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【CLE 】ヒメネス、ステファン契約延長の詳細と展望
読者の皆様、毎日お疲れ様です。わるものです。
先日、アンドレス・ヒメネス、トレバー・ステファンとの長期契約締結がついに発表されました。
Second baseman Andrés Giménez and the Cleveland Guardians are finalizing a long-term contract extension, sources familiar with the deal tell ESPN. Giménez, 24, was a first-time All-Star and Gold Glove winner last year and put up 7.4 Wins Above Replacement -- a star-level season.
— Jeff Passan (@JeffPassan) March 28, 2023
Trevor Stephan 4-year Guardians deal guarantees $10M, as @ByRobertMurray reported. 2 club options.
— Jon Heyman (@JonHeyman) March 30, 2023
今回のニュースは、ファンにとって寝耳に水というわけではありませんでした。ガーディアンズは既に、ホセ・ラミレス(7年1億4100万ドル)、エマニュエル・クラッセ(5年2000万ドル)、マイルズ・ストロー(5年2500万ドル)らと、昨季開幕前に長期契約を締結しています。今年は一体誰を長期契約で囲い込むのか、熱心なファンの間では日々議論が繰り広げられ、現地記者も予想を記事で提示しているという状況でした。
今回の投稿では、契約内容の詳細と、契約から窺えるチーム方針についてまとめています。
① ヒメネスの紹介と契約内容
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ヒメネスはベネズエラ出身の24歳で、2020年オフにフランシスコ・リンドーアを放出したトレードでメッツから獲得した選手です。21年は打撃不振でMLBに定着できませんでしたが、昨年は557打席で打率.297/OPS.837と大ブレイクを果たし、オールスターにも選出されました。
If you don't know that Andrés Giménez is a star, it's not our fault. We've been saying it all year, but this is the first time a lot of you get to see him play.
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) July 20, 2022
What a stud.#ForTheLand pic.twitter.com/Qjkn45O4ny
セカンド/ショートの守備も一級品であり、昨季はセカンドでゴールドグラブ賞を獲得しています。攻守に渡る活躍によってfWAR6.1(リーグ6位)/rWAR7.4(リーグ3位)と指標も抜群で、MVP投票ではリーグで6位にランクインしました。
チームの人気が低く、本人も派手なパフォーマンスを全くしないタイプなので、殆ど注目を浴びてない存在ですが、間違いなく長期契約を結ぶに値する選手であると言えるでしょう。
それでは契約内容の詳細です。
サインボーナス 400万ドル
2023年 100万ドル
2024年 500万ドル
2025年 1000万ドル
2026年 1500万ドル
2027年 2300万ドル
2028年 2300万ドル
2029年 2300万ドル
2030年 2300万ドル (※球団オプション、条件を満たせば2400万ドルに。バイアウトは250万ドル。)
総額(オプション抜き) 7年1億650万ドル
総額(オプション込み) 8年1億2800万ドル
※調停前の二塁手が結ぶ契約としては史上最高額
ヒメネスは24年シーズンから年俸調停権を取得するはずだったため、調停前1年分/年俸調停3年分/FA3年分を合わせた7年契約になっています。
参考のために、ワンダー・フランコ(TB)とフリオ・ロドリゲス(SEA)の長期契約を見てみましょう。両者共に、リーグMVP級の活躍を披露し、調停前に長期契約を締結したという点でヒメネスに類似しています。調停権取得前の期間を除くと、フランコは9年1億8200万ドルで年平均は約2000万ドル、ロドリゲスは10年2億930万ドルでこちらも年平均は2000万ドル程度です。
もちろんヒメネスは、MLB1年目に活躍できなかった分、この2人より調停額は安く済んでいたはずです。しかし、その事実を考慮してもなお、年平均が約1780万ドルのヒメネスの契約はお得であると言えるでしょう。
② ヒメネスの契約延長の意義
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今回の契約によって、アメッド・ロサリオとの契約延長の可能性はほぼゼロになったと言えます。現在のガーディアンズ傘下は、MLBにタイラー・フリーマン、ガブリエル・アリアス、3Aにブライアン・ルキオ、2Aにアンヘル・マルティネス、フアン・ブリトーと、二遊間のトッププロスペクトが大渋滞している状況です。ヒメネス、ホセラミに加えてロサリオまで囲い込むと、プロスペクト勢の出場機会が完全消滅してしまうので、今オフFAのロサリオをわざわざ引き止めることはしないでしょう。
また、今回の契約からは球団の懐事情が明確に改善されていることが窺えます。ガーディアンズの少数株主を務めていた実業家のジョン・シャーマン氏(現ロイヤルズオーナー)が2019年に撤退して以降、チームは大幅な予算削減を強いられてきました。しかし、昨年6月、NBAセブンティシクサーズ等を保有する実業家、デビット・ブリッツァー氏がガーディアンズの少数株主(25%)として参入。いくら相場より安く済んだとはいえ、総額1億ドル超えの契約を2年連続で締結できたのは、ブリッツァー氏参入の影響が大きいと言えるでしょう。
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なお、ブリッツァー氏は5年以内にガーディアンズの過半数株主になることが予定されています。2027年以降はヒメネスとホセラミの契約だけで年間4500万ドル以上支払う必要がありますが、ブリッツァー氏が球団を牛耳るようになれば、財政難に陥ることはまず無さそうです。
③ ステファンの紹介と契約内容
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ステファンは2020年オフにヤンキースからルール5ドラフトで獲得した27歳の中継ぎ投手です。移籍直後は振るいませんでしたが、新球種のスプリットを武器に昨季大ブレイクし、63.2回/防御率2.69/82奪三振というリーグ屈指のセットアッパーに成り上がりました。
Trevor Stephan, K'ing the Side. pic.twitter.com/PKxNcCXKFE
— Rob Friedman (@PitchingNinja) October 14, 2022
ステファンの詳細については、是非こちらの投稿をご覧下さい。
契約内容の詳細は以下の通りです。
2023年 135万ドル
2024年 160万ドル
2025年 230万ドル
2026年 350万ドル
2027年 725万ドル (※球団オプション、条件を満たせば最大825万ドルに。バイアウトは125万ドル。)
2028年 750万ドル (※球団オプション、条件を満たせば最大850万ドルに。)
総額(オプション抜き) 4年1000万ドル
総額(オプション込み) 6年2550万ドル
ヒメネス同様、ステファンも年俸調停権を取得するのは来季からだったので、調停前1年分と年俸調停3年分を合わせた4年契約になっています。
参考のために、ギャレット・ウィットロックの契約を見てみましょう。2021年にルーキーながら73.1回/防御率1.96/81奪三振という素晴らしい成績を残してブレイクしたリリーフ投手(現在は先発に転向)です。ちなみに、成績だけでなく、ルール5ドラフトでヤンキースから放出されたという経歴までステファンと共通しています。
ウィットロックは22年4月に4年(調停前1年/調停3年分)1875万ドルの契約を締結。調停前の期間を除いた年平均は625万ドルであり、一方のステファンは290万ドルですから、ブレイク時期に1年差があるとはいえ、ステファンとは非常にお得な契約を結べたと言えるでしょう。
④ まとめ
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チームの核である選手達と長期契約を結べた今、これ以上語るべきことは何もありません。
ワールドチャンピオンというゴールに向け、全身全霊で爆進するのみです。
今回の記事も最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。