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絵本レビュー&こどものこと

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彼らはついに再び冒険の旅に出た――『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』

 ドラえもん映画を見てワクワクしたのは、いったい何作ぶりだろう。新体制になってからの作品をぜんぶみたわけではないけれど、思い出せるかぎり2006年以降一度たりともこんなことはなかった。もちろん『大魔境』とか『鉄人兵団』とか『日本誕生』とかリメイクものはおもしろいし、かつての名作が現代に生まれ変わるのは嬉しい。でも、なにしろ元が超いいんだからちゃんとつくってりゃそりゃおもしろくなるよ、とつい思ってしまう。せっかく新体制で技術的にもいろいろ向上してる今、オリジナルの物語ですごいや

「まずは粉を練るんだ!」とジャムおじさんは言った。

2015年2月  子どもと楽しさを共有できるたくさんの作品のなかで、『アンパンマン』ほどシンプルかつ本気で誠実なものを私はあまり知らない。  頭部が交換可能なアンパンでできたヒーロー、アンパンマン誕生の背景にやなせたかしの従軍経験があるのは有名な話だ。戦場で「正義」という言葉のキナ臭さ と飢え苦しむ人々の実態を思い知った彼は、強い力で敵を倒すだけのヒーローに、そしてそれが「正義」として描かれることに違和感を覚えた。その後 “ 売れない作家 ” として長らく不遇の時代を送る

「君の様子がおかしかったから、後をつけたんだ」とドラえもんは言った。

2015年1月  このところ、子どもといっしょにドラえもん映画をたくさん見ているのだが、新劇場版にはやっぱりいまだに馴染めない。どうしたって1980年代作品がすばらしすぎていちいち比べてしまって、あれらのおかげで世界の不思議に目覚めた少年時代を思い出す。VHSの磁気テープが擦り切れるほど「ドラえもん」を見まくったあの頃。  思い入れが深いだけに、2005年の全面リニューアルにはかなりの衝撃を受けたものだった。ハイビジョン制作への移行、声優陣と製作陣の一新、キャラクターデザ