アメリカで勉強したいみなさんへ:助けを求めまくってください!
日本人の学生に、アメリカでの短期研修で何がしたいかと尋ねると、「何ができるのか教えてください」という返事が大変多い。約25年、高校生から大学院生まで、留学生オフィスなどを通じての学生支援に関わってきたが、この返事を日本人以外から聞いたことはない。「ここでできること」という枠があるほうが決めやすいのか、何かをやりたいと言うのを悪いと思うのか、ともかくアメリカに行きたいとだけ思うのか、単にやりたいことが明確でないか、明確に言うのが難しいのか。
「学生には学ぶ権利があり、教える側には教える義務がある」という考えの実践が、アメリカの高等教育機関の姿である。自分のLearningの機会なのだから、自分のやりたいことができるように学校に支援してもらうという姿勢でいないといけない。一番気になっていること(burning questions)をやりたいと具体的に言うと、受け入れる側は、その要望に可能な限り応えようとするし、これこれは難しいけれど、こういうことならできますよと、予想外の面白いプロジェクトに出会えたりもする。大学の先生たちは、学生ひとりひとりの学習計画を一緒に立てて、テイラーメイドの教育をしようとオフィスを自由に出入りできる時間帯を設けて相談にのり、実働する。そもそも、高いお金を払っているのは学生だという認識が強い。
アメリカ人が、「日本人はいったい何をしにきたのかよくわからない」と不思議がるとき、「日本人は遠慮するし、何もかもを言葉で表現する人たちではないのだ」とか説明してきた。それはさほど間違いでもないのではないかとは思うが、他の留学生たちと日本人を比べると、残念ながら、日本人は何を考えているかわかりにくい、インパクトが薄い点は認めざるを得ないと思わせられる経験が続いている。
個人によるが、他のアジアからの留学生には、アメリカで生き残ろうという気持ちもあり、目的も具体的で、それをなんとか表現しようとする姿勢がある。何かの行き違いで学生の望む対応ができていない場合、だまっていることはない。「こんなに一生懸命助けてほしいと言っているのに、やってくれないのはどういうことだ」と彼らはしっかり抗議してくる。
英語に慣れていない留学生には、アメリカ人は外国人などに興味もなさそうと勘違いしている人がいる。そう見えたとしても、良い方にころんだら、アメリカ人は、必死でやろうとする人たちを助けるのが大好きである。しかも、ほとんどのアメリカ人がすぐに良い方に転ぶ。そこを忘れず、アメリカに来たら、うるさいくらい自己主張し、目標実現のための助けを求めてほしい。多くのアメリカ人が、誰かに助けられてアメリカで生きている、と思っているから。