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ワンダーアート代表高橋さんインタビュー:医療現場にアートの力を。感性で繋がるクラシコとの取り組み。

2024年7月クラシコのスクラブラインScrub Canvas Clubスクラブ キャンバス クラブよりWONDER ARTワンダーアートコラボレーションスクラブ第2弾が発売。
今回のコラボレーションにあたり、ワンダーアート代表の高橋雅子さんに、ワンダーアートの活動や原点となるホスピタルアートのこと、2022年から始まったクラシコとの取り組みについてお話しをお伺いする機会をいただきました。


「生きづらい方々の心をアートでサポートしたい」ワンダーアートの使命とホスピタルアート

──まずはワンダーアートの活動についてお伺いさせてください。


アートによって社会に潤いを運ぶことを目的として活動しています。最初は「Happy Spiral with Art!ハッピー スパイラル ウィズ アート」というメッセージで始めましたが、病院や被災地など様々な場所で活動する中で、アートで心をサポートすることが大切だと感じました。特に生きづらい方々に対して、アートの力でその辛さを軽減できればと思っています。

ホスピタルアートが私のバックボーンになっていますが、この活動に至るきっかけは、私の家族や病院での経験が大きいです。祖父や叔父が医師だったこともあり、子供の頃から病院は身近な存在でした。また、母が大病を患った時に、長い入院生活の中で体力だけでなく気持ちも落ち込んでいく母を見ていて、病院に足りないものがあると感じ、その足りないものをアートで補うことができないかと思ったことがきっかけです。

──ホスピタルアート活動の中で印象に残っている出来事はありますか?

色々なエピソードがありますが、入院されている高齢者の方が「ハッピー ドール プロジェクト」というマスコットを作る活動を通じて、全く動かなくなってしまっていた手が少しずつ動くようになったことで感動して涙されたり、認知症でご自身の名前も覚えていない方が手を動かすうちに、急にご自分の昔の話を始めて周りを驚かせたことがありました。外出ができず、ずっと窓を見ていたような子供の患者さんがアートを通じて自分を表現することで、会話が増えたりすることもあります。

院内で行われたハッピードールプロジェクトの様子
happydollproject ⒸWonder Art Production

──今後の活動の展望についてお聞かせください。

ホスピタルアートは全国の様々な病院で活動していますが、職員の方が忙しいため、治療以外の部分に手が回らないことが多いです。でも、患者様や家族は闘病で選択肢やできることが少なくなっていく中でも「自分で選べる、自分でできる」というようなポジティブなものを求めています。生活が閉ざされてしまう中で、アートがその一助になればと思っています。また、重度心身障害の方々へのアプローチが足りていないと感じるので、そこに届けたいものがあります。私たちの団体は小さいので、他の力を持つ方々とコラボレーションしながら、より多くの患者様や病院に潤いを届けたいと考えています。

重度心身障がいの患者さんを対象としたハッピーアートプロジェクトの様子
happyartproject ⒸWonder Art Production

感性の共鳴を感じたクラシコとのコラボレーション

──2022年に初めてクラシコと出会った時には、どのような印象を持たれましたか?

感性の部分で非常に共感しました。特にクラシコのデザイナー大豆生田さん、中尾さんとのやり取りで感じたことですが、感性が豊かで鋭い方々と向き合っているという感覚があり、作品を見ていただいたり、選んでいただく際のコメントも共感できるものだったのが印象的でした。この感性の部分で非常に親和性を感じたことは大きかったです。

──コラボレーションの製品をつくることへ期待や不安はありましたか?

