3日で攻略するPcc-OSCE対策
どんな試験か
おそらく自分が医学部で受けた試験の中で一番謎な試験。大学では講義も練習もなく、20分程度の動画を2倍速で流されて、わかった?じゃ試験頑張ってねー、って感じで送り出される。合格基準も何を求められているのかも意味不明。くそ忙しい時期に、2万円徴収されて、テストだけ課される。臨床実習の成果?を発揮?しろと言われるが、別に臨床実習で頑張ったからできるっていう試験でもない。
またこの試験で、学生が一番困る、恐怖するのが、症状などをききだして、鑑別しなければならないという点ではないだろうか。この点に恐れをなして、Pcc-OSCEごときに、あほみたいな量の勉強を始める人がいるが、実際受けてみた印象としては、この試験で個々の疾患や症候について詰める必要はほぼないと考える。
個々の大学の選ぶ問題は知らないが、例えば急性虫垂炎の具体的なストーリーをしゃべって、急性虫垂炎だ!!って答えさせる感じではなく、よくわからないフワフワした腹痛のエピソードをしゃべって、問診、身体診察、プレゼンが最低限できているか、その経過をみているイメージ、知らんけど。(イメージです。実際の試験内容とは全く関係ありません。)
要するに、何か考えた疾患を患者役にしゃべらせて、疾患名答えさせて、「はい君正解、合格。」、「はい君間違い、正解は何々でしたー、はい不合格。」という試験ではないのでは。個々の大学の問題はしらないが。
そこそこ問診して、そこそこ身体所見とって、絶対に考えなければならない疾患と頻度の多い疾患を適当に鑑別にあげて、結果的に間違っていたとしても、とりあえず自分はこう思うってことを時間内にプレゼンできればOKだと考える。
これらを前提に試験対策について書いていく。
対策期間
対策期間は最低3日あればいける。しかし気持ち的にも最低1週間はあった方が安心。
自分は1週間でもちょっと不安だったので1週間半とった。結果的にかなり暇な時間ができたが、余裕をもってという意味では、このぐらい期間をとっても良かったと思う。
この試験でやること
・挨拶
・問診
・身体診察
・鑑別、根拠、自分はこう思うっていうことをプレゼン
この試験で一番重要なこと
・時間内に終わらせる(早すぎても問題なし。本番、自分は制限時間12分のところ、問診、身体診察合わせて平均6分程度しか使わなかった。プレゼンも2分程度でやってた。ダラダラやる必要はない、急ぎ目でやるべき。時間切れによる不合格のほうがリスク。)
・鑑別、自分の考える疾患とその根拠を絶対にいう(おそらくこれがこの試験の一番重要なところ。プレゼンの最後でいうので、最初の患者の病歴、身体所見などをだらだら言ってたら時間が足りなくなり、一番大事な鑑別、自分の考える疾患とその根拠を言えなくなる。患者の病歴、身体所見などは飛ばしながらでも良いからこれをいう時間を絶対に確保すべき。内容に関しては、間違っていても良いから、論理的に、こうこうだから自分はこう思うってことを伝えれればOK)
・患者への配慮(聴診器当てるときに、冷たかったらいってください。など。配慮をアピールしていこう。)
・試験会場、診察室に持ち込み禁止のものを持ち込まない(この試験で多少出来が悪くても、卒留することはおそらくほぼない。ただ持ち込み禁止のものを間違えて持ち込んでしまうなどの不正行為があった場合、再試験を受けれず留年する可能性が高い。ということは、この試験で唯一留年しうる道は、勉強不足ではなく、これらの不正行為、および不正行為と疑われるような行為をすること。特に持ち込み物に関してはややこしいので、やりすぎなぐらい確認するべき。)
上にあげた4つを守ることがなにより大事。
これさえできていれば他は多少適当でもOK(個人の感想です)。
次から実際の流れについて書いていく。
入室
受験番号?のAです。よろしくお願いします。
挨拶、患者確認
~さんどうぞお入りください。
本日担当させていただきます、A大学6回生のAです。よろしくお願いいたします。
確認のためフルネームとご年齢を伺ってもよろしいでしょうか?
問診開始
~さんですね。本日はどうされましたか?
症状についてもう少し詳しく教えていただけますか?
その後
L 部位 どこが?
Q 質
Q 量
T 時間、経過 いつから?
S 状況 どういう状況で?
F 増悪因子、寛解因子 こうすると良くなるとかこうすると悪くなるということはありますか?
A 随伴症状 他に何か症状はありますか?
LQQTSFAに関しては、最低限T(時間経過)S(状況)F(増悪因子、寛解因子)A(随伴症状)だけは聞く。痛みだったら部位(L)ももちろん聞く。QQに関しては、場合によっては聞いてもよし。
既往歴 今まで何か大きな御病気されたり、検査で異常を指摘されたことはありますか?
