40年温室効果ガス73%削減は困難、火力発電の脱炭素羽化進まず、50年実質排出ゼロも危うい
経済産業省は第7次エネルギー計画(エネ基)素案とともに「地球温暖化対策(温対)計画」素案を12下旬発表した。温対素案は2040年温室効果ガス(GHG)削減の目標値を提示している。2013年と比べて73%減としているが、本当に達成できるのだろうか。
エネ基素案で40年の電源比率構成は、原発2割程度、太陽光、風力、水力など再生可能エネルギー4~5割程度、石炭、製油、天然ガスの火力発電3から4割としている。
二酸化炭素(CO2)の排出が最も多い火力発電の脱炭素化がGHG削減の最大ポイントだ。早期の段階的に廃止すなわちフェーズアウトが先進国の合意になっている石炭火力については、「非効率な石炭火力のフェーズアウト」を進めると述べるだけで、政府がいう「高効率」な石炭火力の扱いにはほとんど触れていない。
この高効率な火力発電では、石炭アンモニア混焼発電が有力視されている。ただ50%をアンモニアにしても排出削減は30%にとどまる。完全脱炭素化に必要なアンモニア専焼技術は確立していない。またCCS(CO2回収・貯蔵)システムを有する火力発電は、発電所での回収のみならず、CO2の運搬や貯蔵過程を含め脱炭素化技術はまだ実現できていない。
こうしたことで新技術に触れたくても触れることができなかったのだ。
それでは40年の電源構成にもとづき73%削減は可能かについて自然エネルギー財団は「GHG73%達成のためには、3~4割供給するとする火力発電はほぼ100%脱炭素にしなければならない」「技術的に確立されていない脱炭素化火力発電に3~4割もの電力供給を見込むのは、日本の脱炭素化を失敗させる大きなリスク」という。すなわち73%削減達成は難しいというのだ。それどころか最終目標である50年GHG実質排出ゼロも危ういのである。
原発と火力発電の延命、そのため脱炭素化に最も効果がある再エネ電源の比率が高まらないという日本のエネルギー政策は、経済の成長を阻む元凶になりそうだ。