OW俯瞰観戦のすゝめ
こんにちは、AkihabaraEncountのclankです。
普段はOWチームの出張コーチをしながらOWLのリプレイ解説配信やOWの攻略?記事を作成しています。時々大会の解説などもしています。
今回の記事は、僕が普段大会解説や、反省会をするときなどに俯瞰視点で試合を見るときに気を付けていることのまとめといった具合で、普段の解説記事とは少々毛色が異なったものになります。
多くのプレイヤーとかかわってきた中で、個人視点(自他問わず)で反省する人は多くても、俯瞰視点で観戦する人が少なく活用できている人が少ないなと感じたので、今回の記事で俯瞰観戦の有用性が広まればよいなと思っています。
それでは目次を挟んで本編です。
1,俯瞰観戦のメリット
俯瞰観戦によるメリットは以下の二つです。
・試合全体の流れを把握できる
・プレイが全体に及ぼす影響を知ることができる
総じてOWへの理解度、知識の解像度が上がるといった感じです。
個人視点では「○○をすると強い」までわかっていることが、全体的な視点を合わせることで、「○○をすると、△△になるから強い」といった具合です。
個人視点観戦に比べてすぐにプレイに反映できる知識の割合は少なくなりますが、俯瞰観戦によって理解を深めることで、試合展開の予測とそれに基づいたプレイができるようになったり、試合展開をコントロールするためのプレイの発想などができるようになってきます。
また、全体的な視野の獲得もできるので、逆説的に自分が磨かなければいけないプレイが明確化したり、判断ミスとそうでないときの切り分けなど個人プレイへの反映もできるようになります。
短期的にプレイを磨く方法というよりも、中長期的に成長の手助けとなる方法と言えるでしょう。
2,俯瞰観戦のポイント
ここからは、俯瞰観戦の方法となります。
俯瞰観戦する場合は以下の三つが重要になります。
・イニシエートの把握
・エリア展開の状況
・ULT使用の仕方
基本的に個人視点では把握の難しいこの三つを抑えておくとよいでしょう。
それでは個々の解説に移ります。
2-1,イニシエートの把握
イニシエートの把握は試合の流れをつかむために重要な要素であり、俯瞰観戦の導入となります。
OWにはおおよそ、
リスポーン→エリア展開→イニシエート→集団戦→エリア展開→…
といったステップが存在します。
チームはイニシエートを有利に行うためにエリア展開を行い、イニシエートの結果によって集団戦の行方は大きく左右されます。
つまり、イニシエートはOWにおける核ともいえる行動と言えるわけです。
イニシエートとは具体的に以下のような行動を指します
・互いの戦線が交わる形での接敵行動(ウィンストンの敵集団へのダイブ、ラインハルトのチャージなど)
・各種ULTの使用を伴う接敵行動(ナノ龍撃剣、デッドアイやBOBを伴ったダイブ、など)
前者は少々わかりづらいかもですが、メインタンク同士が向かい合って互いのチームのいるエリアがきれいに分かれている状況から、何かの行動をきっかけに互いのエリアの境がなくなるような状況です。
ハイレベルな競技シーンにおいてはほとんどの場合、これらの行動を行った側のチームがイニシエートをしたとみなしてよいでしょう。
一方、未熟なチーム同士の試合や、ランクマッチなどではイニシエートなのかどうかの判別が難しい場合があります。その場合は、その後の状況が集団戦になっていればイニシエートだと思ってよいでしょう。
イニシエートを見つけることができたら、次に情報を整理します
整理するべき情報は主に三つ
・イニシエートをどちらがどのように行ったのか
・イニシエート前はどういった状況だったのか
・イニシエート後どちらが勝ったのか
これらが整理できたら、次に考察です。
考察するのは主に二つ
・各チームの作戦
・勝敗を分けた要素と逆転するための要素
イニシエートを見つけ、それをどちらが行ったのか、その前の状況はどういったものだったのか、そのあとどちらが勝ったのか、それらを踏まえそれぞれの思惑は何だったのかを考え、整理することが俯瞰観戦の導入となり、知識を深めるためのカギとなります。
また、次に説明するエリア展開とULT使用にも深くかかわってきます。
2-2,エリア展開の状況
エリア展開はOWにおいて重要な要素と言われています。
エリア展開がなぜ有利な状況を作るかというと、
