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「Pluto: 愛と星の物語」シリーズが単なるエンターテインメントを超え、持続可能な都市と社会の実現を目指して(SDGs目標11)

はじめに

SD Perspectives.comSnap25インタビュー記事翻訳です。

このインタビュー記事の翻訳・掲載を許可してくださったSD Perspectivesチームに感謝申し上げます。
なお、本インタビュー記事および写真の著作権はSD Perspectivesチームに帰属します。

2025年1月17日ーー「Pluto: 愛と星の物語」は、単なる愛や家族を描いたシリーズではありません。この作品は、エンターテインメントが実際に社会を変える力を持つことを示した重要な一歩であり、ユニバーサルデザインを通して社会にプラスの影響を与えることを目指しています。

このシリーズの制作には、GMMTVとSnap25が共同で取り組み、単なるエンターテインメント以上のものを作り上げました。

プロデューサーや脚本家は、エンターテインメントコンテンツを一般に届ける上で重要な役割を果たします。「Pluto」は、第2話の放送後から多くの注目を集めました。作中でユニバーサルデザインの重要性が鮮明に描かれたことがきっかけとなり、実際にバンコク市当局が撮影地の古い標識を新しいものに交換し、歩行者がより利用しやすい高さに調整したためです。

Katare-Saowakon Charuchinda

SD Perspectives編集チームは、Snap25のCEOであり「Pluto: 愛と星の物語」のシリーズプロデューサーであるKatare-Saowakon Charuchinda氏、そしてSnap25のマーケティングディレクターであり、この作品の脚本家の一人でもあるNamwan-Walailak Somchinda氏に話を伺いました。

Namwan-Walailak Somchinda

Snap25のアプローチ:アートとアイデンティティの融合

Saowakon氏は、Snap25のストーリーテリングの特徴についてこう説明します。

「Snap25チームの作る物語は、面白くで複雑。そして先が読めない展開が特徴です。私たちはチームとして常にアイデアを共有し、原作小説のある場合でも完全な新作の場合でも、あらゆる段階で議論と分析を行います。Snap25の目標は、社会問題を反映した濃密なコンテンツを制作することです。」

彼女はさらに、小説を原作とする場合でも、ストーリーをどのように調整するべきかを慎重に検討するのは重要な事であると語ります。

「「Pluto: 星と愛の物語」の場合、GMMTVから提供された原作小説をもとに、チームが視聴者にとって意味深く、社会的影響を与える作品にするため尽力しました。」

脚本を制作する中でリアルさを追求するため、脚本と演出のチームは視覚障害者との意見交換やワークショップを行い、彼らの日常的な課題を理解しました。

「公共の場にユニバーサルデザインが欠如していることは、障害を持つ人々が日々直面する課題です。物語の中で、Mayが転倒し、Ai-oonが助けるシーンがあります。私たちは適切なロケ地を探し、最終的にバンコクプラネタリウム前のバス停を選びました。そこは実際にアクセシビリティの問題があり、そのシーンにぴったりの場所だったのです。」とSaowakon氏は語ります。

Walailak氏も「当初はセットを作ることも検討していましたが、主演女優のNamtanが『この物語を語るなら実際の場所で撮影すべきだ。リアルな場所を探そう』と言い、監督のTle氏も同意しました。そして、最終的にプラネタリウム前のバス停を使うことになりました。」と当時を振り返ります。

上は放送中の写真(Before)
下はEP.2が放送された数日後の写真(After)

Walailak氏は、ユニバーサルデザインが単なる物語の一部の要素ではなく、チームが積極的に社会で広めたいと考えていたものであることを強調しました。
「例えば、バリアフリーのために案内標識の高さを調整する等の小さな工夫は、現実世界からヒントを得たものです。」
チームは、視覚障害者であるP'Toffee(Sophon Thabklong)に相談しました。