薬剤歴 今何かお薬飲んでいらっしゃいますか?
家族歴 血のつながった方で大きなご病気された方いらっしゃいますか?
生活歴 お酒タバコされますか? 酒 ~年 ~日/週に~缶 タバコ ~年 ~日/週に~本
上の4つの歴は必ず聞く
解釈モデルの確認 今回の症状について~さん自身はどのように感じていらっしゃいますか?
まとめ 飛ばし気味で、特に異常のないことは言及しない。重要なとこだけ。
~さんは、~ということでいらっしゃって、・・・・・・
これでよろしいでしょうか?
他に何か言い残したことなどございますでしょうか?
では身体診察の方にうつらせていただきます。
これで問診は一応終わり。
これ以外の余計なことはこの問診の時間では聞かない。リズムが乱れてややこしいことになる。マニュアル化した方が、簡単、ミスが減る。
症候によって、問診内容を変えていく必要があるのではと思うかもしれないが、上の問診で必要最低限のことは一応聞けているので、問題なし。今回目指すのはスーパードクターによる完璧な問診ではなく、Pcc-OSCEの合格。
また、他に聞きたいことあれば、身体診察終わってから、時間ができたときに聞けばよい。(後で聞いてもOK)身体診察終わってから、除外、鑑別の質問考えて言ったらいい。優先すべきは、時間の確保、問診の最低限のクォリティー確保。
おそらく早口で言ったらここまでで2分。ゆっくり言ったらここまでで4分。
身体診察
一般身体診察
SpO2 (まず酸素の値測りたいんで、指先出してください。)
目 (黄疸、貧血見る)眼球結膜、眼瞼結膜異常ありません。(目の方みたいので、ちょっと下の瞼触りますよ。上向いてください。(黄疸、貧血見る)はい、いいですよ。)
口 口腔粘膜異常ありません。扁桃に発赤、腫脹認めません。(口の中みたいので、お口開けてください。あーって言ってください。あー。はいいいですよ。(この際、舌圧子使う必要なし。ややこしくなる、リズム悪くなるため。))
胸部聴診(胸部聴診、背部聴診を行う) 胸部背部に皮疹認めません。また心音は一音二音正常で、3音、4音聴取せず、その他心雑音を認めません。肺音は清で左右差認めません。(次に胸の音聞きたいので、服上にあげてください。聴診器冷たかったらいってください。(心音聴診)大きく深呼吸してくださいね。(呼吸音聴診)はい。後ろも聞かせてください。(呼吸音聴診)はい、直していただいて結構ですよ。)
腹部 (腸雑音聴診、腹部触診を行う)腹部に皮疹認めません。腸雑音正常です。腹部に圧痛、腫瘤認めません。(おなかの方みたいので、ベッドに寝転んでいただけますか。ちょっと服あげてください。冷たかったらいってください。(腹部聴診)次におなか触りますね。いたかったらおっしゃってください。(腹部触診)はい、なおっていただいていいですよ。)
足 下腿に皮疹認めません。下腿浮腫認めません。(次に足の方みたいので、まくり上げていただけますか。ちょっと押さえますね。(下腿浮腫確認))
神経診察
目 対光反射確認(脳ヘルニアなどの除外) 瞳孔は正円同大で、対光反射左右ともに迅速です。(目に光入れますね。まぶしいですよ。(対光反射確認)反対もいきますね。)
眼球運動確認 眼球運動は異常ありません。(私の指ジーっと見てください。うごかしますんで、目だけで追ってくださいね。)
バレー徴候(上肢の軽微な運動麻痺確認) バレー徴候陰性です。(腕こうやってあげてください。そのまま目つぶって、ジーっとしててください。(10秒ぐらい後)はい、いいですよ。)
手回内回外試験(小脳失調確認) 手の回内回外試験異常ありません。(こうやって、手全力できらきらきらーってしてください。)
上腕二頭筋MMT(筋力確認、左右差確認) 上腕二頭筋筋力正常で、左右差認めません。(こうやって腕曲げてください。私引っ張りますんで、がんばって抵抗してくださいね。)
項部硬直(髄膜刺激症状確認)項部硬直認めません。(首の硬さみるのでベッドに寝転んでください。首持ち上げますよ。痛かったらおっしゃってください。)
身体所見は、適宜選択しておこなう。胸が苦しいだったら、SpO2、目 (黄疸、貧血見る)、胸部聴診(胸部聴診、背部聴診を行う)、足。頭が痛いだったらSpO2、目 対光反射確認、眼球運動確認、手回内回外試験(小脳失調確認)、バレー徴候(上肢の軽微な運動麻痺確認)、上腕二頭筋MMT、項部硬直(髄膜刺激症状確認)など。
いずれにしてもまずspo2の測定はやる。
何すればよくわからなければとりあえず目みて、口みて、胸部聴診だけでもしていれば、それっぽくなる。
何をするか患者にしっかり伝えて、配慮し、所見をちゃんと口でいうことが大事。いきなり何も言わずに触ったり、頭持ち上げたりしない!
