見出し画像

言式『解なし』感想

先日、言式「解なし」の千穐楽公演を配信で観ました。
とても面白く、この気持ちを忘れたくないので記録。
特に作品の解説はしません。
11月5日まで、配信が購入できます!!2時間あれば観れます!観てね!!!

まず、言式は俳優、梅津瑞樹と橋本祥平のユニットで、今回の作品は旗揚げ公演です。
形式としては短い話を繋げたオムニバスの二人芝居。
ひとつひとつの作品にクセがあった。クセ強だった。
冒頭のストーリー
泣いていた(私が)。
二人の動きがクラシカルなアニメーションみたいだった。懐かしいなあと思える動き。そんな演技もあわさって私の涙腺は駄目になってた。
『アンドリューNDR114』でだばだば泣いてる人間なのでこの話は自動的に泣いてしまう。
ラストの慟哭からの傘のシーンがあまりにも美しいです。

からの……

佐々木の話。
佐々木、梅津瑞樹氏の創作によく出てくる名前だなあと思った。
ストーリーに出てくるななちゃんが最高。二人芝居なのでななちゃんの姿は見えないけれどななちゃんは居た。視えた。
私、この話が一番好きです。
良い話のようなグロテスクな話のような。
一番正気に見える人間が最後は一番まともじゃないようにも見えてくる。確固たる自身がふにゃふにゃに揺らぐような作品。解はない。けれど、見たら何かしら思うものはあると思う。いみわかんねー!も含めて。

ひたすらルンバが可愛い話。
いや、ルンバはまったくメインじゃない。でも、ルンバ可愛い。
これも滑稽で恐ろしかった。すき。
ラストの梅津瑞樹がすべてだった。ああいう状況、あるよね。自分もあんな感じになるのかもしれないと思う。たぶん、何度でもああいう事が起こっているのだと思う。
橋本祥平の豹変がとても凄い。

ちょっと話逸れますが、橋本祥平という俳優も本当に素敵ですね。
私、舞台刀剣乱舞の貞ちゃんでしか知らなかったんです。あのときも、役柄の戦闘力の演じ分けが凄いなあと思ってたのですが、今回の「解なし」を見て好きな俳優の1人になりました。
生々しさ、どうしょうもなくなってしまった人間の八方塞がり感、彼の演技を見ていてずっとはらはらしていました。ずっと見ていたかったです。

閑話休題

たんぽぽの話
これは、あーーーーー!!!と叫びたくなる話だった。
それ以上はネタバレにしかならない気がするし、言葉にすればするほど陳腐になる。
言えることは、されど日は昇る。そして沈むしまた昇る。
キーワードのたんぽぽが秀逸すぎる。たんぽぽたんぽぽ……
あと、梅津·橋本両氏の運動量凄い。その装置、モーター付いてないよね???え????

ラストの話
これはね。ああ、私も演劇っていう表現が好きだなと思える作品でした。
そもそも、私は梅津瑞樹氏の文章から本格的に彼の作品を見てみたいと思うようになった者です。
もともとは舞台刀剣乱舞の山姥切長義役ですっっごく綺麗な役者さんだと思ったところから始まったのだけど、ふとしたときに読んだSNSの文があまりにも好みだったから。そこから、コロナ禍を経て彼の演劇への熱い思いを垣間見ることで、梅津瑞樹という人間が脚本演出する作品をいつか観てみたいと思っていました。こんなに早く実現するとは!ありがとう!

以上、感想でした。
意味があるのか無いのかタイトル通りの「解なし」なのか。私は、観劇中に自分の中に起こった感情を集めて置きたいと思える作品でした。

パッケージ化が予定されていないことが本当に惜しい。けれども、目の前で起こるできごとを受け取るだけというのはとても贅沢な遊びだと思う。今は何でも記録できてしまうから。替えはない、一度きりのその時にだけ、自分の好きなように味わえるエンタメ。とても美味しかったです。
だからこそ、配信をしてくれてありがとうございました。本当は私も劇場で味わいたかった。配信のおかげで画面越しといえど作品を観ることができました。面白かった。全部しんどくて最高に楽しい演劇体験ができました。

どうか、言式の企画が長く続きますように。私も観劇できますように。

勢いで描いた感想?絵。なんの説明にもならないです。ルンバはかわいい。

2023.10.04



追記
梅津瑞樹氏、随筆集も出しています。知ってすぐ買った。私の好みすぎる文章だった。酒とつまみを準備してじわじわと味わいたい本です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?