スズキGT750-セクション4(詳細版) 市場での反響と成功
GT750、世界を魅了した水冷ナナハン
スズキGT750が市場に登場したとき、その革新的な技術とユニークな特性は、瞬く間に世界中のライダーたちの注目を集めました。従来の2ストロークエンジンといえば、ピーキーで高回転型の特性を持ち、扱いが難しいというイメージがありました。しかし、GT750は水冷化された3気筒エンジンによって、これまでの2ストロークの常識を覆す、スムーズで扱いやすい走りを実現。特に欧米市場では、「信頼できるナナハン」として評価され、多くのライダーに歓迎されました。
GT750の成功は、単なる高性能バイクとしての魅力にとどまらず、快適なツーリングバイクとしての評価を確立したことにあります。バイク専門誌やレビューでも「長距離ツーリングに最適なバイク」として頻繁に取り上げられ、販売台数は順調に伸び続けました。スズキの技術力と市場戦略が見事に融合し、GT750は同社の世界戦略において欠かせない存在となったのです。
海外市場での圧倒的な支持 - 2ストロークビッグツアラーの確立
GT750は、日本国内よりもむしろ海外市場、特に欧米で圧倒的な支持を受けました。現在でも旧車イベントやクラシックバイクの展示会で頻繁に登場し、その人気の根強さを物語っています。では、なぜGT750は海外市場でこれほど成功したのでしょうか?
2ストロークビッグツアラーという唯一無二の存在
当時の大排気量2ストロークバイクといえば、カワサキのマッハシリーズのように高回転域で爆発的なパワーを発揮するものが主流でした。しかし、GT750は水冷技術によって排気ガスや騒音を抑え、よりスムーズなパワーデリバリーを実現。低速からトルクが太く、高速巡航時も安定した走行性能を発揮するという、まさにツーリング向けの設計がなされていました。この特徴が、長距離を快適に走りたい欧米のライダーたちに評価され、新たな「2ストロークビッグツアラー」というカテゴリーを確立するに至ったのです。
レースシーンでの活躍とブランドイメージの向上
GT750は、市販車としての評価だけでなく、レースシーンでもそのポテンシャルを存分に発揮しました。特に1972年のアメリカ「Daytona 200マイルレース」に出場したGT750のレーサーモデル「TR750 XR11」は、その圧倒的なスピードで注目を集めました。最高時速280kmという驚異的な記録を打ち立てる一方、パワーが強すぎるがゆえにタイヤがバーストするという課題も露呈。しかし、翌年には欧州のフォーミュラ750クラスでGT750ベースのマシンが初代チャンピオンを獲得し、その性能と信頼性を世界に知らしめることとなりました。こうしたレースでの活躍は、市販車のGT750の人気をさらに押し上げる要因となり、スズキの技術力の高さを証明する絶好の機会となったのです。
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