかった
これで次もかけられそうだ。
この頃学校が夏休みの☀️期間で、
彼女がバイトに来る事が少なくなっていた。おそらくバイト代を貯めて学校か遊び中心になっていたのだろう。
それもあって電話でトライするしかなかった。
再度トライする時が来た。
プルルループルルル
ガシャ!
「はい松田です」
「大谷と申しますが、由美子さんはご在宅でしょうか」
「はいちょっと待ってくださいね」
「ユミちゃ〜ん電話よ大谷さんだって」
「やべーいるよ何話そう」
「もしも代わりました」
「あ」「大谷です〇〇の」
「あぁ大谷君、こんばんはどうしたの?」
俺 「バイト先で番号聞いて電話しゃった」
「あ そうだったの、この前も電話くれたみたいだね、お婆ちゃんから聞いてたよ」
俺 「あ そんなんだーなんか海に泊まりで行ってたみたいだね」
「そうなの千葉に友達と行ってたの」
そんな会話をした後
俺「今度俺とお茶でもしてくれませんか?」
彼女「フフ笑 なんでそうしたいの?」
そしたら思わず
「俺由美子さんの事が好きなんです」
すると彼女は優しい声で
彼女「笑笑 ありがとう❤️」
「ありがとう」って、
なんて優しい人なんだ、俺の思ったとうりの人だ!
彼女「でも、ごめ〜ん私好きな人がいるの」
やっぱりそうか😢
心の中で
「あんなに綺麗で素敵なら彼氏いるよなー」
しつこい男と思われたくもないし、すぐに諦める気も無いし。
「由美子さんが好きな人いても、俺が好きな気持ちはどうしょうもないじゃん、だからまた電話させて」
彼女「そうね、いいよ電話しても」
何回か電話すると居たりいなかったりで、「お婆ちゃんが大谷君から何回か電話あったよ可哀想にあなた出掛けてたからって言われたちゃった」とそんな会話を繰り返し数ヶ月。
その頃彼女はほとんどバイトには来なくなっていた。電話で聞く彼女の話は高校生の私とはちがく、少し大人の感じがしていた。
会話の中でデートに誘うも断られ続けたある日。
彼女が
「そんなに言ってくれるならお茶くらいいいよ」
と言ってくれた。
電話を切ってから
「会ってくれると言ったけど、会って何話すんだ俺、電話での彼女の会話から俺の持ってる話題なんて子供っぽ過ぎてすぐthe endだ! 」
「車でドライブ行こうも無し、遊びも知らない。その頃してたのは先輩に車でサーフィンに連れてってもらっただけだし無理無理」
「あんな綺麗な大人の女性は無理きっとしらけて終わり」
と、どうしていいか分からない。
そのときから電話もしなくなり、それっきり会う事もなかった。
高嶺の花過ぎて顔を逢わせる事も無理。
男女の間には摩訶不思議な感情が存在する事もこの時初めて知りました。
そんな事で私の心の中では永遠のマドンナになってしまった由美子さん。
しかしここから10年後にこんな偶然があるのかと思う再会があるのです。
第5話
潰瘍性大腸炎で入院の繰り返し
28歳の3回目の入院で起きたマドンナとの奇跡的な再会?
つづく