デザイナーは絵が描けなくてもいい?!
特にWEBデザイナーは、絵がかけない(上手くない)人でも大丈夫とよく言われます。
テンプレ・ノーコード時代はそれが顕著に
サンプルからデザインを選択し、それを編集していく今のスタイルでは、たしかにある程度のものはデッサンとか絵のスキルは必要なくなってきているのかもしれません。特にAIによるイラスト作成やビジュアル合成が本格的になってくると、そこそこの絵が描けるというのは、あまり優位性がなくなってくるかもしれません。
今の時代だからこそ、逆に絵のスキルは必要!
とはいえ、本職のイラストレーターの方以外はまったく絵のスキルは必要ないのかと言われれば、私は、”No!"と考えます。
芸大を出てるわけでもないですが、今までデザインをやってきた感覚からすると、欲しいスキルです。
絵のスキルは、単に対象を上手く描画するというだけではなく、いろいろなスキルの総合技だと思います。
構図(対象を含めて全体をどうフレームに収めるか?)
光の捉え方(立体感)
対象を飲み込んで、どう自分なりの解釈をくわえてアウトプットするか?
陰影に含まれるいろいろな色相の解釈
などなど、カラーの絵を描いてみると本当にいろいろなことに注意を払わないと、形にならないことがわかります。
フリー素材を選択する場面でも、このあたりのスキルが活かされてきます。
AIが描いた絵に指示やリテイクをさせるにも、自分が基準をもって判断しなければなりません。みんなが同じようなツールを使って、自動的に生み出す工程が多い時代だからこそ、差をつけられる部分はこのあたりかなと思います。
対象以外の背景に注目
ということで、私もイラストを本業にしなくなってからも、たびたび人物デッサンなどに通っていました。ヌードはわりとまだ描きやすいですが、一旦着衣とかになると布の質感やドレープの柔らかさなど、難しさが格段に上がります。骨格がかけてないと、衣服の中に人体がいることが曖昧になります。
あとは、余白部分に注目することをします。とかく、対象の形を目で追いがちですが、上手くつかめないときは対象と外の間の形に注目します。
その形を単に図形としてみたときに正しいかどうかをチェックすると意外に早くデッサンの崩れを見出すことができます。
あとは、上下逆さまに見ること。左右反転してみる(鏡に写してみる)などのテクニックを使います。
この練習で、背景の部分の扱い方に視点が向くようになります。
写真とタイポグラフィを組み合わせる場合も、この空間をどう使うかに目が行きます。デザインを始めたころは多分写真を選ぶ、扱うにしてもなかなか思い切ったトリミングができないとか、文字をどう入れたらいいかという悩みを聞きますが、視点を変えられると意外にスピーディーに解決策を見出すことができます。
今更ながら、ノーコード、テンプレ時代にこそ素材をうまくハンドリングする絵や写真のスキルが生きてくるのではないでしょうか?