クラシコ創業10周年を振り返る。創業者が語る、今後の展望は?
2013年12月に誕生した社会保険労務士法人クラシコが、創業10周年を迎えました。
人事労務顧問から給与計算、M&AやIPO支援まで、幅広いサービスを展開するクラシコは、「人事や労務に悩む経営者を0にすること」をミッションに掲げています。
現在、東京と大阪にオフィスを構え、約19名のメンバーが在籍。
20代後半から30代を中心とした若い世代が活躍中です。
今回は、クラシコ創業者であり、代表を務める柴垣和也が、
創業のきっかけ、10年間の軌跡、これからの展望をお伝えします。
クラシコ設立のきっかけ
――まず、クラシコを設立したきっかけを教えていただけますか?
元々は、人材派遣の会社に勤めていたんですが、そこで多くの企業が人事・労務のことで苦労しているのを目の当たりにして、「なんとかできないか」と思ったんです。
当初は、派遣業で独立しようと考えていたんですが、派遣法の改正で起業が難しくなってしまって。そこで、近い業界でできることを探していたら、社労士という道を見つけたんです。
大きな志があって社労士になったというよりも、ビジネスとして「人事・労務の課題」を解決できる手段として捉えていました。
ただ、派遣の仕事で現場経験があったので、法律の知識をプラスして企業の労務管理をサポートする、いわば「人を大切に扱い、守る」仕事にシフトできたと思います。
――創業当初はどのような目標を持っていましたか?
最初は、とにかく大きな会社を作りたいという思いが強かったですね。社労士業界の中でトップを目指そうと考えていました。
グループ全体で当時1400人程度を抱える上場企業があったんですが、そこをベンチマークにして、「その会社を超える」という目標を立てていました。
――野心的な目標ですね。実際に事業を始められてみていかがでしたか?
正直、予想以上に順調でした。多くの方から見れば大変そうに映るかもしれませんが、私自身はあまり苦労したという感覚がないんです。
創業から4年目くらいまでは、急速に拡大していきました。
顧問先も400社くらいあり、多い時は年間で10数名を採用するなどメンバーも一気に増えていたので、全国的に見ても目立つ事務所になっていたと思います。
さらに100坪のオフィスを借りて、「80名雇うぞ!」なんて意気込んでいたくらいです。
「幸福度」を軸にした経営への変化
――順調に成長されていたようですが、途中で何か変化はありましたか?
5年目くらいで、人が行うビジネスの限界のようなものを感じ始めたんです。規模を追求するあまり、メンバーの負担が増えたことでミスも多くなり、サービスの品質にも影響が出始めていました。
そんな時、ある外部の方から「柴垣さんは何を目指しているんですか。誰が幸せになるんですか」と問われたんです。その言葉が心に響きました。
そこで、「幸福度」という新しい軸を設けることにしたんです。お客様も私たちメンバーも、みんなが幸せになれる会社を目指そうと。
そのためにビジネスモデルを大きく変えました。それまでは「安く大量に」というスタイルでしたが、「高品質のサービスを少数のお客様に」という方針に転換しました。
――具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?
ちょうどその頃、世間では「働き方改革」が話題になっていました。そこで私たちも、この流れに乗って新しい取り組みを始めたんです。
お客様に対して、「御社が働き方改革に対応できているかを調査できます」と、労務監査サービスの提供を始めました。
新しい取り組みを始めると、当然ながらタスクが増えますし、カバー領域も広がります。
そこで、「うちと契約を継続いただけたら、労務まわりの業務はすべて対応します。その代わり、契約料を値上げさせてください」という交渉を何百社にしました。
――思い切った取り組みですね。その結果、どうなったのでしょうか?
方針を変更した結果、顧問先は400社から200社程度に減りましたが、労務管理をしっかりしたい、社員が定着する組織を作りたいというお客様が引き続きご契約してくださいました。
その結果、メンバー1人あたりの担当数も減ったことで、より丁寧で品質の高いサービスを提供できるようになったんです。おかげさまで顧客単価が上がり、売上もそれまでよりアップしました。
メンバーからの反応もよかったですね。担当数が減ることで仕事の質が上がっただけでなく、売上も伸び、給与に還元できましたから。
結果として、定着率も向上しました。実際、ここ4年間くらいは会社や仕事への不満を理由にした退職はほぼありません。
現在のクラシコの強み
――好循環が生まれたということですね。
では、創業から10年を迎えた現在のクラシコの特徴や強みは何だと思いますか?
