OW学入門「先仕掛け-エンゲージの駆け引き」
こんにちは、AkihabaraEncountのclankです。
普段はOWチームの出張コーチをしながらOWLのリプレイ解説配信やOWの攻略?記事を作成しています。
今回の記事は、OWでは避けては通れない集団戦を有利にできると言われている「先仕掛け」について解説と考察していきたいと思います。
1,先仕掛けって何?
先仕掛けとは集団戦のきっかけを作る行為であるイニシエートを自チーム主導で行うことで、集団戦を優位に進めるための最もポピュラーな方法の一つです。「エンゲージする」ということもあり、先仕掛け≒エンゲージといった具合です。
イニシエートは具体的にはウィンストンのジャンプから始まるダイブ、ラインハルトの接近殴り、各種ULT発動を伴う接敵など、様々な行動が挙げられます。
これらを行った時、集団戦が始まるか始まらないかというのは敵次第でもあるのですが、おおむねこれらの行動が集団戦開始の発端となるわけです。
OWでは集団戦を繰り返していくことで試合が動いていくので、集団戦を有利に進めやすくなる先仕掛けはOWにおける基本の戦術と言えるでしょう。
それではなぜ先仕掛けは有利になると言われているのか、その理由は「主導権を握りやすいから」「OWはリソースレースの構造があるから」の二点になります。
一つ一つ解説していきましょう。
2,先仕掛けで主導権を握る
主導権を握るというのは、要は相手の次の一手を予測しやすくなる、極端に言えば敵の行動をある程度コントロールすることができるということです。
相手の行動が予測できればあとは敵の一手一手に対して適切な行動をぶつけていくだけです。
しかし、OWでは多少のセオリーはあれど、戦闘における行動の選択肢は無数にあります。何の手掛かりもなしに敵の行動を予測するのは至難の業といえるでしょう。
この予測の手掛かりとなるのが先仕掛けです。
先仕掛けをすることで敵はそれに対してできる限り有効な一手を打とうとします、つまり敵の行動の選択肢を大きく狭めることができます。
何も予測するための手掛かりがない状態に、自らの行動によってその手掛かりを生み出すことができるわけです。
選択肢が狭まれば自然と対応、予測もしやすくなるため、敵の行動をコントロールできるようになる。つまり主導権が握れるわけです。
後手に回ってしまった場合、敵の最初の一手の予測が難しく対応をあやまればその時点で敗北、うまく捌けたとしてもその次の一手でより不利な状況に陥ることは珍しくありません。
このように先仕掛けをすることで主導権が握りやすくなるわけですが、重要なのは先仕掛けした後に敵がどういう反応をするか、それに対しての用意ができるか、というところにあります。
主導権は握り続けなければ意味がありません。先仕掛けの次の展開、さらに次の展開まで用意することで先仕掛けの有利は確固たるものになります。
3,OWはリソースレースである
リソースレースとはお互いの戦力を削りあい、先に相手の戦力を0にしたほうが勝ちという考え方、戦い方です。
互いの戦力比が10:10だとして、交互に攻撃を行い、攻撃された側の戦力が1ずつ減っていく場合、勝つのは必ず先制した側となります。
後手に回ってしまった場合、逆転するにはどこかで相手の戦力を2削る必要があります。
OWではこれだけきれいに戦力比を表すことはできませんが、人数差、ULT差として考えてみるとどうでしょうか。
先に一人減ってしまったチームはどこかで二人キルしなければ不利は覆りませんし、ULTを先打ちされてカウンターULTを使ったとしても有利に持っていくことは難しいでしょう。
OWには明確に数字で見れる部分だけでもこうしたリソースレースとしての側面があるため先手を取る=先仕掛けをするというのは非常に重要となります
4,先仕掛けによる長期的メリット
さて先仕掛けが集団戦を有利にするロジック、及びそのメリットをここまで解説してきましたが、実は先仕掛けには二回以上の集団戦をまたいで効果を発揮するメリットも存在します。
それがULTエコノミーにおける有利です。
ULTエコノミーとはつまり効率よくULTを使うことで試合を有利に進めていこうという、試合全体のための戦略的な考え方です。
先ほどリソースレースという考え方で説明した通り、後手を取ってしまった側はどこかで相手の攻撃よりも大きな打撃を与えなければそのウェーブは不利な状況に陥りやすくなります。
