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【CLE】オフ総括

 読者の皆様、毎日お疲れ様です。わるものです。

 今回はガーディアンズの今オフの動きを簡潔に振り返っていこうと思います。


① FA補強

@cleguardians

 今オフのFA補強、最大の目玉はやはりジョシュ・ベル(DH)の獲得(2年3300万ドル)でしょう。FA市場高騰の影響もあるとはいえ、ガーディアンズがこれほどの大金をFA選手に費やすのは、2016年オフのエドウィン・エンカルナシオン獲得(3年6000万ドル)以来の珍事です。

 高コンタクト路線で思わぬ大ブレイクを果たした昨季のガーディアンズ打線ですが、プレーオフでは代償として長打力不足が露呈。また、ジョシュ・ネイラーやアンドレス・ヒメネスといった主力選手が左投手に大苦戦する姿も目立ちました。

 左右問わずOPS8割程度を期待できる長打力と優秀なアプローチ(昨季Contact%は80.6%、BB/Kは0.79)を兼ね備えるベルは、弱点の穴埋めに最も相応しい選手と言えるでしょう。打線の大幅なグレードアップは間違いありません。

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 ベルの他には、新たな正捕手としてマイク・ズニーノ(C)を1年600万ドルで獲得しました。一昨年から2シーズンに渡って正捕手を務めたオースティン・ヘッジスは、MLBトップクラスの守備力で投手陣を支えた一方、打撃はOPS5割/wRC+40程度と惨憺たる成績でした。

 ズニーノは優秀な守備力を誇ると同時に、2021年には33HRを放つなど、打撃にも期待できる選手です。ヘッジス級の打撃成績の年も散見され、左腕の胸郭出口症候群から復帰したばかりと不安材料も多いですが、安価な契約金額を考えれば、ローリスクハイリターンの堅実なギャンブルと言えるでしょう。

 また、今季はトッププロスペクトのボー・ネイラーがMLBである程度経験を積むことが想定されています。大ベテランのズニーノが教育係として、未来の正捕手に多くの経験を伝えてくれるはずです。


 その他にもマイナー契約で多数の選手を獲得しましたが、要注目選手としてメイブリス・ビロリアが挙げられます。

 ビロリアは25歳のキャッチャーで、昨季までロイヤルズ/レンジャーズでプレーしていました。MLB通算では276打席で打率.201/OPS.553と結果を残せていませんが、昨年3AでOPS.862と覚醒の兆しはあります。

 昨年は、オフにマイナー契約で獲得したエニエル・デロスサントスの覚醒が地区優勝の一因となったので、今年も同様のダークホースの出現に期待しておきましょう。



② トレード補強

 昨年のガーディアンズはプロスペクトを積極的に昇格させ、17人もの選手がMLBデビューを達成。彼らの大半がMLBでのアピールに成功した結果、選手枠と出場機会が足りないという贅沢な悩みが発生しました。有望な選手達を腐らせる訳にはいかないので、フロントは枠空けが目的のトレードに動きます。

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 11月16日、カルロス・バルガスをダイヤモンドバックスに放出しました。バルガスはドミニカ出身の23歳で、2016年に国際FAでガーディアンズと契約。100マイルを超える豪速球とキレのあるスライダーを備えるが、コントロールは不良というロマンの塊のような先発投手です。

 トミージョン手術による2年のリハビリ期間を終え、昨年MLB昇格を果たしましたが、ブルペン待機が続き、登板機会はありませんでした。チーム傘下に完成度の高い投手プロスペクトが充実している現状を考えると、成熟に時間を要するバルガスの放出に至ったのはやむを得ない判断と言えるでしょう。

 対価は23歳の先発右腕、2A所属のロス・カーバー。21年ドラフト20巡目入団で、成績は並以下、プロスペクトランキング圏外という全くの無名選手です。数少ない映像を見る限り、縦割れの大きいカーブが武器で、イニング数以上の奪三振を記録する原動力になっていると考えられます。ガーディアンズお得意の投手育成で覚醒することを祈るばかりです。


