卒業する教え子に贈る歌 ―タガタメ Mr. Children
家に帰ると、私は世界で最高に美味しいお酒を飲ませてもらった。
先日、私が担任をした高校3年生が卒業したからだ。
受け持った生徒全員を無事卒業させることができると、
肩の荷が下りた気がして、ほっとする。
1人の高校教師が生徒に与えられる影響なんて、謙遜でもなく、本当に小さなことだと思う。
でも、生徒たちは、子どもの頃から多くの大人に支えられて成長してきた。
幼稚園、小学校、中学校。
そして、高校という社会に出ていく直前のタイミングで、
そのバトンを私の番で落とすわけにはいかない。
リレー選手のような気分で丁寧にバトンをつなぐ。
バトンを渡す相手は、アンカーである生徒自身だ。
高校を出たら、あとは自分たちで走っていってもらうだけ。
今年の卒業式の送辞や答辞では、学校での思い出と共に、海外で今起きている戦争・紛争に危惧を抱く言葉が含まれていた。
それを聴いて、私の頭の中にはある歌が流れていた。
一般的な卒業ソングではない。
Mr. Childrenのタガタメ。
自然とこの曲が思い出された。
タガタメ =誰がために戦った?
この曲のサビには、社会への強烈なメッセージが含まれている。
被害者にも加害者にもなってほしくない。
でも、もしなってしまったとき、そのために何ができるというのか?
このパートがとても重要な意味を持っていると思う。
私たちは、どこかで繋がっている。連鎖する生き物だ。
些細な意見の違いでレッテルを貼り、片一方だけを裁いて、
対立することに何の意味があるのか?
私たちは連鎖する生き物。
だから、誰かを憎しめば、その思いも連鎖していってしまう。
私たちができるのは、相変わらず性懲りもなく愛すこと。
その思いが連鎖していくことを祈りながら。
これから先、何度も絶望するような事件・紛争を目にしていくかもしれない。気持ちがふさぎ込んでしまうかもしれない。
でも、もし晴れた公園で何も考えずに歩けば、きっと気分は換わっていく。
この歌を、卒業する生徒たちに贈りたい。
あとがき
Mr. Childrenによるライブ映像をぜひ見てみてほしい。私がいくら語るよりも、この歌声・演奏を聴けば、すべてが伝わってくる。
また、2004年、筑紫哲也さんのニュース番組でのパフォーマンスは圧巻。
この動画で歌い終わった桜井さんの鬼気迫る顔。
その後の筑紫哲也さんとのインタビューでの柔和な顔…。
このnoteの投稿を読んでくれた人が、温かい思いを連鎖していってくれれば、と願わずにはいられない。