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ホンダCBX-セクション2(詳細版):並列6気筒が刻んだ伝説

ホンダCBX-その歴史と発展

1978年、ホンダが世に送り出したCBXは、単なるオートバイという枠を超え、エンジニアリングとデザインの頂点を極めた象徴的なモデルとして誕生しました。このバイクは、技術的な挑戦、革新、そして大胆な発想が生み出した傑作であり、その歴史は今なお語り継がれています。特に、世界初の量産市販車として採用された空冷直列6気筒DOHCエンジンは、類を見ない独創性と圧倒的な存在感を誇り、バイクファンの心を掴みました。本稿では、CBXの誕生からその後の発展に至るまで、歴史や技術的背景を詳しく紐解いていきます。




1. 衝撃のデビュー:量産市販車として初の並列6気筒

1970年代後半、オートバイ業界は転換期を迎えていました。環境規制の強化やオイルショックといった課題に直面する中、各メーカーは新しい時代にふさわしいバイクを模索していました。そのような中でホンダは、単なる移動手段ではなく、ブランドの威信を示すためのフラッグシップモデルを生み出すことを決断します。その結果誕生したのが、1978年に登場したCBXでした。
CBXの最大の特徴は、世界初となる量産市販車の空冷直列6気筒DOHC24バルブエンジンを搭載していた点です。このエンジンの排気量は1,047ccで、最高出力105馬力を発揮。4気筒エンジンが主流だった当時、6気筒エンジンは高級自動車でさえ限られたモデルにしか採用されないものだったため、CBXの登場は驚きとともに迎えられました。ホンダがあえてこの大胆な設計を採用した背景には、技術的な優位性を誇示し、世界市場でのリーダーシップを確立する狙いがありました。
このエンジンは、105馬力/9,000rpmの出力だけでなく、驚くほど滑らかな回転フィールを特徴としていました。さらに、6気筒ならではの澄んだエキゾーストサウンドは「モーターサイクルのオーケストラ」と評され、多くのライダーを魅了しました。加速性能や最高速度も当時のバイクの中で圧倒的で、225km/hの最高速を記録。加えて、ゼロヨン(0-400m加速)はわずか11.65秒という驚異的な数字を叩き出しました。この結果、CBXは「スピードの象徴」としてバイク史に名を刻むこととなったのです。

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