その状況を打開するために用いられるのが大抵の場合ULTとなるのです。
先仕掛けすることで敵はULTを使いやすくなり、たとえそのウェーブに負けてしまっても次回以降のウェーブでULT有利を取れる可能性が上がります。
ハイレベルな試合などでULT不利を背負いながらも先仕掛けを敢行するケースが見られるのは、先仕掛けによって集団戦の主導権を握ることでそのウェーブでのワンチャンスを探りつつ長期的に不利を背負わないようにしているわけですね。
5,ディスエンゲージという選択肢
以上のことから、先仕掛けはあまりにも最強のように見えるのですが、先仕掛けが効果的でない場面もあります。
それは、集団戦以前に敵に主導権がわたっている場合です。
具体的には、敵のポジションが分からない、圧倒的な地形不利を背負っている、といった状況です。
この場合、敵はこちらの行動をコントロールできる状況にあり、こちら側としても敵の情報が不足しているため先仕掛けとその先のプランを立てることが難しくなります。
逆に言えば敵にとって先仕掛けが容易な場面であると言えるでしょう。
こうした状況で役に立つのが先仕掛けの逆の概念、ディスエンゲージです。
ディスエンゲージとは敵のイニシエートをスキルや地形、移動を使って躱すことでエンゲージを避ける行為を指します。
ディスエンゲージには主に二種類あり、完全に交戦を拒否しエリア展開に徹するパターンと、敵のエンゲージをかわした直後にこちらから仕掛けるパターンです。
前者は主に時間稼ぎを目的として行われ、地形不利を背負いやすい攻撃側の時や、防衛時に味方の復帰待ちやポジション維持のために行うことが多くなります。進んで行うというよりは、致命的な敗北を回避するためにしょうがなく行うというイメージです。
後者は主にカウンター戦術として行われることが多く、ULT有利を活かしてじっくり戦いたいとき、敵のラッシュやダイブ等の構成に対してカウンター構成を採用しているときなど、後手を捲るための手段が豊富にそろっていたり、主導権を握られつつも次の展開を予測できているときに用いられます。前者に比べて攻撃的なディスエンゲージと言えるでしょう。
このように先仕掛けの通らないときでもディスエンゲージという選択肢はありますが、基本的には先仕掛けのほうがメリットが大きく、ディスエンゲージにはリスクリターンもいまいちです。
そのためいかに先仕掛けが通る状況を作れるかというところが重要になってきます。
6,先仕掛けをするためには
先仕掛けの効果を十分に発揮するために重要な要素は三つ
・エンゲージのタイミング、ポジションを悟らせない
・エンゲージ後の敵の行動を予測しそれに対応する準備する
・エリア展開などで敵の位置を把握する
一つ目は主にイニシエート役を敵の目に触れないような位置に配置する。毎回仕掛けるポジションを変える。フランカーを利用してブラフのエンゲージを行うなどで実現できます。
先仕掛けの最も大きなメリットが主導権を握れることである以上、エンゲージタイミングを悟られて展開を予測されることは最も避けなければなりません。
二つ目は、メリットの項でも触れたとおり、主導権を握り続けるために必須です。ノープランの先仕掛けやこちらのやりたいことを押し付けるだけでは、先仕掛けのメリットの半分しか活かせません。
二手三手先を予想して敵をコントロールし続けましょう。
三つ目は、エンゲージポイントの選定や、敵の誘導だけでなく、自分たちが先仕掛けする側なのかそれともディスエンゲージしないといけない側なのかの判別にも役立ちます。
また、敵のポジションを把握することでプランを立てやすくなります。
先仕掛けの前提には情報戦と地形戦があります。これらを手掛かりとしていち早く先仕掛けとディスエンゲージどちらを行うかの判断ができれば、どちらに転んでも大きな不利を背負うことは少なくなるはずです。
いずれも、ディスエンゲージの項で触れたような先仕掛けの通らなくなる状況を作らないために行います。
これらを行うことでリスクの軽減に繋げることもできるので、先仕掛けしてるけどいまいち上手くいってない場合はこれらを改善してみるとよいでしょう。
7,まとめ
以上、先仕掛けについての解説でした。
先仕掛けはOWの集団戦を大きく作用する要素ですので、大会観戦やチーム活動でもこれに焦点を当てることでより解像度の上がったOWを楽しめるかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それでは。