里山歩きのススメ。Part10 〜茶臼山・恐竜公園
川中島合戦の地を見下ろす「茶臼山」
武田信玄と上杉謙信が数度にわたって戦った「川中島の戦い」は有名であるが、長野市南部の篠ノ井地区にある「茶臼山」は、この戦いにおいて、武田信玄の本陣が置かれたこともある山として知られている。
現在の茶臼山は、もともと地滑り地帯でもあることから、地滑り対策工事が行われ、一帯は、動物園、植物園、恐竜公園として市民の憩いの場になっている。
恐竜公園は、茶臼山の裾野に実物大と言われる恐竜の像がそこかしこに置かれていて、なかなか面白い。
太古の世界を生きた恐竜の姿を眺めつつ、決戦が繰り広げられた「川中島の戦い」にも思いをはせつつ、普段暮らす街を見下ろすのも「里山歩き」の楽しみである。
中尾山温泉登山口からスタート
長野市篠ノ井共和地区にある「中尾山温泉」登山口から、山頂を目指す。
中尾山温泉には「松仙閣」という旅館があり、宿泊と日帰り入浴が可能である。
温泉は単純泉だが、肌に優しい温泉で、良く暖まる良泉である。
少し前の事になるが、「お見合い風呂」が話題になったほか、京アニが制作したアニメの主人公「涼宮ハルヒ」も宿泊したことのある温泉宿としても有名?である。
ちなみに、「お見合い風呂」というのは、露天風呂の男湯と女湯の仕切板に設置された小窓が、女湯からのみ開けることができる仕組みになっていて、テレビなどでも話題になったスポットである。
現在は多少古びた感じになっているが、強く願えば、窓が開かれるかもしれないので、試しに挑戦してみるのも一興だ。
白岩からの眺め
さて、話を山登りに戻そう。
中尾山温泉登山口からスタートすると、すぐ「白岩」が見えてくる。
この白岩は、花崗岩が風化したものだと思うが、登山道から5分ほど迂回したところにあり、足元が崩れそうな状況に加えて、足下は断崖絶壁となっているため、なかなかの高度感である。
茶臼山山頂へ
しばらく景色を楽しんだ後、登山道に戻り、茶臼山山頂を目指す。
枯れ葉に覆われた登山道をサクサクと音を立てながら登って行くと、「一本松」と書かれた祠に辿り着く。
峠の目印とされたものだと思うが、ここから山頂まではあまりアップダウンのない歩き易い遊歩道である。
森は、ミズナラやクヌギなどの広葉樹で、今はすっかり落葉して足元には枯れ葉の絨毯が敷き詰められている。
茶臼山山頂
山頂手前には西方が展望できる見晴台があり、天気が良ければ北アルプスを望むことができるのだが、この日は、西の山々は雨雲に覆われていて展望はなかった。
茶臼山植物園
雨雲が目前に迫って、今にも雨が降りそうな様子なので、さっさと山頂を通過して、植物園に向かう。
植物園は、この時期閉園していて人影もないが、出入りは自由なので、適当な休憩場所を探して休むことにした。
「家族広場」(休憩広場だったか?)と名付けられた林の中にはいくつかのベンチとテーブルが置かれていたので、このうちのひとつに陣取り、ガスバーナーなどを広げ、カップ麺にお湯を注ぎ、コーヒーを入れたところで、「ザアーッ」とばかりに雨が降り出し、風も吹いてきた。
店を広げる前ならともかく、お湯を注いでからでは撤収もできないので、まずはカッパを取り出して着込み、雨の降りしきる中でカップ麺を頂き、コーヒーに舌鼓を打つ。
雨の中のコーヒータイムも「オツなモンダ。」とうそぶきつつ、しばし休憩した。
恐竜公園
植物園と恐竜公園の間(隣と言うべきか)(※案内図参照)には、動物園があり、レッサーパンダが人気のほか、一昨年にはオランウータン舎が完成したと聞いていたので少し立ち寄りたいと考えていたが、雨が降り出したこともあり、動物園は次の機会に訪れることとして、恐竜の生息地を経てスタートした中尾山温泉駐車場を目指すことにした。
駐車場へ
恐竜公園の駐車場から農村地域を通過し、リンゴ畑の中から茶臼山の全景を眺めつつ歩いて30分ほどで中尾山温泉に戻る。
締めは中尾山温泉「松仙閣」でゆったり!
車に戻って靴とカッパを脱ぎ、「松仙閣」でゆっくり温泉に浸かって今日の山行は終了だ。
施設は大分古くなってきている様子だが、少しぬるめの露天風呂が心地よく、ずっと入っていられる。
是非一度行ってみてほしい。
少々雨に当たったとはいえ、良い一日となった。