碓氷峠廃線ウォーク「アプトの道」~里山歩きのススメ。Part16
廃線ウォークに行こう!
以前から行ってみたかった「廃線ウォーク」。
かつて、アプト式鉄道が走っていた歴史遺産としても貴重な碓氷峠の「アプトの道」に行ってきた。
行ったのは、4月の第1週のこと。
全国的に桜前線が北上中の時期。
長野市では、当時の開花予想が4月11日と予想されていて、開花前だったが、群馬県安中市松井田町のJR横川駅周辺は、3分咲きといったところだった。
スタートは、JR横川駅。
駅前には、鉄道の歴史と列車が集められたテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」があり、その入り口横に「アプトの道」の始点がある。
横川駅の前には、「峠の釜めし」で有名な荻野屋があり、ここで釜めしを購入してトレイルに出発だ。
残念ながら、釜めしの写真がないので、こちらの荻野屋HPを参考にしていただきたい。
峠の釜めしは、いつ食べても安定した美味しさ。
1,300円也。
全長約7キロ、標高差500メートル
横川駅から、熊ノ平までの約7キロメートルの道で、途中トンネルや旧変電所、めがね橋などを経由する。
かつて、鉄道が走っていた道なので全体に平坦なため、あまり勾配を意識せず、普段通りに歩き始めたが、終点までの標高差は500メートルを超え、ちょっとした里山登山に匹敵する登り坂なので、思いのほか体力を要する。
山歩きのつもりで訪れたほうがいいかもしれない。
休日で、古道は多くの人で賑わっていたが、写真を撮る人、施設案内をじっくり読みながら進む人など、人それぞれ、思い思いのペースで歩いているので、時間はゆったりと流れている感じがいい。
歴史的にも価値のある景色を眺めながら、2時間半ほどかけて終点の「熊ノ平」まで歩くと、多少の疲れは感じつつ、心地よい汗をかいた。
トンネルの中を吹き抜ける風に交じって、時折り、かつて走った列車の音が聞こえるような気もしてくる、趣のあるトレイルとなった。
峠の湯
沿線に温泉施設「峠の湯」がある。
碓氷峠鉄道文化むら施設内駅から峠の湯駅までは、ピストンで観光列車が走っており、これに乗ってくる人も大勢いるようだ。
国道18号の旧道からもアクセスでき、JR横川駅から数キロの地点にあり、日帰り入浴もできる。
この日は、帰りがけに国道18号の旧道を通り、峠の湯で汗を流した。
めがね橋
めがね橋は、この配線ウォークの目玉だろう。
レンガ造りのアーチ式橋として芸術性にも優れた歴史遺産である。
国道18号の旧道からもアクセスでき、駐車場も整備されている。
めがね橋から北方に目をやると、そこには、平成9年まで使われていた信越本線の鉄橋を望むことができる。
熊ノ平
熊ノ平は、信越本線の新線では、変電施設として使われていたようだ。
写真に写るトンネルは3本あり、一番右側の小さなトンネルがアプトの道である。
左側の2本は新線で使われたトンネルで、平成9年に廃線となった新線の線路はまだ残されたままとなっている。
ここから先軽井沢方面は立ち入り禁止となっているので、ここで折り返しとなる。
背負ってきた「釜めし」をここで頂き、一休みしたあと、来た道を戻ることにする。
碓氷峠
碓氷峠は、群馬県松井田町(現在は安中市)と長野県軽井沢町の間にある峠である。
旧中山道に沿って、現在では国道18号、上信越道が群馬県から長野県を経て北陸につながる交通の要衝である。
鉄道としては、平成9年までは、アプト式が廃線となった後に開通した「信越本線」が通っていたが、同年に北陸新幹線(当時長野新幹線と呼ばれた。)が開通してからは、横川・軽井沢間は廃線となり、現在はJRバスが代替の輸送を行っている。
「アプト式」について
聞き慣れない方式だが、碓氷峠を走った鉄道路は、横川・軽井沢間の距離が約11キロメートル、標高差が約800メートルある上、地形が火山活動による複雑な起伏となっていることもあり、トンネルが多い路線ともなっている。
この急傾斜の峠に鉄道を走らせるために使われたのが「アプト式」といわれる軌道方式だそう。
分かりやすいかどうか分からないが、急な傾斜でも重い機関車が上がるように、車輪に加えて、ラック式のレールに歯車を噛ませながら登って行くという方式である。
その、アプト式鉄道の廃線ウォークが「アプトの道」である。
新線となった信越本線では、馬力のある電気機関車3両を連結して満員乗車の特急あさまをけん引していた。