1000文字 ( ギャグ)/変態課長を懲らしめろ
「ぺっぺっぺっ」
未奈子は、唾を吐いた。
テーブルには、茶碗が円形に並ぶ。
唾を入れた茶碗。
これは、課長Mのもの。
コイツは、セクハラ&変体&露出狂だった。
全ての女性社員に嫌われていて、未奈子が最大の標的。
(狂人M)
ケダモノと言ったら、本物のケダモノに申し訳ないほどの男だ。
チビデブ。
ハゲチャビン。
この会社では、未だに女子職員にお茶くみをさせている。
男尊女卑。
ブラック企業。
クソ会社。
(バカめ)
未奈子はニヤニヤ笑っている。
このブラック企業の女子にお茶くみをさせる風習が、会社にとっては裏目に出た形。
つまり、未奈子にとっては復讐の時間だ。
今まで、茶碗にこっそり入れたモノ。
鼻くそ、目くそ、爪の垢など多種多様。
今日はツバの日。
未奈子は、課長Mの茶碗にたっぷりとツバをたらした。
「未奈子さん、何しているの?」
背後から、女の声。
ロボコップのような無機質な声。
冷酷無比で、無情過ぎる女。
(やば)
声の主は、吸血昆虫のような女。
キチ外。
女が入ってくる。
背筋が寒くなる。
お局・峰子だ。
もはやレジェンド級の性格の悪さ。
口の悪さ。
告げ口女王選手権・2024年王者。
キツい性格が、三角メガネを通して伝わってくる。
オールドミス。
ミスだらけのミス。
「何をしているの?」
峰子は、メガネの縁を指でシコシコ擦っている。
「……」
「白状しなさい。正直に言えば大ごとにはしない。お茶なんて煎れ直せばすむのよ。問題は、大先輩の私に隠し事をしているという、アンタのツラ皮の厚さよ」
「白状します」
「OK」
「私、M課長にセクハラされているんです」
「それで?」
「会社も動いてくれないので、見えないところで仕返ししているのです。何をしたって本人にさえ知られなければ、絶対にトラブルにはなりませんから。それから茶碗に鼻くそやツバを入れ始めました。ちょうど一年前ほどから」
「一年前?」
「ええ。同じ女性ならセクハラの辛さや、会社がずっと黙認していることについてわかっていただけると思いますが……」
「バカだな」
「バカ?」
「うん。そんなことしたって、アイツ喜ぶだけだ。だってアイツ、わざわざ女子高生に金払って汚れた下着類とか、ツバや耳くそをケースに入れて貰ってコレクションしているほどのド変体だから。アンタが、お茶にツバや鼻くそなんて入れたら、アイツ大喜びするだけだよ」
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