穴党は常に『fluke』に期待する(競馬の話)

 競馬は出走頭数が少ないレースほど、『fluke(紛れ・まぐれ)』が起こりにくいと言われる。さて、この週末の中央競馬において、最少頭数は5頭立ての野路菊Sである。

 まだまだ勝ち上がり頭数が少ない2歳の9月。しかも2歳戦の中で最長の2000mともなれば、尚更エントリーする馬は少ない(野路菊Sは通常、阪神競馬場・芝1800mで行われるのだが、今年は中京競馬場での代替開催。ところがその中京には芝1800mのコース設定がない為、2000mで行われる)。

 さて、そんな今年の野路菊Sに前評判の高い高額馬、エリキングが出走する。
 以前にもデビュー前のサラブレッドの競りで1億円を超える高額馬は存在した。だが最近はその数が多い。2億や3億の値が付く事も増えた。最早、1億は高額馬の目安では無いのかも知れない。
 エリキングは昨年の競りで2億超えの値が付いた。評価はもちろん最上位級である。
 これだけの高額馬ともなれば、預かる先(調教師)もトップ級の実績を必要とする。本馬を預かる中内田調教師は直近の7年間で4度の「最高勝率調教師賞(JRA賞)」を受賞。そして本馬に騎乗するのは川田将雅騎手。こちらは昨年まで5年連続で「最高勝率騎手賞(JRA賞)」を受賞している。
 国内最高レベルの布陣と言って良いだろう。

 キャリアが浅い2歳馬は血統(特に父親)が芝・ダートの適性や、得意距離の判断材料になる。
 エリキングの父はキズナである。今年のクラシック初戦・皐月賞を制したジャスティンミラノの父でもある。大変人気のある種牡馬で、最新の種付け料は1200万円という。この2歳世代でも早々にマジックサンズが札幌2歳Sに勝利。順風満帆である。

 さて、野路菊Sに話を戻す。
 馬券発売の締切り時刻まで、エリキングが他馬に1番人気を譲る事はないだろう。繰り返しになるが、5頭立ての少頭数レース。まさに『死角なし』である。

 いや、はたして本当に『死角なし』なのだろうか。
 別にアンチ・エリキングな訳では無い。ただ、他馬にもチャンスが在るのかを考えたいだけである。

 前述した通り、競馬では父親(種牡馬)のデータ(つまりは産駒の実績)が頻繁に用いられる。巷には種牡馬別に分類した血統解説書も多数あり、愛読するファンも多いようだ。
 さて。手元に今年の2歳戦の種牡馬データがある。これを今回の野路菊Sの出走馬と照らし合わせ、眺めていたら気がついた事がある。
 エリキングと同じキズナ産駒(牡馬)の勝ち上がり頭数は全4頭。内訳は芝3頭・ダート1頭なのだが、芝は全て1800mで記録している。つまり2000mは0勝である。
 そもそもレース開催数の少ない2000mである。気にしない事も出来る。エリキング陣営もきっとそうだろう。
 だが、穴党はそこに光を見る。

 随分長い記事になってしまいました。
 最後に今回該当する芝2000mのデータだけ紹介して終わりにします。
 エピファネイア牡馬(ジョバンニの父)︰4勝
 ブリックスアンドモルタル牡馬(ワンモアスマイルの父)︰3勝
 モーリス牡馬(ラッキーベイの父)︰1勝
 シュヴァルグラン牝馬(スーパーチャンドの父)︰0勝

 それでは


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