また肺音、心音に関してはラジオで聞かされることを想定して、肺音、心音の勉強をしておくべき。これは必須。
他にもやろうと思ったら身体診察できるが、時間がかかる、覚えることがおおくなる、ぼろが出やすくなるので、上にあげたもので必要十分と思う。身体所見では肝臓触診や、打診、神経診察では腱反射などは特にぼろが出やすそうなので避けた。また小脳診察にしても指鼻指試験だと、説明がややこしいし、時間も食うので、手回内回外試験にした。
選択してやると身体診察の時間としては4分かかるか、かからないかになるだろう。
ここまでで問診と合わせておそらく8分程度。
ここから聞き残したことや、鑑別のために重要と思うことを疾患症候に合わせて追加で患者に聞き、メモ用紙に最も考える疾患と鑑別疾患を考えて書き、プレゼンに備える。
プレゼン
チャイムがなって「整理、指導医への報告を行ってください。」というアナウンスが流れたら、即、報告に移る。
ここで一番注意すべきは上で述べた通り、時間切れで、鑑別や根拠を話せないこと。
現病歴や異常のない所見をだらだら言っても大して何の得点にもならないので、簡潔に現病歴、身体所見をいって、自分の一番考える疾患とその根拠、鑑別と根拠についてしっかりプレゼンする。
(一例)
よろしくお願いします。
患者さんはAさん71歳男性で、主訴は腹痛です。現病歴としては、3日前より腹痛があり、今朝から腹痛が増悪し、さらに嘔気も伴ってきたため受診されました。既往歴、薬剤歴、家族歴ともに特記すべきことなく、生活歴としては、お酒を20歳から毎日ビール1缶飲んでいらっしゃって、タバコは吸わないということです。ご本人は~ということを心配されています。身体所見としてはバイタルは意識清明、体温は~、血圧は~、呼吸は~、脈拍は~、spo2は~で、眼球結膜、眼瞼結膜異常なく、心音異常なく、肺音清で、腸雑音正常で、腹部に圧痛、腫瘤認めませんでした。これらのことから私はまず急性胃腸炎を考えます。根拠としては3日前からと急性の経過であること、バイタルに目立った異常なく、身体所見にも異常がなかったこと、また疾患の頻度から考えても、急性胃腸炎が一番考えやすいと思います。他に鑑別としては、腸閉塞、虫垂炎、急性膵炎が考えられます。腸閉塞に関しては、腸雑音に異常なかったため否定的ですが、精査する必要があると考えます。虫垂炎に関しても、これから精査する必要があると考えます。急性膵炎については、バイタルに異常がないこと、また問診の限りでは飲酒量が多いということもないので、否定的と考えます。今後の方針としては、腹部ct検査や上部下部消化管内視鏡などを行って鑑別を進めていくのが良いと考えます。以上です。ありがとうございました。
上のやつはあくまで一例、医学的にあってるかどうかも分からん。ただ現病歴、身体所見は簡潔にいって、鑑別や根拠、自分はこう思うってことに時間を使うことは大事。間違っててもいいから、自信満々に俺はこう思うってことを伝える。学生に完璧なプレゼンなんて、おそらく誰も期待してない。
鑑別にかんしては 2、3個は必ずあげる。
下のdocxで、Pcc-OSCEの評価母体が出してる37症候と疾患をコピペし、重要そうなものを赤で示したので、そのなかから2、3個あげればよい。
鑑別にあげた疾患が否定的なのかどうなのかわからなければ、「~については完全には否定できないため、今後精査する必要があると考えます。」とかいう感じで、「明日の天気は晴れのち曇り、ところによっては雨。」みたいな、コロナの専門家みたいなことを言っておけば間違いにはならない。
時間としては早目にしゃべって、大体2分~3分。さすがに1分代になることはない。
でチャイムがなったら「ありがとうございました。失礼します。」って言って退室。
こう書いたら長いが、3日あれば流れはできるようになる。
最後に
ダラダラと今まで書いたが、先ほど挙げた「この試験で一番重要なこと」4つを守ることが何より重要(1番重要とか言って4個もある。矛盾してるが…)。これさえ守っていれば落ちはしないでしょう。
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