元日の梅田芸術劇場にて、Show must go on精神に救われた話
2024年1月1日。
待ちに待った元日。彼女の舞台を観に梅田に出かけました。お正月から彼女にお会いできるなんて嬉しすぎる!わくわくしながら客席に着きました。
そして舞台の幕が開きました。
あぁ、新年早々に浴びる彼女の美、最高………
と、お姿をじっくり堪能して過ごしておりました。
第一幕は無事に終了し、第二幕が始まって少し過ぎたころ。
地震が来ました。
舞台の観劇中に地震に遭うのは初めてのことでした。そもそも毎年元旦は自宅か祖父母宅でのんびりしていたので、舞台を観て過ごすこと自体初めてでした。初の元日観劇に地震に遭遇するとは想像もしていませんでした。
件の場面は、ルパン、クラリス、カリオストロ伯爵夫人、レオナールが四人で馬車に乗ってお話しているところでした。夫人が、「気がついたの、この人とは協力した方がいいって」といった台詞を話す場面です。
彼女のお姿を真剣に見つめていたら…
ゆら、ゆら、ゆら、ゆら。
ゆら、ゆら、ゆら、ゆら。
あれ?なんか席が左右に揺れてる気がする…
気のせい?背景が車窓みたいに流れてるから錯覚しているのかな?それとも電車とかトラックが走って揺れたのか?はたまた換気で空気ごと揺れてるのかな?とか思っていました。
でも、それにしては揺れてる時間があまりにも長い。
1分くらい続いた頃でしょうか。あれ、これ、もしかして地震…?と、気づくか気づかないかの瞬間に、ゆらゆらゆらゆら!と小刻みに左右に揺れ出して。うわこれ完全に地震だ…!!と心の中がパニックになり。お客さんも口々に地震!?と話し始めていました。
初期微動が1分程度と長かったので、おそらく大阪は震源地ではないのだろうと思いました。しかし、これだけ長いということは、大阪から離れた場所で大きな地震が起きているかもしれない、一体どこで地震が…!?と、不安と恐怖に襲われました。
しかし!なんとルパン、クラリス、レオナール、そしてカリオストロ伯爵夫人の全員が表情一つ変えずに舞台を続けてくださったのです。彼女をはじめとする四人が「落ち着け……落ち着け……」と全身からオーラを発していたように見えました。
動じない彼女の瞳を見つめているうちに少しずつ不安感がおさまっていきました。瞳には本当に一瞬の揺らぎもなくて、地震のような揺れはもしかして錯覚だっただろうか?と思うほどでした。
これがShow must go on…!
その後も、地震の恐怖はつきまとうものの、彼女の地図作りとタンゴダンスを落ち着いて拝見。スカート捌きが美しすぎる……おみ足が綺麗すぎる……と眼前の光景を堪能し、ダンスも無事に終了。ルパンと共に上手にはけていくところまで見送りました。
すると突然会場が明るくなり、え!?と思ったら、「舞台機構の点検と安全確認を行います」と一時中断が入りました。こんな体験は初めてのことでした。みんなスマホで状況を確認しはじめました。近くの席の人と少しお話をしていると、どうやら震源地はかなり離れていたよう。それなのにこの揺れか…!と驚いてしまいました。
舞台は15〜20分ほど中断しましたが、そのあと無事に再開しました。中断している間に状況も確認でき、とりあえず心身共に落ち着くこともできました。
揺れが起きてから一時中断までの間、一体この地震はどこでどんな規模で起きているのか?はたまた本当に地震なのか?と、何もわからない状態で。「わからない」ということがこんなにも大きな恐怖をもたらすことを初めて知りました。
それはきっと舞台の上にいらした皆さんも同じなのではないかと思います。
それにもかかわらず、顔色ひとつ変えず、声の調子もいつもと変わらず、「普段通りに」舞台の上で生きられる彼女たち。
はからずも、彼女たちのプロの舞台人としての精神を垣間見ることになりました。なにしろ、本当に誰も、何ひとつ、普段と変わらなかったのです。
主演の方が終演後の挨拶で「いつもと変わらないクオリティの舞台をお届けできたと思います」と仰っていましたが、まさにその言葉通りで、初めから終わりまで何一つ変わらずに届けてくださいました。素晴らしい舞台でした。
唯一違った点といえば、終盤にかけて、彼女に頼もしさが増していったことでしょうか。客席の動揺を、持ち前の包容力で落ち着かせてくださいました。
特に、終盤にかけての財宝をめぐる対決の場面では、この舞台を今まで拝見した中で一番、どんと構えていらっしゃるように感じました。そのお姿にはトップスター時代を彷彿とさせる漢気がみなぎっていました。かっこよすぎました。
彼女をはじめとするキャストの皆さんのShow must go on精神に救われた一日となりました。
舞台を最後まで届けてくださり、本当にありがとうございました!
舞台の終演後にニュースサイトを見たら、予想以上に被害が大きく、またも驚いてしまいました。該当地域の皆様が、どうかご無事でありますように…。
追伸
右隣の席にいらした女性の方。揺れの中での、地震でしょうか…?という会話に始まり、宝塚を数十年見届けて来られたこと、彼女が宝塚史でも稀有な素晴らしい役者であること、彼女の新人公演が素敵だったことなど、たくさんの貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!
左隣の席にいらしたお兄さん。彼女のファンの方とリアルでお話できたのは今日が初めてだったのでとても楽しかったです。まぁまかは最高です。またいつか再会できたら、もっといろんな作品についてお話しましょう!
お二人が無事に帰宅できていますように…!
ヘッダー画像は劇場に飾ってあった門松です🎍
たくさんの綺麗なお花があしらわれていましたので、添えさせていただきます。
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