Walailak氏は続けます。「ユニバーサルデザインという言葉を知る10年以上前から、私は障害者問題を意識していました。 しかし、 いつも机上の空論のように感じていて、これが社会に具体的な変化をもたらすとは思ってもみなかったんです。しかし、今回実践する機会を得て、私たちは行動を起こし、その結果は期待以上のものでした。」

彼女はさらに、「Pluto」を見た視聴者が、『ユニバーサルデザイン』という言葉を覚え、政策を決める立場、例えば首相や社会のリーダーになれたら、もっと変化が起きるかもしれないと語り、そうなるきっかけになることを願っていると述べました。

「最初は、ユニバーサルデザインを実現するために問題を提起したいだけでした。しかし実際の影響がこれほど大きいとは予想していませんでした。」

『Pluto』のもう一つの注目すべき点は、主要なキャラクターたちが再利用可能な水筒やランチボックスを使用していることです。

「これらの環境テーマは意図的に盛り込んだものです。日常生活における小さな行動変化を視聴者に提案するためでした。」とWalailak氏は語ります。

「私たちは、どの物語にも自然に環境問題を取り入れています。例えば、配達員としてAi-oonは再利用できる水筒を持ち、Mayはお弁当箱を使っています。これらの習慣は、実際のサステナビリティの取り組みを反映しているんです。私たちの疑問は、『私たちができて、しかもそれが理にかなっているなら、なぜやらないのか?』ということでした。

これらの小さなディテールは、シリーズのリアリティを高めるだけでなく、視聴者に環境に優しい習慣を自然に取り入れるよう促す役割も果たしています。

これだ!NamtanFilmの完璧な相性

Saowakon氏はキャスティング選考についての裏話を語ります。

NamtanとFilmを主演に選んだのは、Snap25とGMMTV、そして両者と前から一緒に仕事をしたことのあるAof-Noppharnach Chaiyahwimhon監督との話し合いの結果だという。中でもP’Aof監督の意見が大きく影響したことを明らかにしました。

「Aof監督は彼らの相性に特別なものを感じていて、二人を一緒にキャスティングしてみてはどうかと提案しました。オーディションで二人の演技を見た瞬間、全員が『これだ!』と言いました。」

彼女たちの選考は、相性の良さだけでなく、それぞれの才能と経験も考慮されています。

「NamtanとFilmはどちらも素晴らしい俳優です。撮影が始まると、彼らがその役に完璧に合っていることがすぐに分かりました。最初のエピソードを見れば、なぜ彼女たちを選んだのか分かるでしょう。そして、全12話を通して見れば、やっぱり彼女たちじゃないとダメだったんだと気づくはずです。毎回映像を見返すたびに、彼女たちの相性は完璧だとさらに確信しました。」

NamtanとFilmが『Pluto』の主演に選ばれたのは、彼女たちの才能だけでなく、Snap25とGMMTVのチームワークを反映した決定でもあります。
この決定は、俳優たちの可能性と完璧な相性を重視し、内容と演技の両面で強力なシリーズを作り上げるためのものです。

「Pluto: 愛と星の物語」- 単なるエンターテインメントを超えて

「Snap25は単なる制作会社ではなく、変化を促すことに情熱を注ぐチームです。 『Pluto』に対する視聴者の反応や、変更された看板標識などは、ポジティブな影響を与えたことを証明しています。私たちは、視聴者がユニバーサルデザインの概念を受け入れ、それを日常生活に取り入れてくれることを願っています。小さな変化でも、より良い社会づくりに貢献できるのです。」

Saowakon氏は最後に、「Pluto: 愛と星の物語」は単なるエンターテインメントではなく、一つの価値観であり、アートやメディアがどのように社会的な変化を生み出せるかを証明する作品だと強調しました。 Snap25とGMMTVは、視聴者に喜びを与えるだけでなく、意識を高め、長期的な社会的影響を促進するシリーズを作るために協力しました。

もし「Pluto: 愛と星の物語」をまだ観ていないなら、ぜひ観てみてください。ユニバーサルデザインがただの概念ではなく、ひとつのムーブメントであることが分かるはずです!

©SD Perspectives

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