OW学入門「スプリット」
AKIHABARA ENCOUNTのclankです
今回は最近になってOWLにて再び流行してきているスプリット構成についてです。
スプリット構成は去年(2020年)から定期的に競技シーンで頭角を現し始めた構成で、今もなおトップメタの一角を占めています。
また、その名の通り「スプリット」を構成の軸にすることでそれまでのOWの既成概念を打ち壊しました。
この記事ではそんな「スプリット構成」ではなく「スプリット」について解説していきます。
1.そもそもスプリットとは何?
スプリットとは割る、分割するなどを意味する単語で、そのことからOWにおいてはチーム複数のユニットに分けてマップ全体に分散させるような配置のことを指します。
よってスプリット構成とはスプリット陣形組むことを前提としたヒーロー構成といえます。
そして、スプリットの対極にあるのがグループアップです。皆さんも聞きなれているであろうこのグループアップとはチーム全員が一か所に集まって布陣することを指します。
スプリットとグループアップはどちらも陣形の作り方を表す言葉というわけです。
ここ地味に重要なのですがスプリットという言葉そのものは、あくまで陣形の作り方を指すだけで、構成を指す言葉ではありません。
スプリット構成以外でもスプリットをすることはありますし、逆にスプリット構成でもグループアップすることもあります。
というわけで本来グループアップと同列に語られるべきスプリットに比べ、なぜグループアップばかりメジャーなのか。
それは単純にスプリットが重要視されるようになったのが最近だからです。
OWではグループアップが重視されていた環境が非常に長く、スプリットがより重要視されるようになったのは2019年下半期ころからです。
ちょうどGOATs構成がロールロックによって消滅したころです。
なぜグループアップが重要視され続けていたかというと、キャラ間のシナジーを発揮しやすく、互いに連携を取りやすく、そしてそれが当時の仕様上あまりにも強すぎたためです。
身もふたもなく言ってしまえば簡単で強かったから、といえます。
逆にスプリットはシナジーを発揮することが難しく、連携をとることも難しい上に、当時はスプリットに適したヒーローが少ないために今ほど構成として成立しておらず、スプリット構成の先駆けといえる3~5DPS構成(GOATs構成最盛期にアンチGOATsとして特にコントロールとアサルト攻めで運用された)に至っては野良ランク構成とまで言われていました。
このように、スプリット主体の戦術や構成はその難易度の高さとゲーム使用上の不遇さにより、リリース当初から長らく影を潜めていましが、だんだんとその片鱗を見せていき、パッチ更新による仕様上の追い風も受け今ではメタの一角をスプリット構成が占めている状況です。
ではそんなスプリットはどんなメリットがあってメタの一角に上り詰めたのか、次の項目から解説していきます。
2.スプリットのメリット、デメリット
スプリットによるメリットは主に二つあります。
一つ目は、包囲陣形が作りやすいことです。
チームvsチームにおいて包囲した側が有利なのはあらゆるゲームにおいて不変のものですが、スプリットはこの包囲を容易に行うことができます。
もともと広く布陣しているために敵の動向を把握しやすく、敵の動きに合わせて陣形を整えやすいほか、敵が突出すれば自然と包囲陣形となるのです。
いずれかのユニットが敵にフォーカスされていたとしても、そのほかのユニットによってクロスファイアを組むことが可能なので、効率的な火力運用によってファーストキルを取られても覆すことさえあります。
二つ目は、エリア取りの効率化による恩恵です。
エリア取りとは、クリアリングと敵の包囲を目的として敵のポジションを奪っていくことです。
スプリットはメンバーを複数のポジションに配置することができるため、効率よくエリア取りを行うことができます。
攻めにおいては時間短縮および包囲することによる有利をとれますし、守りにおいては索敵しながら時間稼ぎも行えます。
また、複数のポジションを同時に抑えることができるため、ポイントと高台などの強ポジに同時にアクションをかけることで駆け引きを行うことができます。
特に攻めにおいては敵の堅いセットアップを崩すためのカギとなるため、複数のポジションに同時にアクションをかける作戦は現在のOWLでもよく見かける光景です。
このようにスプリットには火力運用とエリア取りの効率化というメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
デメリットは前項で説明していた通りのシナジーの発揮やカバーの難しさと、そこからくるユニット単体での脆さです。
スプリットしている状態ではグループアップしている状態に比べてメンバー間の距離があるため極端に連携が難しくなるために、シナジーの発揮と互いのカバーをするまでにラグが発生しがちになります。
状況によっては物理的にカバーが不可能なんてこともざらです。
また、ユニットがそれぞれ別のポジションにいる都合で局所的人数差を押し付けられてしまったときに極端に脆くなってしまいます。
スプリットしている状態では局所的人数差を押し付けられないにうまく立ち回る必要があるというわけです。
ちなみにスプリットの対極であるグループアップのメリット、デメリットはスプリットの真逆となります。
グループアップではシナジーの発揮とカバーのしやすさからくるチーム全体の生存性の向上がメリットとなり、逆にエリア取りや火力運用は苦手とします。
3.スプリット、グループアップの運用
次にスプリットとグループアップの使い分けです。
なぜ、スプリットの運用でないかというと、初めに解説したようにあくまでスプリットとグループアップは陣形の作り方であるからです。
