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読み返したくなる短篇

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黙ってたのしく読み返していてもいいけれど、あえて考えてみる。なぜ自分はこれらを読み返したくなるのか。
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#レビュー

すべての「考えること」はピギー・スニードを含む――ジョン・アーヴィング「ピギー・スニードを救う話」

【マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー】  性根がねじ曲がってるせいかもしれないが、目の前で「救う」と「書く」が組み合わさると、とたんにキナ臭いもやもやがあたりに立ち込めるようで逃げ出したくなる。もちろん「ピギー・スニードを救う話」は別だ。これほどまで明快に軽やかに「救えないこと」を突きつけてくれる「救う話」を、私は知らない。  ピギー・スニードは「頭の弱いゴミ収集人」であり、ブタを育て、ブタを殺し、ブタとともに豚舎で暮らす養豚農家である。そのずんぐりむっく