ウィンターベルのアスター賞出走の背景を読み解く(競馬の話)

 昨日9月7日、中山競馬場で行なわれたアスター賞。2番人気のウィンターベルが3着に敗れました。「マイルは短い」とか、「晩成なのだから、2歳の今は走らない」など、ネット上で散々に書かれてますね。

 普段ならば気にしないのですが、前日の投稿でアスター賞出走のウィンターベルについて書いただけに、見て見ぬ振りは出来ません。
 それらの声を否定をする気はありません。ただ、筆者の考えを書きます。
 この記事を読んで、ウィンターベルの単勝や、1or2着固定の馬券を買った方の溜飲が多少でも下がれば幸いです。
 「1頭の馬、しかも新馬戦を勝っただけの馬に、よく時間を割いてまで書くね。所詮、競馬だよ」などと言われそうですが…。
 でもね。長文対応型SNS『note』って、こういう使われ方を想定して出来上がったツールだと思うんです。だからこそ筆者は『note』を使い始めたのであって…。個人的には何の違和感も無く、淡々と書きます。

 さて本題。ウィンターベルについてです。
 上記の見出しで例に挙げた、
 「マイルは短い」
 この意見は結構多くありました。
 その理由が血統だったり、勝ち上がった前走の走破タイムだったり。負かした相手のレベルが低かった、という根拠もありました。
 成程と思う意見ばかりですが、陣営のアスター賞出走の判断が『全く別の次元』によるものだとしたら、どうでしょうか?

 ウィンターベルの馬主欄、チェックされました?
 吉田勝己さんです。日本最大のサラブレッド生産牧場『ノーザンファーム』の代表ですね。
 ご自身も個人馬主として馬を所有しますが、ビジネスとしては馬を売る側の人です。
 ウィンターベルを含むノーザンファームの生産馬が、今年デビューの2歳世代でも既に沢山走っていますよね。
 この世代の目下最大の目標レースは朝日杯FSとホープフルS、そして牝馬限定の阪神JFです(今回は芝カテゴリーの話ですので、ダートの全日本2歳優駿は一旦置いて下さい)。
 ウィンターベルは牡馬ですから、朝日杯FS(芝1600m)とホープフルS(芝2000m)に絞られます。

 さて。企業経営者である以上、自社の利益の最大化は当然の事です。
 いかに多くの自社生産馬を大レースに送り出すかが焦点になります。
 ここで先週末(9月1日終了時点)でのノーザンファーム生産馬の勝ち上がり頭数を、距離別に見てみましょう。
 まずは芝1600mの牡馬です。
 アルレッキーノ、ウィンターベル、トータルクラリティの3頭です(五十音順)。
 次に芝2000mの牡馬です。
 ヴィンセンシオ、カレンラップスター、サラコスティ、ショウナンバルドルの4頭です(同順)。
 距離の近いところで、芝1500mで勝ち上がった馬(牡馬3頭)が1600mに向かう可能性は高いですよね。
 しかしながら同様に、芝1800mで勝ち上がった馬(牡馬9頭)は2000mに向かう可能性が高いのが過去の例です。
 比較してみると1600m路線の方は現状、頭数が少ないのです。
 この視点で見れば、ウィンターベルが芝1600mのアスター賞への出走を決めた理由について、賛同するかどうかは別にしても、その意図は理解は出来そうです。

 さて、ここに書いた内容はあくまで筆者の想像です。実際は見当違いかも知れません。
 しかし陣営が何の考えも無く、無策にレース選択をしたとは到底考えられません。彼等はプロ中のプロなのですから。
 皆さんはどう考えますか?

 「馬券を買うのに、そこまで考えたくない」
 「商売の話なんて、知らん」
と思う人は少なくないでしょう。
 確かにそうですね。大方の競馬ファンは休日に競馬を楽しんでいるのですから。

 随分と長く書いてしまいました。
 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
 それでは


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