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500文字小説(ホラー)/呪われた聖夜
「こわいよ」
震えているミチコ。
今夜、アイツがやってくる。ベッドの布団、頭まで潜り込む。
「殺さなきゃ、反対に殺される」
幼なじみのユリは恐怖の表情。
深夜。なぜアイツは子供たちが、寝静まった時刻をわざわざ選ぶのか。
子供を怖がらせにくる。
悪いやつだ。アンパンマンの敵みたいな。
アイツの正体。
先生は、教えてくれなかった。
血まみれの赤い服をたもじゃもじゃの白いヒゲの怪物。
あんなヤツ、この近所でも見たことがない。
「決闘する。その為のゲキヤクも入手した」
ユリ。
ユリの実家は薬局。
簡単に、骨でも肉でも溶かすゲキヤクを手に入れられる。
ユリは今夜、あの怪物を殺すと決意したらしい。
(来たかも)
ミチコは、硫酸の入った瓶を握りしめている。
『ギイッ』
ドアが静かに開く。
「エイ」
ミチコは、入ってきた怪物に蓋を外した瓶を投げつけた。
ゲキヤクが散らばる。
『シューシュー』
ゲキヤクが怪物の着ていた赤い服や、白いヒゲを溶かしていく。
「ぎゃあああ」
赤い服が解けて中から現れたのは、見たこともない男。
この街では、サンタクロースのふりして、子供を犯すレイプ犯がこの時期になるとうろついている。