【CLE】ビーバー2世、タナー・バイビーの紹介&インタビュー
読者の皆様、お疲れ様です。わるものです。
今回は、昨年急速に台頭し、今ではシェーン・ビーバー2世と目されているトッププロスペクト、タナー・バイビーの経歴とインタビューを紹介したいと思います。
① プロ入りまで
バイビーは1999年3月5日生まれ、カリフォルニア州ミッションビエホの出身で、高校も地元のミッションビエホ高校に進学しました。同高校は超名門というわけではなく、過去のメジャーリーガー輩出は4人。直近にエンゼルスのパトリック・サンドバルがいて、バイビーとは3学年差です。
子供の時から周囲より身体が小さく、高校1年の時は165センチしか無かったと本人は振り返っています。バイビーのお父さんは「いつの日か身体が成長してパワーが備わるようになる。それまではストライクをゾーンいっぱいに投げ込み、変化球を磨くことに専念しなさい。そうしておけば、身体が大きくなった暁には球速と投球術を備えた理想の投手になれる。」と息子に常々教えていたそうです。実際、高校時代に遅めの成長期が訪れ、今では身長189センチ/体重93キロと立派な体躯を持ち合わせています。
その後大学も地元に近いカリフォルニア州立大学フラートン校に進学。こちらはメジャーリーガーを多数輩出している名門で、有名どころではジャスティン・ターナー(BOS)、マイケル・ロレンゼン(DET)、マット・チャップマン(TOR)など。ガーディアンズ絡みでは2021年にリリーフとして活躍したジャスティン・ガーザ(現LAA)が在籍していました。
大学時代は、速球の球速が90マイル前後ながらも、幼少期より磨いた制球力と変化球で安定した活躍を披露。3年時の2020年ドラフトで指名を受けることが確実視されていましたが、パンデミックの影響でドラフトが5巡目までに短縮され、指名漏れしてしまいます。
ドラフト後、バイビーはサマーリーグでプレーせず、ドライブラインでトレーニングを積むことを選択しました。
トレーニングは無事に実を結び、バイビーの速球は最速95マイルに到達。スライダーも86マイル/3000回転以上と一級品のボールを投げられるようになったそうです。当然スカウトからの評価も上昇し、翌21年のドラフトでガーディアンズ(当時はインディアンス、以下ガーディアンズで統一)から5巡目(全体156位)指名を受けて入団しました。
② プロ入り後
ドラフト後、21年は公式戦で登板せずにアリゾナの球団施設でトレーニングを積み、A+で22年シーズンの開幕を迎えます。大学で大きく成長したバイビーですが、それでも5巡目指名ということで殆ど注目されておらず、Fangraphs制作の球団内Top48プロスペクトランキングでは圏外でした。
しかし、実際のバイビーは入団後も成長し続けており、アマチュア時代の高い制球力を維持したまま、速球が常時95マイル以上を計測するレベルに到達していました。まさに子供時代にお父さんが説いていた通りの投手になったわけです。
当然A+級ではスペックが頭数個分抜けており、デビュー戦でいきなり4回無失点8奪三振の好投を披露。6月末までの3ヶ月で99マイルを2度計測するなど、59.0回/防御率2.59/86奪三振/13与四球という圧倒的な成績を残して2Aに昇格します。
開幕時は散見された乱調の登板もシーズン中盤に入ると見られなくなり、最終的に2Aで73.2回/防御率1.83/81奪三振/14与四球と圧巻の成績を収めて、2Aイースタンリーグの年間最優秀投手に選出されました。
当然ながら、プロスペクトを扱う各媒体の耳目を集め、今ではバイビーをMLB全体のTop100にランクインさせるプロスペクトランキングも珍しくありません。早ければ2023年シーズン中にも、彼の登板をMLBの舞台で目にすることになるでしょう。
また、ガーディアンズファンの間では、エースのシェーン・ビーバーとバイビーを比較する声も上がっています。ビーバーも大卒4巡目指名での入団であり、当時は地味な存在でしたが、プロ入り後に大きく成長を遂げてサイ・ヤング賞を獲得するまでになりました。もちろん、2人の投球スタイルは大きく異なるのですが、名前や投球フォームが似ていることもあって、何か運命的なものを感じてしまいますね。
好投手揃いのガーディアンズ先発投手陣ですが、実は球速面ではMLB平均以下の選手しかいません。平均で95マイル以上、最速で99マイルを投げるバイビーの存在は傘下でも貴重であり、ガーディアンズに新たな風を吹き込んでくれることでしょう。
③ インタビュー
以下はバイビーのインタビュー動画を要約/翻訳したものです。内容に誤りがあればTwitterかコメント欄で是非ご連絡下さい。
高校在籍中に少し話をしましたが、それきりでした。その後2020年(大学3年時)にオファーを貰ったんですが、その時はお断りして大学で野球を続けました。でも彼らは昔からずっと自分を評価、リスペクトし続けてくれていたし、自分の代理人も彼らを絶賛していたから、是非ガーディアンズにドラフトされたいと思っていました。
カブスですね。2020年も21年も自分を指名しかけてたんですが、結局他の選手(20年4巡目ルーク・リトル、21年4巡目クリスチャン・フランクリン)を指名して、縁は有りませんでした。結果的にガーディアンズに指名されて大きく成長出来たので、ラッキーだったと思っています。
