1000文字(ホラー)/殺すプレ2(こすぷれ2)
「また、念入りにペニスを洗っているのかしら」
私は耳を澄ませた。
ノブヤのペニスは大きい。それだけが取り柄だ。
シャワーの流れる音。
脱衣所にドルガバのバスタオルがかかっている。
私の両手は血塗れだった。
ロッジの壁。
多種多様のコスプレをした美しい少年少女たちの写真が大量に貼られている。
ゴスロリ。
エ●ンゲリオン。
アキバ系のディープなオタク風。
「本当に好きなのはこっち」
反対側の壁に、同じアングルの写真。
コスプレした少年少女たちが、恐怖の表情を浮かべている。
誰もが、ホラー映画のように血塗れだった。
血ノリではなかった。
ホンモノの血だった。
私は、主に芸能事務所から依頼を受けて、タレントたちにコスチュームを提供する仕事をしている。
昔風に言えば、スタイリスト。写真も自分で撮る。
今日は、撮影のロケに来ている。
ここは、東京郊外。
シャワーも完備されたキャンプ場。
そこを貸し切って、撮影をしている。
大手芸能事務所だからこそ、可能なロケである。
「コスプレさせてから殺すと、性的に興奮するよな」
シャワーを浴びているのはノブヤ。
私のアシスタント。
私は、シャワールームの扉を睨みつけた。
元ホスト。
超ダサい男。
セックス下手。
そもそもはノブヤを使って、私の猟奇的な性的嗜好を満足させる為に始めたことだ。
あっさり洗脳されたノブヤ。
金に目がくらんだガキ。
初めはリストカットした少女の身体の撮影から。
そこから、エスカレートしていく。
原宿のストリートで少年少女たちに声をかけて、コスプレさせて殺していった。
(殺すプレ)
傑作だ。
今日で最後。
スタイリストは引退する。
何もかも、飽きてしまった。
今日は、総仕上げだ。
コスプレしたタレントは全員、ノブヤに殺させている。
遺体は、裏山の土を掘って埋めた。
シャワーの音が止んだ。
「お前もシャワー浴びちゃえよ」
ノブヤは全裸。
バスタオルで、頭を拭いていて無防備。
ニセモノのドルガバのロゴが、いらつかせる。
「死ね」
私はノブヤの胸に刃物を突き立てた。
これで、完結。
ノープロブレム。
ノブヤの心臓からドクドク溢れる血。
おめでとう。
洗脳が解かれた表情のノブヤ。
「アンタは、タレントを殺した罪悪感から自殺するの。このまま、地獄に落ちて」
「ひいっ」
ノブヤは悲鳴を上げて、崖下に転落していった。