1.公務災害と労災の違い
公務災害とは、公務員が公務中や通勤中に発生した怪我や病気のことを言います。公務員が公務災害によって被害を受けた場合は公務員災害補償制度により、生じた損害が補償されることとなります。
国家公務員が公務災害にあったら、「国家公務員災害補償法」、地方公務員が公務災害にあったら、「地方公務員災害補償法」が適用されます。
とくに地方公務員は各都道府県に設置されている公務災害補償基金が窓口となります。
とくに正規職員なのか会計年度任用職員なのかでも対応が異なるようです。ここでは正規職員に適用されるものについて述べていきます。
公務災害の範囲について
公務災害と判断されるのはどこからどこまでなのでしょうか。
業務中の事故はもちろん、通勤途中で遭遇したアクシデントにも対応します。業務中の自家用車使用時における事故は、それが客観的に業務中であったと判断される場合は公務災害となります。
一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が公表している「公務災害の現況~平成30年度認定分」によれば、公務災害の職種別認定件数は教育関係が27%、公安関係が20%前後、医療福祉関係が10%前後となっています。
公務災害の認定基準と種類
公務災害の認定基準は以下の二つの要件を満たす必要があります。
①公務遂行性
公務遂行性とは、公務員が公務に従事していることをいい、任命権者の支配下にあるということが必要です。
たとえば、非番のときに被った災害は公務災害になりえません。
②公務起因性
公務起因性とは、災害と公務の間に相当因果関係があることを言います。単に条件関係があるだけでは足りず、「あのような職務に従事していたならば、このような災害が発生しうるだろうし、傷病が生じるだろう」といった、客観的な蓋然性と公務との関係が明らかであると認められることを言います。
例えば、異動の際に重い段ボールを持ち上げようとしたらぎっくり腰になってしまったという場合は、確かに業務中ではありますが、常日頃重いものを持ち上げるような業務に従事していることが証明されなければ、ぎっくり腰と公務の関係は明らかではありませんので、公務災害に該当しません。
公務災害具体例その1~公務上の負傷~
・通常又は臨時に割り当てられた職務遂行中の負傷
・職務遂行に伴う合理的行為中の負傷
・救助活動中の負傷
・防護行為中の負傷
・出張又は赴任の期間中の負傷
・特別の事情化の出勤又は退勤途上の負傷
・設備の不完全又は管理上の不注意による負傷
・職務遂行に伴う怨恨による負傷
・公務上の負傷又は疾病と相当因果関係をもって発生した負傷
・その他、公務と相当因果関係をもって発生した負傷
筆者は業務中に現場急行するよう連絡が入って公用車で移動したので、「職務遂行に伴う合理的行為中の負傷」に当てはまりました。公務災害具体例その2~公務上の疾病~
・公務上の負傷に起因する疾病
・認定基準で掲げられた職業病
・その他公務に起因することが明らかな疾病
認定基準はこちらです。↓
公務災害具体例その3~通勤災害~
労災では勤務のために住居と職場の往復で起こったアクシデントについて労災認定はされません。ですが、公務災害では通勤途中のアクシデントを認定することがあります。
・住居と勤務場所との間の往復
・勤務場所から他の就業場所への移動
・住居と勤務場所の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
ただし、合理的な経路および方法により行うことに起因する災害に限られますので、例えば帰路でガソリンスタンドへ向かう途中であったり、スーパーへ買い物によるのはいいとしても、飲み会へ向かう途中はNGとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は公務災害の認定範囲について書きました。次回は認定方法について書いていきます。