20人と聞いてマジかよ多いなぁと思いました笑 40人(コロナ前のドラフトは40巡目まであった)なんて想像も付かないです。でも投手ばかりというのは正直変な感じはしなかったですね。ダベンポート(6巡目)、ブーン(8巡目)、デンホルム(14巡目)は知り合いでしたし、ミラー(20巡目)とは大学時代に対戦していました。だからすぐに打ち解けられたし、互いに切磋琢磨して、アリゾナでは楽しい時間を過ごせました。
色んな事の積み重ねだと思いますね。トレーニングはスピードスクワットやスピードデッドリフト、ジャンプをよくやります。投球フォームを見直し、身体の動かし方を理解して、より効率的なフォームになりました。そのお陰で疲れも溜まりにくいです。こういった要素が混ざって、ドミノ倒しのように良い効果が連鎖していきました。球速、球質、メンタルのいずれの面でも、プロ入り後のトレーニングが1番自分の成長に寄与したと思います。
入団時、自分はもっと良くなるとは思っていましたが、これほどすぐに結果が出るとは考えていませんでした。自分でも驚き、興奮しています。
正直それは打者次第だと思います笑 昔からボールに回転をかけることに集中してきたので、スライダーにはとても自信があるんですが、チェンジアップは実は大学2年になるまで投げたことが無かったんですよ。3、4年生で少しずつ投げ出して、今上手くいってるなーという感じです。
知らなかったです笑 そうなると良いですね笑
ツイッターで見たトレバー・ホフマンのチェンジアップの握りを参考に、ボールはとにかく優しく握って、親指にだけ力を入れるようにしています。右打者に当てたくないので真ん中低めを狙って投げてますね。
朝起きて近所の店でコーヒーを買います。効き過ぎてしまうのでエナジードリンクは嫌いなんです笑 家で1人でボーッとするのが苦手なので、かなり早くに球場入りして、ロッカールームで皆と話すようにしています。大学時代のメンタルコーチに、試合に向けて漏斗のように徐々に集中していけと教わったので、朝から集中し過ぎることは無いです。
試合の2時間前に着替えてストレッチ、その後投手コーチとミーティングをして相手チームのデータに目を通します。終わったら外に出て、もう一度ストレッチ、キャッチボール、ブルペンですね。
大学1年の時に対戦したスタンフォード大のニコ・ホーナー(現カブス)ですね。本当に打ち取るのが難しくて、初めてアウトに取った時は神様ありがとうという感じでした笑 あとは2Aで対戦したアンディ・ロドリゲス(パイレーツ傘下のトッププロスペクト)ですね。
マイク・トラウトですね。野球史に残る選手の1人であることは間違い無いし、将来自分に子供ができた時に、パパはこの選手と対戦したんだぞと言えたらとてもカッコいいと思います。
子供の頃はドジャースファンだったので、カーショウとグレインキが好きでした。特にグレインキは自分と同じ右投げでしたし、クールな性格で、球威で制圧せずに緩い変化球で打者を欺く所が大好きでしたね。あとは高校生の時にビューラーとグラスノウの投球を目にして、そこから2人のファンです。
A+の時は初めてのプロ登板ということで多少浮ついていたんですが、昇格する頃には、一喜一憂しない一定のメンタルを身につけていました。だから、昇格に多少の緊張は有りましたけど、コーチや他の選手が気配りしてくれましたし、今まで通りのルーティンで最初の2、3登板が上手くいったので、その後は落ち着いて過ごせました。
2Aの方が審判のストライクゾーンがちょっと狭かったですね。それと打者のアプローチも違って、A+では0-2から良いコースにスライダーを投げれば8割方スイングしてくれたんですが、2Aではそう上手くはいきませんでした。
普段からプログレッシブフィールドの近くに住んでいますが、実際に中に入って試合を見るのは初めてだったのでとても楽しかったです。試合前にはミーティングに参加して、クワン、ヒメネス、ヘンジスと、MLB昇格する上で助けになったことについて話をしました。人によって昇格への道のりは全く違って、誰かの為になるアドバイスでも、他の人にとっては全く役に立たないこともある、ということがよく分かりました。
プレーオフの時はもう地元に戻っていたので、テレビで観ました。自分が今まで観てきた試合の中で一番面白い試合の1つだったと思います。去年(プロ入り直後)自分がアリゾナにいる時に、クワン、ベンソン、フリーマンも同じ施設にいて共に過ごしたので、彼らが成功してMLBの試合でプレーしている姿を見るのは良いものでした。
ビーバーはとても凄い投手なので参考にはしていますが、少しだけですね。経歴が似ていることに運命のようなものは感じますが、MLB昇格への道のりは人によって全く異なるものですし、自分は自分以外の何者でもないので、ビーバーになりたいと思うことは無いです。でもあれぐらいのエース投手になれたら素晴らしいですよね笑
自分の大学のコーチはいつも健康であり続けることが最高の能力だと言っていました。だから軽視されがちなクールダウンは、ウォーミングアップと同じぐらいとても大切にして欲しいです。それと水分補給と睡眠も、皆さんが思っているより重要だと思います。この3点が大事ですね。
まずは速球のノビを良くする(垂直方向の変化量を大きくする)ことですね。これはとても細かいメカニクス的な問題なんですが、A+で炎上した2登板の後にコーチが指摘してくれて気付けました。あとはカーブとスライダーの区別をしっかり付けて、半端な変化球を投げないようにすることですね。
今回も最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。