ガザで実証済みAI兵器 イスラエル新興輸出へ 民間人犠牲者の急増必至
AI技術先進国のイスラエルでは新興企業が自ら開発した各種AI兵器の輸出に乗り出している。これらの兵器はパレスチナ自治区ガザでハマスと戦闘を続けるイスラエル軍に提供したもので、実証済みであることがセールスポイントだ。
例えばスマートシューター社の代表製品は、標的を自動識別する装置。イスラエル軍は「ハブソラ(福音)」と名付けており、英陸軍は小型のものを小銃に装着してドローン撃墜する訓練を行っていると英BBCは報じている。
空爆・砲撃の標的を自動的に数多く設定する「ハブソラ」はどれほどの威力なのか。イスラエルが「鉄の剣」作戦と名付けた今回のガザ戦争について1月13日JCJオンラインで講演した元朝日新聞記者の中東情勢ウオッチャー・川上泰徳氏はこう語った。
イスラエルネットメディア「+792マガジン」の調査報道によると、イスラエルがガザを攻撃した過去の事例では、08年の1日平均標的数は155カ所、14年は122カ所、21年136カ所だったが、23年は429カ所。過去3回の1日平均138カ所に対して今回はその3・11倍にもなる。
情報部員は「数万人の情報部員では処理できなかった膨大な量のデータを処理するハブソラはリアルタイムで標的を示す」「ハマス幹部への攻撃の巻き添えで許される民間人の死者は数百人にまで増加した」と述べた。
この結果、どうなったか。世界保健機構によると、08年、14年、21年の女性・子どもの死者は38%から41%で、非戦闘員の男性が60%に対して23年は女性・子どもの死者は69%に達し、男性が30%で、過去3回と逆転している。
ハマスを「人間の顔をした動物」(ガラント国防相)ととらえるイスラエルのガザ攻撃は民間人も対象にした「ジェノサイド(集団殺害)だ」と川上氏は断罪した。
AI標的システムの拡大は紛争地での民間人の犠牲者を大きく増やすことになるだろう。