戦いというのは基本的に囲んでいる側が強いからです。
この相手を囲んでいる状態を作るためにエリア展開を行っていきます。
また、OWのエリア展開にはクリアリングや、高台などの強ポジを押さえる役割もあります。
自分たちにとって有利な状況を作ると同時に、自分たちを不利にする要素を排除することもできるわけです。
そんなエリア展開をよく見るためのコツは
・イニシエート場所がどこだったのか
これにつきます。
基本的に両チームは互いにエリア展開をしていくのでイニシエートが起こっているということは
・エリアの奪い合いが発生している
・片方が設定したキルゾーンにもう一方が足を踏み入れた
のいずれかとなります。
前者は高台の奪い合いや、ポイントでの集団戦などが典型的な例と言えるでしょう。お互いがとりたいポジションがかち合った結果、いずれかのイニシエートを持って集団戦となったわけです。
後者は耳慣れない言葉かと思いますが、特に防衛側がチョークポイントを使って攻撃側に対して攻撃を加えている状況です。
これはエリア展開の最終目的である、「囲んで叩く」を実現しているシーンと言えます。
防衛側はエリア展開をスキップして、囲む状況を作り出せるので、囲める場所に攻撃側が踏み込んできたら有利な状況を盾にイニシエートしてしまえるわけです。
さて、このようにエリア展開の終着点を見つけることができたら、重要なのはプロセスです。
どのエリアを、どういった順番で、誰がとりに行っているのかを観察し、その意図を考察してみましょう。
エリア展開は勝敗を分ける重要な要素でありながら、個人視点ではなかなかその反省をすることはできません。
エリア展開の反省を効果的に行えるのは俯瞰視点の特権ともいえます。
2-3,ULT使用の仕方
さて最後はULTについてです。
ULT使用で見るべきポイントは二つ
・ウェーブのどのタイミングで使われているか
・重要な局面でULTを用意できているか
前者はイニシエートで使われているのか、それともエリア展開を有利にしたり、集団戦を決定づけるために使われているのかといった観点です。
より戦術的に、その場で勝つために使われているかどうかといった観点と言えます。
こちらはULTの性質を知ることができる上に、効果的なタイミングなども知ることができます。
どちらかというとイニシエート、エリア展開の延長線上にある要素であるのでこの二つをしっかり見ることができていればULT使用については簡単に見ることができると思います。
そしてやや難しいのが後者です。
こちらは、ULTエコノミーと言われる試合を勝つためのULT運用です。
要は、コントロールでの99%のウェーブや、エスコートの各セクションのゴール目前といった状況で一つでも多くULTを用意できているかといったものです。
OWはどんなに他のウェーブで勝っていても上記のシチュエーションで負けてしまうと試合に負けます。
なので、これらのシチュエーションでULTを多く使えるかは試合に勝つための重要な要素です。
そのために基本的には二つが求められます。
・節約
・回転率の向上
勝たなければいけないウェーブの直前のウェーブで不要なULTはなかったか、あるいはため込み過ぎているULTはないかといった具合です。
試合全体を見通してULT状況を整理することで、ULT使用のための新たな基準が考えられるかと思います。
3,まとめ、あとがき
さて、ここまで俯瞰視点観戦のメリット及び重要なポイントを書いてきましたが、共通して重要なのは、「考える」ということです。
俯瞰視点は自分以外の人間の思考を読み取る作業でもあります。
慣れないうちは観察することで精いっぱいでしょうし、それだけでも知識は深まるでしょう。
しかし、ある程度慣れてきて傾向がつかめてきて、考察することができるようになってからが俯瞰観戦の醍醐味となります。
考察によってさらに深く、濃密にOWを楽しむことができるようになるでしょう。
また、今まで俯瞰観戦をやっていない人にとっては、ブレイクスルーのきっかけとなるかもしれません。
試合全体の流れを掴めるということでチーム活動を行っている人には強くお勧めします。
ということで、いつにも増してとっ散らかった感じにはなりましたがここまでお読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。それでは。