強みは、コンサルタントと呼ばれる人材がいることですね。
ほとんどの社労士事務所では、事務所名を背負う社労士が存在し、補佐する作業員がいるというイメージですが、クラシコは違います。
事務所の看板になるようなコンサルタントが数名所属しています。仮に独立してもやっていけるレベルのメンバーたちなので、いわば「ミニ所長」みたいな人材が何人もいるようなものですね。
クラシコとご契約していただいているお客様は、「制度がしっかりした会社を作りたい」とか「上場を目指したい」といった方々がほとんどなので、ハイスキルな労務管理を要求されますが、メンバーはしっかり応えてくれています。
僕が見ていても、「社労士ってすごいな。かっこいいな」と思うほどですよ。業界の中でも難易度の高い仕事を、メンバーは対応してくれていると思いますね。
今後の展望。クラシコが目指すこと
――今後の社労士業界はどのように変化していくとお考えですか?
業界の傾向としては、拡大化と総合事務所化が進んでいますよね。
税理士や会計士を中心に、社労士、弁護士、司法書士などを抱え込んで、ワンストップでサービスを提供する流れが強まっています。
ただ、みんながワンストップサービスを始めれば、結局は価格競争になってしまう。そうなると、一番安く提供できるところにマーケットが集中すると思います。
さらに、最近ではSaaSの世界でBPaaS(Business Process as a Service)というサービスも出てきました。要は、単にソフトを提供するだけでなく、作業まで代行してくれるんです。
中小企業や中堅企業向けに、こういったサービスが増えているので社労士にとっては大きな脅威になりますが、プロダクト会社が作業を代行するのは、ある意味で理にかなっていますよね。
――では、そんな競争が激しくなる中で、クラシコが目指すことは?
我々が目指すのは、専門性の高い事務所になることです。世の中が総合事務所化していく中、クラシコは専門スキルをさらに磨いていきたいと考えています。
例えるなら、「行列のできるラーメン屋」のような存在ですね。総合事務所のような何でもある「定食屋」ではなく、1品入魂のラーメン屋です。
それも、どこからでもわざわざ来たくなるような専門性の高い事務所を目指しています。
特に注力したいのが労務監査で、400項目ほどある労務監査を適切に行える能力と知識を持つメンバーを育てていきたい。現在は、そのための種まきの段階です。
総合化やBPaaSに競合しない、価格競争に巻き込まれない事務所を作り上げていくことが、これから目指していくことですね。
――つまり、より専門性を高めて尖らせていくということですね。
今後のクラシコに求める人物像はいかがでしょうか?
採用としては、コンサル志向をお持ちの方が良いですね。
一般的な社労士事務所だと事務員のイメージが強いかもしれませんが、うちはお客様の前に立って、監査・指導する側になってもらわないといけません。
いわゆるコンサルタント気質が高い方々、ライセンスのあるコンサルタント人材は大歓迎です。もちろん未経験の方も問題ありません。在籍しているメンバーの多くも異業種からの転職ですから。
――最後に、次の10年、20年後のクラシコについてのビジョンをお聞かせください。
実は、経営者を辞めていたいんです(笑)。
冗談に聞こえるかもしれませんが、これは本当に大事なことだと考えていて、社名に私の名前を入れていないのも、そういう思いからなんです。
「柴垣の会社」ではなく、社会の公器として成長させていきたい。ただ、社労士法人は簡単に代表を辞任できない仕組みなので、実現は簡単ではないんですけどね。
理想は、株式会社のように自然に代表が交代していくような組織です。私がずっとオーナーとして続けるのではなく、若手経営者に譲って、世代交代していった方がクラシコにとってもいいはずです。
実は、そういう思いもあって、うちでは所長が定期的に変わります。一般的な事務所だとオーナーが所長を兼任することが多いですが、クラシコではオーナーと所長を切り分けて考えています。
所長が変わることで、少なくとも現場レベルでは新陳代謝が進んでいますね。
――その人材の流動性は、今後も組織として継続していく方針なんですね。
そうですね。「社長になれる人材が常に社内にいる」、そんな状態を目指しています。次の10年、20年先を見据えて、クラシコを担える人材を育てていきたいですね。
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