あくまで僕の考えですが、OWには作戦を構成する三大要素というものがあり、それが「戦術」「構成」「陣形」です。
これらは互いに依存せず作戦はあくまでプレイヤーの選択によって組み立てることができるというものです。
そのため、陣形=スプリットとグループアップは状況や目的に応じて使い分ける必要があります。
スプリットとグループアップの使い分けはざっくり3つの観点から大まかに使い分けることができます。
一つ目はマップ構造による使い分けです。
ポイントへ接触するためのルートが複数ある、または強ポジと言えるポジションが複数ある場合はスプリットし、逆にそれらが一つしかないような場合はグループアップしたほうが良いといえるでしょう。
それぞれ複数のルート、ポジションがある場合はそれらをフル活用して駆け引きを行ったほうが有利を得やすく、逆にそれらが一つしかない場合は必然的にグループアップした状態の6v6の殴り合いをしなければならなくなる場合が多いため、こういった使い分けが良いというわけです。
二つ目は作戦のステップによる使い分けです。
集団戦の始まる前の展開やハラスを行っている段階ではスプリット、集団戦が始まる、あるいは始まった場合はだんだんとグループアップするほうが良いと言えます。
実際OWLレベルでも常にどちらかに振り切っているチームや構成は少なく、スプリットでエリア取りをして集団戦に合わせてできるだけ敵を囲うようにグループアップしていくという流れが多く見受けられます。
これはスプリットは展開面での恩恵が大きく、グループアップは集団戦での恩恵が大きいことを利用した運用だと言えるでしょう。
三つ目は時間の使い方による使い分けです。
時間稼ぎをしたい場合はスプリットをし、早くウェーブを終わらせたい場合はグループアップをしたほうが良いと言えるでしょう。
スプリットは互いが離れているため個々は脆くなりますが、敵視点からはまずは囲い込みをかけるためのエリア取りから始める必要があり敵も時間をかけてくれますし、ULTで全員が巻き込まれるリスクも低く済み気にせず突っ込んできた場合も包囲という有利な状況を作りやすいため時間稼ぎに適していると言えます。
逆にグループアップは6人全員でフォーカスを合わせやすくキルタイムが短く済み、逆に敵からのフォーカスも合わされやすいために勝つにしろ負けるにしろ時間は短く済みます。
以上のように、スプリットとグループアップは三つの観点から運用できます。
わりと流動的なものなので状況に合わせて変化させることを目指しましょう。
なお、最適解を出すとなるとかなり複雑になります。作戦は正しいかどうかよりも、統一された意志の元で遂行されるかのほうがはるかに重要だということは念頭に置いておきましょう。
4.スプリット構成の仕組み
ここまでスプリットの「陣形」の運用について解説してきましたが、最後に「スプリット構成」と呼ばれている構成の仕組みを解説し行きたいと思います。
最も基本的なスプリット構成は以下の役割で構成されます。
スカウトユニットは基本ボール+トレーサーで構成されます。
主な役割としては偵察とベイト、スイープ、孤立した敵の排除になります。
機動力を生かしてマップを駆け回って敵の情報を共有しながら、2人でフォーカスをすることで少数戦を制することもできます。また、イニシエートを担うことも多いです。
メインユニットに対するフォーカスを逸らしたり、敵のスカウト役を牽制することも重要な役割となります。
メインユニットはflexタンク+サポートで構成されます。
主な役割はポジションの制圧と維持です。
スカウトユニットの情報を得てポジションを変えながら敵の進行ルート上のチョークやポイント、強ポジなどを抑えたり、逆に敵から距離を取りながらポークを行いつつスカウトユニットへのサポートを行います。
普段は強ポジを抑えつつ中遠距離を維持しながらポークによって敵を削る役割になりますが、スプリット構成の中でグループアップの恩恵を受けやすいユニットで集団戦の要でもあるため、状況が整えば敵陣へラッシュを仕掛けて集団戦をクローズする役割を持ちます。
flexDPSの枠は文字通りメタやチームによって使い分けの利く枠です。
ソンブラでスカウトユニットの柔軟性と攻撃力を上げたり、
ヒットスキャンやプロジェクタイルをメインユニットに加えて固定砲台としたり、
ファラやエコーなどに加えてマーシーを採用してもう一つのユニットとして機能させることもできます。
チームによって最も個性の出る枠と言えるでしょう。
これらのユニットを惑星と衛星のようなイメージで動かしていきます。
機動力の高いスカウトユニットによって露払いと情報収集をこなし、機動力の低いメインユニットを的確に重要なポジションに寄せて制圧していくのがスプリット構成の仕組みとなります。
5.まとめとあとがき
というわけでスプリット(とグループアップ)の解説でした。
グループアップはみんなわかってるというか慣れ親しんでるかと思うので、今回はかなりスプリットに寄せました。
途中で触れた作戦の三大要素的な話で別記事書くつもりなので、グループアップについてはその時詳しく話そうと思いますが、基本的にはスプリットの対極って認識を新たに付け加えてもらえれば大丈夫です。
僕の記事すべてにいえることですが、最適解を出そうとすると記事の内容と反する結論になることも多いです。
それはそれだけOWを構成する要素が多く、僕がその辺まで含めた記事を構築できていないからでもあります。
いつか包括的な論を作りたいなあと思っていますが、いつ完成するかわからないので現時点で書かれてる記事は「そういう切り口もあるんだー」位に捉えて、それぞれで新たな考察して記事にしてもらえると僕が喜びます。
というわけでここまでお読みいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。それでは。