@cleguardians

 バルガスの放出と同日、ノーラン・ジョーンズをロッキーズに放出しました。ジョーンズは言わずと知れたトッププロスペクトで、僕も過去の投稿で何度も紹介してきました。

 昨季待望のMLBデビューを果たし、94打席で打率.244/OPS.681とまずまずの成績。ただ、打席を重ねるにつれて速球対応の脆さが露呈し、MLBの壁にぶつかっている様子でした。同じポジションには、レギュラー定着を果たしたスティーブン・クワンとオスカー・ゴンザレスがおり、翌年以降も十分な出場機会を得るのは難しかったでしょう。放出メンバーとして、極めて妥当な人選だったと言えます。

 対価は21歳両打ちの遊撃手、フアン・ブリトーです。18年に国際FAでロッキーズと契約したトッププロスペクトで、昨季はAで497打席/OPS.877と素晴らしい成績を残しています。特に四球率が15.7%あり、BB/Kが1を上回っている点は要注目です。

 守備の評価はあまり高くなく、同じチームに優秀な遊撃手が揃っていることを考えると、将来的にはセカンドやサード、外野に転向すると予想されています。両打ちであることも相まって、理想の将来像はホセ・ラミレスと言えるでしょう。今季は2Aで開幕を迎える予定ですが、既にMLBキャンプでのライブBPやオープン戦で結果を残しており、MLB昇格の日時を議論される日も遠くなさそうです。



@cleguardians

 12月15日、オーウェン・ミラーをブルワーズに放出しました。ミラーはマイク・クレベンジャーを放出したトレードで獲得した内野手で、21年にMLBデビューを達成。昨シーズンは4、5月こそ主軸を張る大活躍を披露したものの、その後急激に失速し、最終的には472打席/OPS.652に収束しました。アンドレス・ヒメネスの台頭によって出場機会が減少しており、守備固めで起用するほどの守備力でもない、という理由で放出に至ったと考えられます。

 対価は後日指名選手、または金銭と発表されていますが、3月になっても続報が無く、おそらく金銭で片が付くことになりそうです。



@cleguardians

 2月7日、24歳の外野手、ウィル・ベンソンをレッズに放出しました。ベンソンは2016年ドラフト1位指名で入団した選手で、同じく放出されたジョーンズ(2位指名)とは同期入団。ただ、入団以来トッププロスペクトであり続けたジョーンズとは対照的に、ベンソンは適応に苦しみ続け、一時はプロスペクトランキングから名前が消えるほどでした。2021年にようやく2Aでプチブレイクを果たすと、昨年は3AでOPS.948の大暴れを披露し、念願のMLBデビューを達成しています。

 MLBでは、既に外野のレギュラーが固まっていた影響であまり出場機会を得られず、守備固めと代走中心に61打席/OPS.450の低空飛行に終わりました。マイナーでの経歴を見ても、レベルが上がるごとに適応に多くの時間を要するタイプであることは明らかなので、出場機会を多く得られる再建チームへの移籍は、本人にとって幸運な出来事だと思います。

 対価は21歳の外野手、ジャスティン・ボイドです。名門オレゴン州立大学から昨年のドラフトで2巡目指名(全体73位)されたばかりの選手で、スティーブン・クワンの後輩にあたります。

 プロ入り後の情報が殆ど無いので、桃色💖無職さんのドラフトレポートを引用させて頂きます。

桃色💖無職

 ガーディアンズ傘下では稀少な右打ちのプロスペクトととして、今季はまずA+で活躍してくれることを期待しておきましょう。



③ オフの総括

マイナーの充実度は30球団中2位の高評価

 僕が個人的に全面の信頼を置くガーディアンズのフロント陣ですが、今オフも素晴らしい仕事をしてくれたと思います。

 FA補強の面では、チームの穴を完璧に埋め得るベルにしっかり大金を注ぎ込み、打撃の上積みを期待できるズニーノを単年契約で獲得。限られた予算を無駄なく使用できたと言えるでしょう。トレード補強の面では、バルガスはやや安売りしてしまった感がありますが、全体的には余剰戦力を良質なプロスペクトと交換し、枠空けという当初の目標を損なく達成できたと思います。

 今年以降は本格的にワールドチャンピオンを狙うフェーズにチームは入っていますが、レギュラー陣は殆ど固定されており、残った課題といえば、先発ローテ後半の投手とアメッド・ロサリオ(今オフFA)の去就でしょう。3Aにまで迫っているトッププロスペクト勢を腐らせないようにしつつ、チームをプレーオフで勝てるレベルにまでいかに強化していくのか。フロント陣の手腕が試される1年になると予想されます。



 今回の投稿の最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。

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