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IPO準備企業の必須ステップ!「労務監査」について監査チームの社会保険労務士が解説

労務監査とは、企業が労働諸法令を遵守できているか調査することです。

IPOを検討している企業において、「労務監査は本当に必要なのか」「なぜ重要なのか」と疑問を持つ方もいるかもしれません。

今回は、監査チームとコンサルティングチームを兼任している本村にインタビューを行いました。
「IPO準備企業には、なぜ労務監査が重要なのか?」という質問を中心に、監査チームの仕事内容を詳しく解説します。


1.インタビューに答えるメンバー

2.IPO準備企業に不可欠な労務監査とは?監査チームの社会保険労務士が解説

Q. 現在、監査チームではどのような業務に取り組んでいますか?

本村: 監査チームでは、IPO準備企業を中心に労務監査を行っています。
IPO準備企業とは、株式公開を目指し、上場のための申請準備を進めている企業のことです。

上場を達成するためには、企業の労働環境の健全さやコンプライアンスの遵守が重要視されるため、労務管理が適切に行われているかを確認することが求められます。

Q. IPO準備企業の労務監査とは、どんなことをするのですか?

本村: 労務監査では、企業が労働関連の法律を遵守し、労働時間の管理が法律上正しく行われているか、残業代等の賃金が正しく支払われているか、就業規則がきちんと整備されているかなどを調査し、報告書にまとめます。

特に株式公開(IPO)を目指す企業には、労務管理上の問題がないことを専門家が確認し証明することが、上場のための信頼性を担保することにつながります。

労務の専門家である社労士が労務監査を行い、「この企業は上場の厳しい基準をクリアしているのか、あるいは改善点があるのか」を厳密に評価することが、私たちの役割です。

ーー労働関連の法律の知識や、プロフェッショナルな視点が求められる業務なんですね。

本村: そうですね、IPO準備企業の労務監査には、株式公開のための審査基準を満たすために通常より高い水準の労務管理が求められます。

そのため、労働基準法や関連法令の知識が不可欠で、法令の大原則を理解しているだけでなく、労務監査の経験が豊富な社会保険労務士でなければ、適切な指摘やアドバイスを行うことが難しいですね。

Q. IPO準備企業が、なぜ労務監査を受ける必要があるのですか?

本村:従業員とのトラブルや未払い賃金などの問題が発生した場合、企業の信頼性に悪影響を与え、予定していた上場が延期されることもあります。

労務監査を実施することで、このようなリスクを早期に発見し、上場に向けた体制を整えることができます。

理想としては、上場の3年前くらいから労務監査を始め、スムーズな準備を進めることが望ましいです。

Q. クラシコでは、どのような手順で労務監査に業務を進めているのですか?

本村:手順としては以下の3STEPです。

①書類の内容確認・精査
まずは賃金台帳や就業規則など、40種類ほどの書類を提出いただき、私たち労務監査チームの担当が、その内容を確認・精査します。

②インタビューの実施
次に、企業の実務担当者(主に人事や経理、労務担当者)に対して8時間ほどのインタビューを実施し、実際の運用状況を詳細に確認します。
このインタビューでは、書類上の不明点を掘り下げ、現場の実務に即した質問を行います。労働時間や賃金の適正性など、100項目以上の内容をヒアリングし、①の書類調査結果と合わせて問題点を洗い出します。

③報告書の作成・報告会の実施
インタビューと資料を基に1ヶ月ほどかけて報告書を作成します。
報告書の内容は、各項目ごと改善が必要な指摘項目を挙げ、改善の方向性や法的な要件を記載します。
この内容に沿って最終的に報告会を行い企業へ説明をします。

3.労務監査のポイント:協力体制を築くことが成功の鍵

Q. 労務監査を行う際、特に注意しているポイントはありますか?

本村:特に重視しているのは、労働環境や従業員の実態をしっかりと把握することです。チェックリストだけではなく、企業の担当者の声を聞くことで、見えにくい問題を発見します。

また、労務監査は上場を目指すための必要なステップであり、単にあら探しをするものではないという点を企業の担当者にしっかりと伝え、協力体制を築くことも重要です。

とは言え、絶対に忖度せず、指摘すべき点はしっかり指摘させていただきます。その上で改善に向けた行動をご提案していきます。企業内での改善が難しい場合は、「一緒に改善に向けてアクションを取っていきましょう」と問題を改善するコンサルティングサービスもご提供できます。

Q. 労務監査の業務を通じて、どのような点にやりがいを感じていますか?

IPOを目指している企業の経営者は、労務に対して非常に高い意識を持っている方が多いんです。

単に企業の利益を追求するだけでなく、従業員の幸福度を高め、安心して働ける環境を作ろうとする姿勢を強く感じています。

こうした企業では、従業員がホワイトな環境で安心して働くことで、さらにモチベーションが上がり、結果的に事業がさらに発展するという良いサイクルが生まれることが多いです。
IPOを実現し、企業と従業員双方の成功に貢献できることが、労務監査業務の大きなやりがいだと感じます。

Q. 最後に、今後の労務監査チームの展望を教えてください。

本村:労務監査チームは、精度の高い監査と改善コンサルティングを通じて、「企業の健全な成長を支援する」というビジョンを置いて、IPO準備企業などを中心に労務の伴走支援を行っています。

目先の課題を発見・解決するだけでなく、企業のビジョンや意向にしっかりと寄り添い、従業員が安心して働ける環境を整えることが我々の使命です。

人材は単純なコストや管理の対象ではありません。
改善コンサルティングを通じて、コンプライアンス遵守と良好な労使関係の構築を両軸から進めていき、企業の成長を後押しするパートナーとなれるようチーム一丸となってサポートができればと存じます。

労務監査をご検討中の方、ぜひお気軽にご相談ください。

上場準備においては、労働時間の管理を適切に行い、トラブルを未然に防ぐことが求められます。

社会保険労務士法人クラシコでは、労務観点におけるIPO支援のプロとして、労務監査の実施や課題の解決をお手伝いいたします。
些細な不安点や疑問点でも構いません。ぜひお気軽にご相談ください。

▶お問い合わせはこちら
■社会保険労務士法人クラシコ WEBサイト
https://classico-os.com/contact/
是非お気軽にご相談ください。


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