まず、期待したのは私たちができないことをクラシコが実現してくれるという点です。ワンダーアートは病院1箇所づつへの活動ですが、私たちの想いが製品となってより多くの人に届くことは大きな意義があります。

不安だったことは、企業とのコラボレーションは初めてだったため、どのように実現できるのか私たちに経験がないことでした。ですが、クラシコへ感性の部分で共感したこと、製品を一緒に作ってくださった方の真摯な対応や誠実さに、信頼してお任せできると感じました。

素敵な物語となって医療現場に届き、アーティストの自信になった第1弾スクラブ

──改めて第1弾スクラブについて、アーティストやご家族の声を聞かせてください。

第1弾のアーティストは2人とも自身の意思表現が難しい方でしたが、1人のアーティストはスクラブを見た時に『ピュー!』と声を上げて嬉しそうな素振りを見せたり、もう一方のアーティストは『い・い・で・す・ね』と喜んでいました。
ご家族も非常に喜んでいて、商品の発売日にご自身でスクラブを購入して知人のお医者さんにプレゼントしたり、親御さんだけでなくおじいさんおばあさんも親戚みんなで、よかったねと声をかけあったと伺いました。
1人のアーティストは学校でもあまり絵を描かない方で、ご家族も絵で表現ができるということを知らなかったため、とても驚いていらっしゃいました。この方のスクラブを制服として購入された沖縄の訪問看護の事業所から、そのスクラブと同じ柄のパンフレットと名刺を作りたいとご連絡をいただき、実現させることができました。

──クラシコはワンダーアートの活動に貢献できましたか?

ワンダーアートのアーティストやご家族は、学校や集団の中で「普通」を強制される場面が多く、なかなか自己肯定ができにくい環境にあります。その中で自分の表現が認められ、しかもとても素敵な物語となって多くの方々に届いたことが、自信に繋がり将来への希望になったと感じています。

ワンダーアートにとっても、今までやってきたホスピタルアートとはまた違う視点で、病院の中にアート届けられたのは、私たちの活動の背中を押していただいたことかなと思いますね。

──コラボ前に持たれていた期待や不安に変化はありましたか?

第1弾のコラボレーションスクラブが誕生したことで、 大きな喜びになりましたし、第2弾に繋げていただいたことは、本当にありがたいことだなって思っております。

個性豊かなアーティストの魅力が、最大限に引き出された第2弾スクラブ

──第2弾のスクラブのアーティストについてお伺いさせてください。

まず、アーキテクトのスクラブになったアーティストの細川隆之介くんはワンダーワーカーという福祉の事業所を利用しています。受賞歴もあって、本当に素敵な作品を生み出すんですけれども、普段は仕事をしないで寝転がっているところもあるようなのんびりした方です。たまに集中した時に描いた絵や、粘土で動物をつくったりするものが素晴らしい作品になります。

ZOOのスクラブのアーティスト有我樹くんはワンダーアートスタジオに6年通われていて、動物が大好きで優しくて癒し系の方です。普段、絵の参考にしている百科事典は獰猛な動物も多いのですが、彼が描くと、とても可愛らしくいい味の動物たちになります。

──第2弾スクラブのご感想をいただけたら嬉しいです。

今回のアーティスト2人の表現にとても合った再現の仕方でスクラブにしていただいたと感じました。隆之介くんの建築のイラストはシルクスクリーンっていうのもぴったりだなと思いましたし、樹くんの動物を刺繍で表現したというのは思わず『憎いなー!』という言葉が出てしまうくらい見事な手法だと思いました。

隆之介くんはスクラブを手にしたらすぐに服の上から被って、お尻のプリントをみんなに見せたりして、お母さんも一緒に喜んでいました。樹くんはこれからお渡しなのですが、きっと喜んでくれると思います。

WONDER ARTスクラブトップス(ZOO)背中に施された動物たちの刺繍
コラボスクラブを着て作品制作をする細川隆之介さん(左)
wonderworkers🄫WONDER ART

──今後のクラシコとの取り組みに期待していただいていることはありますか?

ワンダーアートスタジオには沢山のアーティストがいるので、スクラブの第3弾とかも嬉しいですし、そこから発展して病院でのワークショップやイベントのコラボレーションなど可能性が繋がって色々なものが生まれていくことを期待しています。


ワンダーアート代表高橋さんインタビューはいかがだったでしょうか。ワンダーアートとの取り組みのきっかけとなったScrub Canvas Clubスクラブ キャンバス クラブについての記事も掲載しています。

ぜひ、この記事を通してクラシコの世界観に触れてみてください。


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