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CB750four セクション7(詳細版): CB750Fourとその後のオートバイ業界への影響

CB750four - 「ナナハン」が刻んだ金字塔

CB750Fourの登場は、ホンダの成功を超えて、オートバイ業界全体に革命的な影響を与えました。このバイクの登場によって確立された「ナナハン」という排気量クラスは、ただの市場セグメントを超え、オートバイ文化そのものを変革し、業界全体に新たな技術競争の潮流を生み出しました。その影響は計り知れず、「ナナハン」という言葉は今なおライダーたちの間で特別な響きを持つ文化的な象徴となっています。




1. 「ナナハン」の誕生と象徴的な存在

CB750Fourが登場した1969年、それまで日本国内では350ccや500ccのクラスが主流であり、大型排気量バイクはほぼ海外メーカーの独占状態にありました。しかし、736ccの排気量を持つCB750Fourは、この状況を一変させました。排気量だけでなく、並列4気筒エンジンが生み出すスムーズで力強い走行性能、当時としては画期的だったフロントディスクブレーキやセルモーターといった装備が、オートバイの「未来」を体現していたのです。
「ナナハン」という言葉は、このCB750Fourによって一般化されました。それは単に排気量を示す用語にとどまらず、「高性能」「憧れ」「ステータス」の象徴となり、多くのライダーにとっての夢の存在となりました。「ナナハン」はその後、特定のクラスを指すだけでなく、ライダーたちの間で独自の文化や憧憬を生み出す象徴的な言葉として定着したのです。




2. 欧米市場への進出と日本メーカーの台頭

CB750Fourの影響力は、日本国内にとどまらず、特に欧米市場において強烈なインパクトを与えました。それまでトライアンフやBSA、ノートンといった英国車やハーレーダビッドソンといったアメリカンメーカーが支配していた市場に、日本製大型バイクとして参入したCB750Fourは、その圧倒的な性能と信頼性、そしてリーズナブルな価格で瞬く間に市場を席巻しました。
北米市場では、CB750Fourは「スーパースポーツ」の概念を切り開いたモデルとして、爆発的な人気を博しました。この成功は、他の日本メーカーにも影響を与えました。カワサキ、スズキ、ヤマハといった競合メーカーは、こぞって大型排気量モデルを開発し、「ナナハン市場」に挑戦しました。これが、後に「ナナハン戦争」と呼ばれる競争を引き起こし、オートバイ業界全体の進化を加速させたのです。

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