『うんこかん字ドリル』をめぐって
学校で話題になったらしく、娘から『うんこかん字ドリル』を買ってほしいとせがまれた。『うんこかん字ドリル』とは、数カ月前に発売されるや爆発的に売れた「全例文に『うんこ』を使った、まったく新しい漢字ドリル」で、「子どもが夢中になって勉強する!新学習指導要領対応」とのこと。
買わないぞ! だって、あれがうんこのたのしさのすべてだと思い込んでしまったら、子どもがかわいそうじゃないか。最初から「うんこ」と書かれたドリルの、どこにどんな魅力があるというのか。あらかじめ落書きが印刷された教科書のようなものではないか。子どもなら子どもらしく、うんこはマンガや友人から学べばよい。そして大人から与えられた『うんこかん字ドリル』なんてほっといて、まじめな漢字ドリルを思う存分うんこ化して遊ぶべきだ。そのほうが五億倍たのしいしためになる。
英語の教科書に「かわいすぎる」先生や涼宮ハルヒが登場したときも思ったことだけど、子どもの喜びそうなものに寄せていけば、そりゃ確実に一定の支持を得ることができるに決まってる。でも教科書や参考書がそんなものであっていいのか。遊ぶのが子どもの仕事なら、大人の仕事は「理不尽」や「面倒」や「退屈」を子どもに投げつけ押しつけることではなかったのか。そのうえで、落書きの余地やうんこをぶつけられる隙を常にどこかに残しておいてやる度量が、ものをいうのではなかったのか。だから買わないぞ、『うんこかん字ドリル』。
と、さっきまではそう思ってたのだけど。でも学校のみんなが『うんこかん字ドリル』の話してるとき、自分だけうんこ例文知らなかったらそっちの方がかわいそうだよな、と思いなおし、ためしに『うんこかん字ドリル』公式HPを見てみたところ……
たうえを しながら うんこを もらす おじいさん
私が うんこ担当の「運子田」と申します。
世界平和のためには、はく愛の心とうんこが大切だ。
など、名文多数。おもしろそう。やっぱり買おうかな。そして「ぜひこれらを超えるうんこ名文を生み出してほしい」という思いで娘に手渡そうか。
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