【時短系料理人5】

『ブロロロロロ』
 車は、高速道路を走っている。

 運転席では、パパがハンドルを握っている
 気のせいか、パパの顔は青ざめている
 さっき、ジョンに相手にされなかったことで、完全に調子を崩してしまったらしい

 いくら、平気で僕らを殺すようなパパでも、同じ車の中に、家族の死体が溶け込んだスープがあるのは、気分的によろしくないのだろう

『坊や』
 ママの声がした

「ママ、どこ」
 僕は、後ろを振り返った
 スープにされた僕は、助手席で揺られている

 どうやら、ママは後部座席のフリーザ用のプラスチックの容器に入れられているらしい

 ――生きている時は、熱心に「脱プラ」に取り組んでいたママが、死んだ後にプラスチックの容器に詰め込まれているなんて、耐えられないだろう。
 
 僕は、胸が痛んだ

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